世界のトレンドをリードしてきたラグジュアリーブランドは日々進化しています。変わらず素敵なブランドの、変化する舞台裏を取材。今回は、メジャーブランドでありながらアグレッシブな改革の連続で流れを確実に変えた、グッチにフィーチャー。
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Gucci off The Gridに今年仲間入りした新色はシックなアッシュグレー。キャップ¥46,200、バッグ〈上〉(H27×W19.5×D12cm)¥137,500、バッグ〈下〉(H14×W24×D5.5cm)¥121,000/すべてグッチ(グッチ ジャパン)
Gucci off The Grid(グッチ オフ ザ グリッド)とは
Gucci off The Gridとは、昨年ローンチされた、サステナビリティに特化したコレクション。100%再生ナイロン糸エコニール®︎をはじめ、オーガニック素材、バイオベースなど持続可能性の高い原料や素材にとことんこだわりぬいたラインナップは話題となった。
さらに素材そのものだけでなく、生産から流通まで、環境への負担を最大限考慮したこのコレクションは取り組み同様、GGパターンのキャッチーなデザインも人気の理由。老若男女の区別なく「可愛くて地球にも優しい」アイテムを持つことで、ファッションで自分の考え方やポリシーを主張する時代が訪れたのだ。
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オリジナルのサステナブル素材 GGスプリーム キャンバスは、安全な方法で生産されたコットンとポリエステルを使用。バッグ(H24×W30×D12cm)¥279,400/グッチ(グッチ ジャパン)
いち早く宣言した「ファーフリー」
ラグジュアリーブランドのなかでも、「毛皮を使用しない」という声明を早い段階から発表し、ファッション業界を驚かせたグッチ。リアルファーの定義は養殖・野生のものにかかわらずこれまであたり前に使われてきた毛皮の使用をやめるというもので、2018年の春夏コレクションから実施された。
CEOのマルコ・ビッザーリ氏も当初「リアルファーは時代遅れ」と発言しており、新しい時代の流れをいち早く汲んだ決断が見て取れる。
グッチのこの宣言は、他ブランドのサステナブルな取り組みに影響を与えたことは言うまでもないが、私たち消費者の意識を変えるきっかけにもなった。現に、多くの人がエシカル消費に関心を持つようになり、“リアルファー=高級、エコファー=ニセモノ”といったこれまでの思い込みを手放すこととなったのだから。
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リッチ&カジュアルが今どきなエコファー。まだ暑さが残る今の時季から足元に取り入れて、いち早く秋を先取り! サンダル(ヒール2.5cm)¥110,000/グッチ(グッチ ジャパン)
格差への挑戦
グッチが注目される多くのサステナブルな取り組みのなかで、近年よりフォーカスされているのがジェンダー、人種、経済などさまざまな格差に挑むもの。
’13年にスタートしたCHIME FOR CHANGE(チャイム・フォー・チェンジ)は、すべての人が平等であることや多様な自己表現を実現するためのグローバルプロジェクト。オリジナルの出版物で当事者の生の声やリアルな意見を集め広く発信し、アクティビストたちの活動を紹介するなど、画期的かつ積極的な取り組みが行われている。
また、新型コロナウイルスの蔓延により深刻化している格差問題を、グッチはひとつの大きな声として集約し、支援活動を強化していくことを発表した。
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鉱山で産出するところから顧客の手元に届くまで、人権を尊重し環境を守ることを約束しているファインジュエリー。リング〈上〉¥107,800、〈下〉¥121,000/ともにグッチ(グッチ ジャパン)
一挙手一投足に注目が集まるグッチの今後にぜひ注目を。