自分らしいスタイルを見つけ、充実したライフスタイルを目指すGINGER世代。日々を生きやすくする、楽しくするチップスをライフスタイルマーケターの丸野ひかるさんがお届け!
猛暑の午後は断捨離読活

毎年記録更新を続けている猛暑。友人との会話やメールのやり取りでも「猛暑が続くのでご自愛くださいね」「熱中症に気をつけましょう」など互いの体を気遣うことが夏の日常になっています。
プールや海、バーベキューやビアガーデンなどアウトドアを楽しんでいた夏は遠い昔。夏がステイホームを楽しむ季節になったのならば、と数年前から新しい習慣ができました。年に一度の本の棚卸しです。
わたしの家には、リビングと寝室に本棚があり、リビングにはデザインやアート、植物などの写真集や美術展の図録など‟美しい見せ本”をインテリアとして。寝室には寝る前に読む、小説、エッセイなどよりパーソナルな本を置いています。真夏の棚卸しは寝室の本棚。今年もエアコンを快適温度に設定して、半日かけて取り組みました。
洋服好きな方が「新しい服を買ったら古い服を一着手放す」というクローゼット定数化にならい、わたしも蔵書は本棚に納まるだけ、と決めています。一年間に増えて、本棚に横になったり、斜めになったりして押し込まれた本たちを見極めて本棚を整える作業です。

「本棚を見ると、その人がわかる」と言われますが、わたしがパーソナルな本棚を寝室に置いているのも、自分が見透かされるような気がするからかも知れません。毎年、たくさんの本に出合いながら‟蔵書”として棚に残されている本たちは、わたしの興味とライフスタイルの結集。まさにAll about meです。半世紀にわたって大切にしている仕事で出会った美容レジェンドたちのエッセイやファッションに関する本。コロナ禍以来増えたミニマムなライフスタイルを指南する本に加え、「この数年は健康に関する本が増えてきたなぁ」とか、「去年古典をたくさん読んだのはドラマの影響?」など、一冊ずつ手に取って埃を祓いながら‟キープ”、‟手放す”と断捨離するのですが、それはある種のレクリエーションのよう。パラパラとページをめくると、その本を初めて手にしたときのことがフラッシュバックしてきます。写真や手紙、グリーティングカードなどの片付けと同様、なかなか仕分けが進まずあっという間に時間が経ってしまいます。
そして棚卸しの終わりには「もう一度読もう」と思った本を5、6冊ピックアップするのですが、直感で選んだそれらの本からも、今のわたしの興味や志向が分かります。また、読み返した本からは、最初に読んだときには気に留めなかったことに気づいたり、新しい感動に出合えるのもうれしいこと。それも自分の興味や環境の変化なのかも知れません。
今年選んだのは、シンプルな美学を提唱するドミニク・ローホーさんのエッセイ、数年前に実家から持ち帰ったミヒャエル・エンデの『MOMO』、老子や荘子、論語など中国古典が一日一語で紹介されている本、尊敬する書家でアーティストの篠田桃紅先生の著書、そして20代で背伸びして読んだマルグリット・デュラスの小説でした。シンプルライフと古典、ファンタジー。
これらの本たちは、今わたしが必要としている何かを、きっと教えてくれるはず。と感じます。
猛暑の休日。涼しい部屋で温かいお茶を飲みながら、懐かしい本と再会する。
そして、自分の現在地を確認する。そんな過ごし方も楽しいのでは? と思っています。
丸野ひかる(まるのひかる)
米国のカレッジ卒業後、30年間以上、外資系化粧品会社にて新規ブランドの立ち上げ、マーケティング、PRマネージャーなどオールマイティに活躍。現在はフリーで、コスメ、ファッション、ライフスタイルなど「面白くて、人を幸せにするモノとコト」のPRに。日々の癒やしは、最愛のモフモフ猫との添い寝。