自分らしいスタイルを見つけ、充実したライフスタイルを目指すGINGER世代。日々を生きやすくする、楽しくするチップスをライフスタイルマーケターの丸野ひかるさんがお届け!
Spring is just around the corner

イギリスに、“March comes in like a lion, and goes out like a lamb(3月は荒々しいライオンのような気候で始まって、子山羊のように穏やかな気候で終わる)”ということわざがあります。冬から春へと移り変わる3月にぴったりな表現!と思う反面、近年の日本は、ライオンと子山羊が共生しているのでは?と思える気候が続いています。
子山羊のように優しい春の気候から、ライオンの寒さに戻った朝、ベランダで羽化して間もないアゲハ蝶を見つけました。暖かさに慌てて羽化してしまったのでしょうか? 羽が開かずうまく飛べない様子。急いで適当なカゴを探し、暖かい家の中に迎え入れました。
我が家のレモンの木にアゲハ蝶が産卵するようになって5年になります。毎年、幼虫を見つけると近隣の鳥たちから守るためのネットを張ったり、秋にサナギになった子は冬の間家の中に保護するなど、羽化するまでをサポートしているのですが、3月に羽化した子は初めて。しかも羽がねじれて広がりません。手負いのアゲハ蝶をケアする方法をネットで調べ、アゲハの師匠(友人の母上が何百というアゲハを東京で羽化させている達人なのです)に教えを乞いました。カゴの中に蝶がつかまれる小枝とともに、小さな花の中に砂糖水を入れてあげると、口からストローのような管を出して一生懸命に吸い始めました。お腹がぷっくり膨れると小枝に止まって羽を休めています。“大空を飛ぶことはできないけれど、甘い蜜は味わって”、と小さな命を愛猫と一緒に見守っている毎日です。
今ではアゲハ蝶の産卵を楽しみにしているわたしですが、以前は蝶や昆虫が少々苦手でした。学生時代の友人に「今年もこんなに綺麗な子が羽化しましたよ」と写真を送ると「山の合宿で、誰よりも虫を怖がっていなかった?」と驚かれています。でも、アゲハ蝶と出会い、小学生のように毎日観察したことで、ムシャムシャとレモンの葉を一心不乱に食べている様子や、威嚇してツノを出す姿が何とも可愛らしく感じました。そして、最大の感動はサナギから羽化する瞬間。弱々しく開いた羽を何度も、何度も羽ばたかせ、一時間余りをかけて少しずつ飛ぶ練習をすると、ふわりと風に乗って大空へ舞い飛んでいく様は神秘的な儀式のよう。その美しい姿に思わず、“また、おいで”と声をかけてしまいます。
長く生きていると苦手なものが増えてきます。以前のわたしのように虫が苦手な方、鳥、狭いところ、高いところ、辛いものなどなど世間には様々な苦手が存在します。物だけでなく、‟おせっかいな人”、‟おしゃべりな人”、‟面倒な人”など‟苦手な人”の存在も。アゲハ蝶との出会いは、わたしに苦手を克服する喜びを教えてくれました。‟苦手意識”を忘れて、フレキシブルに触れてみる世界が少し広がります。‟苦手”と感じる動物も、物も、人も、柔軟な気持ちで接してみると‟案外大丈夫かも?”と感じるかも知れません。小山羊のような春の陽気が、柔らかな気持ちを運んでくれますように。優しい春をお迎えください。
丸野ひかる(まるのひかる)
米国のカレッジ卒業後、30年間以上、外資系化粧品会社にて新規ブランドの立ち上げ、マーケティング、PRマネージャーなどオールマイティに活躍。現在はフリーで、コスメ、ファッション、ライフスタイルなど「面白くて、人を幸せにするモノとコト」のPRに。日々の癒やしは、最愛のモフモフ猫との添い寝。

