Travis Japanの七五三掛龍也さん、吉澤閑也さんがW主演を務めるミュージカル『ダブリンの鐘つきカビ人間』が7月3日より東京国際フォーラム ホールCにて開幕。初日を前に取材会、公開ゲネプロが行われた。ここでは劇中ショットを交えながら、取材会の様子をメインにレポートする。
伝説の舞台『ダブリンの鐘つきカビ人間』とは?
ダークファンタジーを得意とする後藤ひろひとさんの傑作。1996年、劇団・遊気舎にて初演。以降、2002年、2005年、2015年と何度も上演され、多くの観客を魅了してきた。今回が9年ぶりの上演となり、初のミュージカル化。ミュージカルからストレートプレイまで数々の話題作を手がけるウォーリー木下さんが脚色・演出を担当し、ケルト音楽に造詣が深い中村大史さんが音楽面から作品を盛り上げる。グッと引き込まれるポップかつダークでファンタジーな世界観、どこか愛らしさを感じる個性豊かなキャラクター、大きく心を揺さぶられる悲しくも美しい恋の物語に、一秒たりとも目が離せない。
頼もしい皆さんと一緒にこの素敵な作品をお届けできるのが楽しみ
登壇者紹介の際、いの一番に七五三掛さんが衣装のハットを取り、体の前でくるっと回してからかぶり直す芸を見せると、続く吉澤さんもかぶっていたバケットハットを一度取り、回してからもとに戻した。2人以降もその一芸は続き、伊原さん&松尾さんは同じように帽子を、加藤さんは長い髪を前に垂らすようにし、トリの中村さんがアゴにつけた長いヒゲを揺らすと、ステージ上で笑いが起こった。そんな和やかな雰囲気のなか、質疑応答がスタート。
― 初日を迎えるにあたってのお気持ち、意気込みをお聞かせください。
後藤ひろひとさん(以下・後藤)「明日初日といいましても、私は稽古に参加していたわけではないので、緊張感がまったく違うんですけれども。こんなに素晴らしい劇場で、美しいセット、衣装とともに始まるというのが、ものすごく嬉しいことだなと思います。30年前くらいに書いたカビ人間とおさえの悲しいストーリーなんですけど、こんなに幸せな2人はいないかなとも思います。楽しい舞台になると思いますので、よろしくお願いします」
ウォーリー木下さん(以下・ウォーリー)「充実した稽古でした。劇場でいろいろ調整して、明日の初日には120%が出せると思いますので、ぜひ期待していてください」
七五三掛龍也さん(以下・七五三掛)「今回初めてTravis Japanメンバーの閑也と一緒にW主演という形でやらせていただいているんですけど、本当に緊張していて、それと同時にワクワクもしていて、明日が楽しみです。それとカビ人間としてハットの技をお見せするんですが、結構難易度が高いので本当に失敗しないように。100%成功できるように頑張りたいなと思っています」
吉澤閑也さん(以下・吉澤)「聡はすごく閑也に近いので、性格も近いですし、見た目もほかの皆さんに比べてほぼ閑也みたいな感じで(笑)。そういうのを皆さんにいじられたり、本当に和やかな雰囲気で稽古させてもらいました。そして今回“29歳”でお芝居にちゃんと打ち込むのが初めてなので、すごく緊張はしているんですけど、ちゃんと聡になりきれるように…」
七五三掛「まだ28歳だよね?」
吉澤「29歳に! 来月なります!」
会場「(笑)」
吉澤「でも本当にいい29歳を迎えられるように頑張ります」
伊原六花さん(以下・伊原)「最初に脚本を読んだときにもうめちゃくちゃ心を掴まれて、稽古がすごく楽しみでしたし、実際の稽古では悩みながらもすごい楽しい日々を過ごさせてもらいました。劇場入りしてからもウォーリーさんの照明とか、いろいろ仕掛けがあるんですけど、新たな発見がここでもたくさんあったので。頼もしい皆さんと一緒にこの素敵な作品をお届けできるのがすごく楽しみです。頑張りたいと思います」
加藤梨里香さん(以下・加藤)「お客様がこの作品を観てどんな反応をするんだろうって今すごくワクワクしています。真奈美は聡と一緒にこの物語のなかに入り込んでいくキャラクターなんですけど、お客様も2人と一緒にどんどん入り込んでいって、そして最後の結末をどう見届けるかっていうのをぜひ楽しんでいただけたらなと思います。(聡と真奈美は)とにかくよくしゃべる2人なので、その掛け合いも本番楽しめたらなと思います」
松尾貴史さん(以下・松尾)「この作品は1996年が初演だと思うんですけど、それを下北沢のザ・スズナリで実際に観ていまして。この小劇場でこんなに壮大な世界を繰り広げられるんだって驚いたのを覚えています。その後パルコ劇場で大倉孝二くん、片桐仁さんがカビ人間をやって、そのときも客席で観ていたんですよね。そんな名作にまさか自分が呼んでいただけるとは。今回初めてミュージカルにもなって、要素がすごく多くて、さらに回るステージなもんですから、前を見てたら後ろがわからなくなるという(笑)。もう本当におろおろしながら、皿回しを何十枚もやる人みたいな気持ちです(笑)。出演者、スタッフ全員そんな感じで明日の初日に臨むことになるかと思いますが、そのあたりも含めて想像していただけたらいいなと思います」
中村梅雀さん(以下・中村)「すごい奇想天外な設定で、しかもファニーでキュートでラブリーでショッキング、だけど実はすごい深い。謎がたくさん詰まったファンタジックなドラマです。しかもこのステージ本当にびっくりするような仕掛けがたくさんあって、ただなぜか非常にアナログに動いている部分もあるので、本当に一人ひとりの一瞬の不注意でどんなことになるかわからないっていう、すごい目まぐるしいステージになっています。でもこれでお客さんが喜んでくれるかなと思うと、本当にワクワクしております。どうぞご期待ください」
― 長い歴史を持つ伝説の舞台が初のミュージカルに。後藤さんの思いをお聞かせください。
後藤「最初は驚きました。ただ実は私自身もずっとやってみたいなとは思っていたことだったので、ウォーリーくんからやってみたいと言われたときは、もう彼に任せるしかないなと。安心して任せられましたし、おもしろいものになっていると思います」
― ミュージカル化にあたって、ウォーリーさんはどんなところにこだわりましたか?
ウォーリー「そうですね。でも本当に筋立てがしっかりしていますし、ファンタジー的な要素もあれば、現実的な要素もあって、登場人物たちのカラフルな群像劇でもある。ミュージカルには打ってつけの作品だと最初から思っていました。今日も稽古していて、改めてミュージカルにしてよかったなと思いました」
カビ人間と向き合うことで自分の新たな扉が開いた
― 今作へのオファーをいただいたときどんなお気持ちでしたか? まずは七五三掛さん。
七五三掛「本当に嬉しかったですね。お話をいただいたときにこの脚本を読ませていただいて、物語の楽しさと恐怖、2つのドキドキを感じました。あとカビ人間を演じさせていただくということで、今まで挑戦したことのない役柄で、ビジュアルもそうですけど、いろいろと初めての挑戦でした。稽古中はどう演じたらいいかというのをすごく考えながらやっていました。ここまでピュアで心がきれいでまっすぐな性格の役を初めてやらせていただいたので、自分のなかでも新たな扉が開いたような感じがあります」
― ピュアな部分でいうと、七五三掛さんと通ずるようなところもあるように思いますが…。
七五三掛「そうですね。僕もまっすぐすぎて結構空回りすることがあるので(笑)、そういった部分では共感できるところがあったかもしれないです」
― カビ人間には醜い容姿という設定がありますが、カビ人間に変身された後の七五三掛さんのビジュアル、全然醜くないですよね。
七五三掛「本当ですか? カビメイクっていうので顔にカビをつけているんですけど、メイクさんにつけてもらったり、自分でもこの小さい粒をひとつずつつけているんですね。だからすごく時間がかかるっていう。完成まで1時間20分くらいかな」
― それでは皆さんより早くメイクに入られて?
七五三掛「早かったり、あとはメイク時間を長く取っていただいています」
松尾「(メイクルームの)隣の鏡にいる人がどんどん変わっていくもんね」
七五三掛「そうなんです。僕がずっと同じ場所に座っている間に、隣の席はどんどん人が変わっていくという」
― 顔中がヒゲで覆われた中村さんもお時間がかかるように見えますが…。
中村「30分前を過ぎてからメイクに取り掛かります(笑)」
芝居に本格初挑戦。セリフの覚え方から教えてもらった
― 次に吉澤さんはいかがでしょうか? オファーをいただいたときの感想を教えてください。
吉澤「もう本当にびっくりで、『え、僕でいいんですか?』って最初マネージャーさんに言って。お芝居自体初めてなので、セリフの覚え方もわからないし、どうすればいいんだろうというときに、キャストの皆さん、ウォーリーさんがすごいアドバイスをくれて。本当に吸収することばかりです、毎日が。刺激的で、稽古期間も過ぎるのが早かったです」
― 今はもう万全の状態でしょうか?
吉澤「はい! で、僕のメイクの時間は15分ぐらいです」
会場「(笑)」
― 同じグループで活動している七五三掛さんと吉澤さん。お互い支え合いながら稽古に臨まれたんでしょうか?
七五三掛「普段グループでは“しめしず”って言われているんですけど、このミュージカルでは普段グループで見せている“しめしず”とはまた違った“しめしず”になってくるのかなと思います。新たな“しめしず”が見れると思います!」
レポートは後編に続く。お楽しみに!
Information
PARCO&CUBE produce 2024 ミュージカル『ダブリンの鐘つきカビ人間』
作/後藤ひろひと
脚色・演出/ウォーリー木下
音楽・音楽監/中村大史
出演/七五三掛龍也 吉澤閑也(ともにTravis Japan)、伊原六花、加藤梨里香、入野自由、コング桑田、小松利昌、竹内將人 安田カナ、安福毅、Ema、工藤広夢、半山ゆきの、松尾貴史、中村梅雀
演奏/中村大史、奥貫史子、石崎元弥
企画・製作/パルコ/キューブ
【公演】
東京公演:東京国際フォーラム ホールCにて2024年7月3日(水)~10(水)
大阪公演:COOL JAPAN PARK OSAKA WWホールにて7月20日(土)~29日(月)