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TIMELESSPERSON

2026.09.19

鈴鹿央士×森七菜「欲望って、滑稽でどこか愛おしい」1億円に翻弄される“獣たち”を演じて

もし、目の前に1億円の入ったバッグが落ちていたら——。映画『藁にもすがる獣たち』は、そんな誰もが一度は想像する欲望の入り口から始まるマネーサスペンス。欲望に突き動かされる“獣たち”を演じた鈴鹿央士さんと森七菜さんにインタビュー。役作りの裏側から、お互いの印象、そして作品が映し出す人間のリアルな欲望について語ってもらった。

欲望むき出しのマネーサバイバル

──出演が決まったときのお気持ちを教えてください。

鈴鹿央士さん(以下、敬称略) 韓国版の映画を観ていたので、「自分がこの役を演じられるんだ!」という驚きが最初にありました。ですが、原作ではもっと年齢が上のキャラクターですし、自分の世代の設定で演じられるのはすごくうれしかったですね。「やったー!」という気持ちでした。

──脚本はだいぶ変わっていましたよね。

鈴鹿 そうですね。企画段階から、原作者様とも相談しながら設定を大きく変えていると聞いていました。例えば、YouTuberという現代的な職業になっていたり。物語の核となる部分は残しつつも、今の時代に合わせて再構築されていたので、それも含めて楽しみでした。

森七菜さん(以下、敬称略) 私は脚本を読んで、想像以上に“獣”でしたし、想像以上に“すがっている”人たちの物語だなと思いました(笑)。撮影に入る前は、自分のパートだけを読んでいたんです。1億円がどこから来て、どういう経緯で自分の手元に渡るのかとか、全体像はあえて追わないようにしていました。

──それは意図的に?

 そうです。自分の役自身も状況を完全には把握していないので、その不安や戸惑いを残したまま演じてみようと思って。彼女自身、お金の出どころも知らないのに、そのお金を自分のものにしようとする度胸がある人物。だから私自身も、「物語がどこへ向かうのかは監督に委ねて、とにかく役を楽しもう」という気持ちで撮影に臨んでいました。

──完成した作品をご覧になって、率直にどんな感想を抱きましたか?

鈴鹿 めちゃくちゃ面白かったですね。韓国版と比べるとかなり別物になっていて、日本版のオリジナリティも感じました。かなり血みどろな描写がありますし、「ここまでやるんだ」と。でも、ただ過激なだけではなくて、『仁義なき戦い』のようなエッセンスの使い方も面白かったですし、いろいろな世代の方に楽しんでいただける作品になっているなと思いました。

 私は、ずっと札束に乗せられているような感覚でした(笑)。物語の展開がどんどん変わっていくし、中心になる人物も次々に入れ替わる。登場人物たちの状況も目まぐるしく変化していくので、まったく安定していないんですよね。その予測不能な感覚がすごく楽しくて。観ている人にも、ジェットコースターに乗っているような気持ちで楽しんでいただけたらうれしいなと思いました。

──おふたりともかなりクセの強いキャラクターを演じられていますが、それぞれ役のどんな部分に魅力を感じましたか?

鈴鹿 僕が演じた佐藤寛治も、タイトル通り“藁にもすがる獣”のひとりなんですけど、彼の場合はお金そのものというより、おばあちゃん(佐藤富子/役:風吹ジュンさん)の存在にすがっている人なんだと思いました。

ずっとふたりで暮らしてきて、おばあちゃんが少しずつ認知症が進んでいくなかで、「この生活を失いたくない」という思いがある。だから1億円を手に入れようとするのも、自分のためではあるけれど、根底にはおばあちゃんへの思いがあるんじゃないかなと感じました。そう考えると、すごく優しい青年。

監督からも、おばあちゃんの認知症については「あまり重くなりすぎないでほしい」と言われていて。もし「施設に入れるお金をどうしよう」とか、そこばかりに目を向けるとどんどん重たい話になってしまう。でも彼には1億円という希望が見えているから、「これで何とかできるかもしれない」という受け止め方ができる。そのバランスは意識していましたね。

 し〜なは、本当にヤバい人です(笑)。正直、彼女の行動を肯定することはできないんですが、もし手段さえ違っていたら、この熱量なら何かの金メダルを獲れていたんじゃないかと思うくらい、ものすごいエネルギーを持っている人。その情熱はある意味あっぱれだなと思いましたし、あのパワフルさを演じるのはすごく楽しかったです。

──演じるうえで意識したことはありましたか?

 あまりに現実離れした人物になってしまうと、観ている人が感情移入できなくなってしまうと思ったんです。だからし〜ながふと見せる優しさだったり、思い通りにならなかったときの落胆だったり、そういう人間らしい部分はしっかり地に足のついたものとして表現したいと思っていました。彼女なりの不完全さというか、弱さみたいなものは残したかったですね。

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──関わりのないような登場人物たちが、物語が進むにつれて少しずつ交わっていく構成も印象的でした。改めて、おふたりが注目してほしいポイントを教えてください。

鈴鹿 やっぱりストーリーの緻密さです。それぞれの登場人物が抱えている物語が少しずつ絡み合っていく過程が本当に面白い作品だと思います。ただ、あまり難しく考えずに観ていただきたい気持ちもあって。ポップコーン片手に、純粋にエンターテインメントとして楽しめる作品なんですよね。上映時間も95分と比較的コンパクトですし、テンポもすごくいい。なので、まずは「映画館で映画を楽しむ」という感覚で観に来ていただけたらうれしいです。95分だけ時間をください!

 本当にエンターテインメント感満載の作品。タイトルからしてかなりインパクトがあるんですけど、そのタイトルをさらに上回るような、とんでもない発想をする“獣たち”がたくさん出てくる(笑)。

ストーリーももちろん、キャストの皆さんも本当に豪華なので、映画館そのものが遊園地みたいな空間になるんじゃないかなと思います。笑えるところもあるし、切なくなるところもある。いろいろな感情が詰まっている作品なので、ぜひ楽しんでほしいです。

鈴鹿 この作品は、お金に翻弄されていく人たちの物語。観ていて「お金って怖いな」と思いました。登場人物たちは愚かなんですけど、どこか愛おしくも見えて。人間の欲が描かれているから滑稽さもあるし、切実さもある。ただ個人的には、「お金の管理には気を付けよう」と思いました(笑)。

森 急に現実的(笑)! たしかに、人によって欲の出方って全然違います。この作品に出てくる人たちはかなり極端なんですけど、不思議と責め切れないところもある。もし自分が同じ状況まで追い詰められたときに、「絶対こうはならない」と言い切れるかといわれると、自信はないですし。だからこそ、自分のなかにもある感情として重ねられます。人間なら誰でも持っている欲望や弱さを、登場人物たちは隠さず全部さらけ出している。その潔さというか、振り切り方は見ていて気持ちいいですし、そこもこの作品の面白さだと思います。

鈴鹿 もし本当に突然1億円が手に入ったら、人って変わるんですか?

森 変わるでしょう(笑)。だからこそ、この映画の登場人物たちの気持ちもどこか分かってしまうんだと思います。

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──今回共演されて、お互いにどんな印象を持ちましたか?

 お互いに自分のなかに流れている時間の速さが違うんですが、その感覚が少し似ている気がしました。なんか……不思議でした。

鈴鹿 僕も同じことを思っていました。ぜんぜん違うけれど、不思議と居心地がいい、みたいな。森さんはすごく面白い方だと思いました。何でも楽しもうとしている感じがいいなと思います。

──タイトルにちなみ、お互いを動物に例えるとしたら?

 でも、鈴鹿さんって一種類の動物じゃない気がする。いろんな動物を合わせて、“スズカオウジ”っていう生き物になる(笑)。

鈴鹿 森さんは、う〜〜ん……インコ?

 インコ!? うれしくない(笑)!

鈴鹿 いや、待ってください(笑)。パンダかレッサーパンダかインコで迷ったんです。

 パンダって喜びそうなの付け足してない(笑)?

鈴鹿 なんか、ぴょんぴょん飛び跳ねているイメージがあるんです。

 へえ〜〜そういうふうに見えてたんだ。

鈴鹿 いや! レッサーパンダです!

 レッサーパンダなら受け入れます(笑)。

【9月25日(金)公開】映画『藁にもすがる獣たち』

©曽根圭介/講談社 ©2026「藁にもすがる獣たち」製作委員会

弱小大学生YouTuberの佐藤寛治(役/鈴鹿央士さん)は、バイト先のネットカフェで1億円の札束が詰まったバッグを発見し、思わず持ち去ってしまう。やがて、その大金を巡って不良警官(役/成宮寛貴さん)、謎めいた女“し~な”(役/森七菜さん)、ヤクザらの思惑が交錯。無関係だった人々の人生は欲望によって絡み合い、予測不能なマネーサバイバルへと発展していく。

出演/鈴鹿央士 成宮寛貴 森七菜 MEGUMI 前田旺志郎 二ノ宮隆太郎 青木マッチョ 岩松了 小手伸也 風吹ジュン ほか
監督/城定秀夫
原作/曽根圭介「藁にもすがる獣たち」(講談社文庫)
配給/東映
warakemo-movie.com
@warakemo_movie
Instagram @warakemo_movie

鈴鹿央士(すずかおうじ)
2000年1月11日生まれ、岡山県出身。18年「MEN’S NON-NO」専属モデルオーディションにてグランプリを獲得。映画『蜜蜂と遠雷』(19)で第43回日本アカデミー賞新人俳優賞など数多くの映画賞を受賞。また、ドラマ「silent」(22/CX)での戸川湊斗役でも注目を集め、昨年は『リア王』で舞台に初挑戦。主な出演作に「六本木クラス」(22/EX)、「君に届け」(23/Netflix)、『ロストケア』(23)、『PLAY!~勝つとか負けるとかは、どーでもよくて~』(24)、「嘘解きレトリック」(24/CX)、『花まんま』(25)、「喧嘩独学」(26/Netflix)など。主演を務めるドラマ9「リーガルビート –逆転の法廷–」(テレ東)が放送中。また、出演する映画『ファーストボイス』の公開を10月2日に控える。
Instagram @ouji.suzuka.official

森七菜(もりなな)
2001年8月31日生まれ、大分県出身。新海誠監督の『天気の子』(19)ではヒロイン・天野陽菜役に抜擢され脚光を浴びる。第49回日本アカデミー賞では、社会現象を巻き起こした『国宝』にて優秀助演女優賞を受賞。主な出演作に、『ラストレター』(20)、「この恋あたためますか」(20/TBS)、『ライアー×ライアー』(21)、「舞妓さんちのまかないさん」(23/ Netflix)、『フロントライン』、『秒速5センチメートル』(ともに25)、「ひらやすみ」(25/NHK)、『炎上』(26)などがある。また、主演を務めるPrime Originalドラマ『地雷グリコ』が11月13日より配信スタート。
Instagram @mori.chan.7

SHOP LIST

ザ・ウォール ショールーム 050-3802-5577
シハラ トウキョウ 03-6427-5503

PHOTO=須田卓馬

STYLING=[鈴鹿さん]椎名倉平(ONWA)、[森さん]小蔵昌子

HAIR & MAKE-UP=[鈴鹿さん]青木理恵(art factory)、[森さん]渋沢知美(beauty direction)

TEXT=GINGER編集部

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