スタイリスト青木貴子さんによる、素敵な人に一歩近づく生き方指南。こんな時代だからこそ、前を向いて歩いていくためのヒントをお届けします。
マナーとモラル、「素敵」の近道

インバウンドの方が増えて、いい事もありよくない事もありと何かと話題になっていますよね。知り合いの方のご実家は観光客が多い地方都市。なんと風情のある日本家屋が珍しいのか離れにある蔵に不法侵入されてしまったり、敷地内で飲食をされるなんてことが頻発して困っているというような話を聞きました。表参道や銀座も歩道横一列をグループの人で歩くから相互通行が困難になったり、歩道の真ん中で何人かが立ち止まって話をしているといった、観光客困ったあるあるをよく見かけます。これらは良くないマナー違反の例。
でもこれって全員がそういうことをする人ばかりではないので、善良なる観光客の方は一括りにされていい迷惑ですよね。インバウンドの方に対して苦情めいた話を聞いたり見かけたりする一方、私はとても感心していることがあります。それは公共交通機関内でのこと。
海外旅行中の方は電車やバスなどでほぼ必ずといっていいほどお年寄りや体の不具合な方、妊婦、赤ちゃんを抱いている人、小さい子供に席を譲ります。特に男性は、目が合うと相手が女性というだけでもさっと席をたってどうぞというゼスチャーをしてくれる。この光景は何度も目にしていますし、実際私も席を譲って頂いたことがあります。こういうことがマナーというかきちんと身についているのですよね。モラル的に弱者を思いやる気持ちを持っている。
日本人はよく、人情味があるとか、優しい、マナーがちゃんとしていてすごいとか海外の方から好評価を受けているようですが、電車やバスで席が必要な人に譲らないで(言い方は良くないですが)しれっと座っている人が本当に多い。なんなら優先席ですらお年寄りが目の前にいても知らないふりなんて光景を目にします。これまた私の知人でヘルプマークをつけている人が言っていたのですが、席を譲ってもらったことがないと。海外と日本、相手を思いやる気持ちのこの差はなんなのでしょうか。席を快く譲る海外の方を見るたびに、ああ、素敵という気持ちと同時に日本人とほほ…と思ってしまいます。
いつかはみんな歳をとります、そしていつ自分が席が必要になるような身体の状態になるかもわかりません。そうなったときに席を譲ってもらえたら助かるし嬉しいですよね。だったらやっぱり健康なときは、必要としている人に席を譲るのがじゅんぐりじゅんぐりな行為なのではないかと思うのです。
なかには席を譲る勇気がないとか、譲ってみたら相手の方が感じ良くなかったなんてことがトラウマで躊躇しているひともいるかと思います。でもやっぱり自分がされて嬉しいことはしよう! そんな心持ちになるひとが増えると良いなぁ。さっと席を立って譲る人を見るとその人に対してはモラルのある素晴らしい人間性を感じます。そして素敵だなって思う。そういう人は顔つきが美しいです。
よく「素敵な人になりたい」なんて言葉を聞くことがありますが、「素敵」は日々のこんな心がけから身についていきます。マナーやモラルを守ることは素敵への近道。これって周りへの配慮が出来ているということでもあります。そんなひとって魅力的に見えますよね。一日一善にも通じることですが、周囲を見回して良い事をすることによって、自分が感じる幸福度も上がってきそう。あなたが健康だったら、そして席が必要そうな人を見かけたら席を譲るというアクション、積極的に初めてみては如何でしょうか。

