20代から始まっている聴力の老化。加齢性難聴に注意!

耳が遠くなるのは、高齢者になってからと思っていませんか? 聴力の衰えは、実は20代から徐々に始まってきていて、個人差はありますが、加齢とともにゆっくりと進行していくといわれています。テレビのボリュームが大きくなったら、要注意の兆候です。

「加齢性難聴」は誰もがかかる可能性がある

年齢を重ねるごとに、徐々に内耳にある蝸牛の細胞が弱くなるため、脳に信号が伝わりにくくなり、音が聞こえにくくなります。これが「加齢性難聴」の正体です。

難聴で、急に起きる「突発性難聴」はよく知られていますが、実は圧倒的に多いのは加齢性難聴です。聴力が徐々に低下していくため、自分では気づきにくく、家族からの指摘でわかることが多いのです。

誰もがかかる可能性がある加齢性難聴。放置しておくと、認知症のリスクも高まるという研究結果もあります。

内耳の蝸牛の細胞は、高音をキャッチする細胞から弱くなります。そのため、モスキート音と呼ばれる高音は、20歳を過ぎたころから聞こえなくなる人が増えてきます。

つまり、20代から聴力の老化が始まるのです。そして、30代からは、高音域(2000~8000Hz)の聴力が徐々に低下していきます。    

地下鉄車内の騒音も難聴の原因に!

下記は、WHO(世界保健機構)が定めている1日あたりの音圧レベルの許容基準と目安となる音の種類です。    

地下鉄車内の騒音の大きさは、100dB程度で、15分以上、毎日聞き続けると、耳にはとても厳しい環境となります。 騒音の場所で過ごした後は、静かに耳を休ませることが大切です。

音圧レベル 1日あたりの許容基準  音の種類

(dBSPL)

130     1秒未満         航空機の離陸の音
125     3秒          雷
120     9秒           救急車や消防車のサイレン
110     28秒          コンサート会場
105     4分         工事用の重機
100     15分           ドライヤー、地下鉄車内の騒音
95      47分         オートバイ
90      2時間30分       芝刈り機
85      8時間        街頭騒音
75      リスクなし          掃除機
70      リスクなし     洗濯機、乾燥機
65      リスクなし     エアコン
60      リスクなし     イヤホンでの適度の音量設定

聞こえをチェックしましょう!

聴覚の低下は生活に困ることがなければ、なかなか自覚できません。必要に迫られないと軽度の難聴を見過ごし、気づかぬうちに進行してしまうことがあります。

聴力は、個人差はあるものの、年齢とともに高い音から聞こえにくくなり、ゆっくりと衰えていきます。

テレビの音が大きくなっただけでなく、それ以外にも電子レンジや体温計などピピッという音に気づかなくなったなどが、加齢性難聴のわかりやすい兆候です。    

以下のような兆候があったら要注意です。    

□ テレビの音が大きいと言われる
□ ピピッという電子音に気づかない
□ 会話を聞き取れず、聞き返してしまう
□ 静かな環境でも聞こえにくいことがある
□ 呼んだのに気付かないと言われた
□ 声や音が割れたように聞こえる 

耳年齢をチェックできるサイトも!

下記のサイトで、聴こえや耳年齢をチェックできます。

「きこえのチェック」

3分で簡単に聴こえの状態をチェック。雑音が混じった複数の単語と数字の組み合わせを聞き取る方法です。結果はメールにも届きます。

https://www.resound.com/ja-jp/online-hearing-test

「耳年齢チェック」

セキュリティーシステム用に開発された高音の「モスキート音」を使ったゲームです。耳年齢をチェックできます。 

https://www.resound.com/ja-jp/hearing-loss/jp-miminenrei

中耳炎、騒音、ウイルスが原因の難聴も

日本人の65歳以上の3人に1人が難聴を抱えています。前述したように、テレビの音が大きくなる、電子レンジや体温計のピピッという音に気づきにくいなどは難聴の兆候です。

加齢性難聴だけでなく、中耳炎などによる伝音難聴、騒音やウイルスなどによる感音難聴のこともあります。お薬や手術で治療できる可能性もあるため、気づいたら早めに耳鼻咽喉科を受診しましょう。

早期に補聴器でのケアが大切

音を認識して情報を理解するために、脳の広い部分が使われています。難聴によって脳を使わなくなることで、側頭葉にある音の情報を司る部分が劣化します。脳機能は、次第に低下し、認知症発症との関連も指摘されています。

加齢性難聴は、老眼と同じように根本的な治療法はないのですが、予防としては「騒音環境を避ける」「悪化要因といわれる動脈硬化を防ぐ」ことと言われています。

加齢にともなって、聴力は徐々に低下するのは仕方がないことです。けれども、対策としては、難聴を放置せず、年齢にかかわらず、補聴器を使用することが大事です。聞こえを改善し、言葉を聞き分ける能力を衰えさせないことです。

ただし、眼鏡のように補聴器は、装用してすぐによく聞こえるようになるわけではなく、使いこなすには、脳のトレーニングが必要です。初期調整に、通常3ヵ月程度はかかります。すぐに聴こえが改善されないからと、あきらめてしまわないことが大事です。日本の補聴器の使用率は、約14%。英国約47%、米国約30%と比べ、低い割合なのです。    

文/増田美加

増田美加/女性医療ジャーナリスト
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増田美加/女性医療ジャーナリスト
NPO法人日本医学ジャーナリスト協会会員。本誌「30歳美容委員会・女性ホルモン整え塾」でもお馴染み。エビデンスに基づいた健康情報、予防医療の視点から女性のヘルスケア、エイジングケアの執筆、講演を行う。乳がんサバイバーでもあり、さまざまながん啓発活動を展開。著書は『女性ホルモンパワー』(だいわ文庫)ほか多数。NPO法人「みんなの漢方R」理事長、NPO法人「乳がん画像診断ネットワーク(BCIN)」副理事、NPO法人「女性医療ネットワーク」理事、CNJ認定「乳がん体験者コーデイネーター」ほかを務める。
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