アラサーの女性は野菜を積極的に摂らなければ!と心がけている人が大半だと思うけれど、国が推奨する一日の野菜摂取目標量は350g。実際、この量を摂れているかは微妙…。健康と美容のためにも、今が改めて見直すときかも。
ラクしてすぐ作れるレシピ動画や「#OL仕事めし」が大人気、栄養士・料理研究家のもあいかすみさんに、アラサー世代のリアルな野菜摂取の事情と、手軽に効率良く栄養を摂るヒントを聞いてみた。
野菜を食べよう!と思っていても危機感はそれほどない
「野菜摂取目標量の350gとは、生野菜だと両手いっぱい分、茹でた野菜ならば片手いっぱい分と言われています。アラサーの女性たちに限らず、みなさん野菜摂取量は足りていない印象です」
実際、厚生労働省の発表(平成28年度)では、20代女性の平均野菜摂取量は228.6g、30代女性は237.2gといずれも目標量に達していない。
「ただ野菜を目標量まで食べていなくても、すぐに体に不調をきたすということはないと思うんですね。だから“野菜を食べよう!”という意識はあって、危機感はそれほどないというのがアラサー女性の本音ではないでしょうか」
未来の健康のため、明日の美容ために野菜を摂る!
「“野菜の値段が高いから”“サラダを作るのは意外に面倒”と、目先のことに気をとられて、野菜摂取をついつい怠っていませんか? 10年後、20年後の生活習慣病を予防するためには、今のうちから野菜を積極的に食べる習慣がとても重要なんですよ」
普段の食事で足りない栄養素は、サプリメントで取ればいい、そういう声も増えているよう。
「私自身も、肌荒れしているときや風邪ぎみのときなど、目的があってビタミンCのサプリメントを摂ったりします。でもサプリメントはあくまで補助的なもの。それ以外の栄養素が摂れるわけではありませんよね。野菜には食物繊維、ビタミン、カロテノイドなど、さまざまな栄養素が含まれていて、ある意味万能。食物繊維がきちんと摂れていないと肌荒れするし、お通じが悪くなると言われています。コラーゲン生成に関わってハリをもたらしたり、シミをケアする美肌成分のビタミンCや、体の酸化・老化を防ぐ抗酸化作用のあるカロテノイドを含む野菜も多いので、アラサー世代は明日の美容のためにも野菜をもっと摂取したいですね」
野菜摂取7つのヒント
1、コンビニランチの日は……一品プラス
「よく言われることですが、コンビニなどでお弁当を購入する場合は、自分が食べたいと思ったメニューにもう一品。単品ですとどうしても野菜が不足しますから、副菜やサラダをプラスしてください」
2、摂る野菜が偏りがち……緑黄色野菜からチョイス
「野菜摂取目標量350gというのは、今日必須のミネラルやビタミンなどが摂れるという目安でもあります。きゅうりだけ、もやしだけで350gを摂ったとしても、摂取できる栄養素は少なめ。単品を食べるより、いろいろな種類の野菜を組み合わせることが大事です。栄養価の高いトマト、カボチャ、ニンジンなど緑黄色野菜を中心に選んでみて」
3、朝昼夜と野菜を食べられない……食べられるときでOK
「これは個人的な意見ですが、朝昼晩、野菜は食べられるときに多めに食べて、少ないときがあってもいい。要は一日の中でバランスが取れていれば良いと思っています。またいろいろな野菜を食べようと言われても、一日10種類以上を食べるのは現実的には難しいですし、買っても使い切れないですよね。例えば一日3種類、毎日違う野菜を組み合わせてローテーションで食べてみるのはどうでしょう。複数の野菜が入っている市販のカット野菜などを活用しても◎」
4、野菜が嫌い……嫌いな理由を明確に
「生野菜が苦手、という方は意外に多いです。また野菜嫌いな人は量を食べたくないので、加熱してカサを減らして食べてみるのもおすすめ。それからなぜ嫌いなのかを考えてみて。ピーマンの苦みが苦手なら、湯通ししたり、中のわたを取ったり。嫌いな理由を軽減するための調理方法や味付けにも挑戦しましょう」
5、野菜をドカ食いしがち……毎日食べることを基本に
「例えば3日に1回、野菜をドカ食いするというのはだめです。その理由は、野菜には水溶性ビタミンと脂溶性ビタミンの2種類があって、ビタミンB群やビタミンCなどの水溶性ビタミンは体に蓄積されずに尿と一緒にどんどん排出されてしまうから。毎日ちゃんと野菜を摂り続けるというのが、体のサイクル的にはいいと思います」
6、野菜ジュースでノルマ達成?……味方にするもののひとつ
「野菜は洗浄や保存、調理法によって、栄養価が変化します。そのため一日分の野菜摂取目標量を含んだジュースなどは、実際350gの野菜を使っていると思うんですけど、生産工程で熱に弱いビタミンCや食物繊維などの栄養素は生で食べるよりも少なくなっていると考えられます。つまりジュースなどの加工品は、生の野菜と比較して栄養価は変化しているという意識を持ちつつ、味方にしてほしいです」
7、野菜の栄養素を意識すべき?……効率の良い取り方を意識する
「美容感度の高い方や、健康に気を遣っている方は、野菜の栄養素に注視されていると思いますが、意識しすぎて続けられなくなるのはもったいないですね。ただ、野菜の栄養素は調理法や組み合わせなどによって、吸収率に差が出るので、効率の良い取り方を覚えておきましょう」
まずはこの時季の美容に欠かせない、野菜の栄養素でチェック!
・ビタミンC…「ビタミンCが豊富な野菜と言えば、ほうれん草。調理方法でそのビタミンC量が変わることはよく知られていますよね。切ってから茹でると、切断面からビタミンCが流失。野菜のビタミンCの残存率を考えるなら、茹でるより蒸す、特にレンチンでの調理がおすすめです。またビタミンCは鉄の吸収率をアップ。貧血気味の方は、葉酸と一緒にビタミンCの摂取を」
ハリのもと、シミケアに欠かせないビタミンCは、野菜からも積極的に摂取したい!
・カロテノイド…「ニンジンやトマトなどでおなじみのカロテノイドは、ビタミンAの仲間です。ビタミンA、D、E、Kは、脂溶性ビタミンといわれ、体に蓄積されやすく、火に強いという特徴があります。そのため調理したほうが、吸収率が高まります」
優れた抗酸化作用で知られるカロテノイドは、生で食べるニンジンではわずか10%しか吸収されないそう。最新の研究では、野菜とヨーグルトを一緒にとると、カロテノイドの吸収率が高まるという報告も。ヨーグルトの乳酸菌と野菜の食物繊維で腸活にもなって一石二鳥。
・ビタミンD…「キノコ類に多く含まれるビタミンDは体づくりに欠かせない栄養素。エノキのビタミンDは切断面から出るといわれているので、より細かく刻んで調理したほうが、栄養素をもれなくいただけます。またビタミンDは牛乳などカルシウムと一緒に調理すると吸収率が高まります」
ちなみにビタミンDの供給は食品から摂る以外に、日光を浴びることもポイントに。
・カリウム…「もやしなどに含まれるカリウムは、塩分を摂り過ぎたときなどに水分を排出するという作用をもたらします。カリウムも水に溶けやすいので、もやしなどを加熱する場合はやはりレンチンで。またスープで食べると無駄なく栄養素が摂取できます」
体内でもっとも多く含まれているミネラルがカリウム。春夏は冷房などで体が冷え巡りが鈍化しやすく、むくみやすいので注目を。摂取量を増やすことで、むくみ防止が期待できそう。
「野菜はアラサー世代が一番摂りたい食べ物No.1、と個人的に思っています。お通じにいいですし、いっぱい食べてもカロリーは低め。これほど美容の味方になる食材はないですよね。美しくキレイでいるためにと思うと、もっと頑張って野菜を食べられそうです」
もあいかすみ
栄養士・料理研究家。大学卒業後、食品メーカーに就職。全国チェーンのレストランや居酒屋など幅広い業態のメニュー開発を手掛ける。著書に忙しく働きながら自炊してきた経験をまとめた『がんばらなくてもできる おいしい! すぐレシピ』(KADOKAWA)。Instagram『MOAI‘S KITCHEN』のフォロワー数は77万人超え!