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TIMELESSPERSON

2026.07.30

世界がいま残したいもの。『世界館』に詰め込んだ対話とカルチャーへの愛

EXILE/FANTASTICSの世界さんが作りたかったのは、自身を飾る一冊ではなく、人との対話を記録する本。ダンサー、声優、クリエイター、イラストレーター――ジャンルを超えて集った仲間たちとの言葉の往復から見えてきたのは、変わらない“好き”と、その先にある創作への思い。カルチャーを愛する一人のオタクとして、そして新たなフェーズへ進む表現者としての想いを聞きました。

対談で見えてきた、それぞれの“出口”

――今回の一冊を構想する段階で、大切にしていたことやリクエストしたことはありましたか?

最初に思ったのは、いろんな人と話したいということでした。その対話を何か形として残せたら面白いんじゃないかと思ったんです。

だから最初から、他のメンバーのように写真集ではないのかもしれないなと思っていました。正直、自分の写真集を出すということには少し照れくささがあって。もしやるなら、50歳くらいになってからかな(笑)。

自分としては別のアプローチをしたかったんです。例えば、自分が好きな作家さんや表現者の方がこういう本を出していたら、読んでみたいなと思えるようなもの。そんな一冊を作れたら面白いんじゃないかと思いました。この人がこういう形で何かを残しているなら手に取りたい、と思ってもらえるような本を目指していました。

――イラストレーターの方々(広江礼威さん・ワダアルコさん・タスクオーナさん)とのコラボレーションが話題です! 振り返ってみて、いかがでしたか?

楽しかったです。僕自身はほとんど稼働してないですが(笑)。シチュエーションだけお伝えして、「こういう感じでお願いします」ってお願いしたら、皆さんがステキに描いてくださって、プロデューサーってこんな気分なのかな、と思いました(笑)。もちろん今回は自分の本だから純粋に楽しめた部分も大きかったですけど。

――対談も収録されていますが、やり取りを通じてご自身について新たに発見したことはありましたか?

最初は対談じゃなくて、コメントだけいただく形でもいいのかなと思っていたんです。でも、せっかくならちゃんとお話したものを残したいなと思って。元々親交のある皆さんなんですが、すごく気を遣ってくださって(笑)。普段、ご飯を食べながら話しているときの方が、もっとストレートにいろんなことを言ってくれるんですけどね。今回はいいことばかり言ってくださって、ちょっと照れました(笑)。

改めて感じたのは、クリエイターさんたちとの距離感です。ライヴを観に来てくださったときに連絡をいただきますし、僕も新刊が出たら感想を送ったりする。そういう関係性はすごくありがたいなと思います。でも意外だったのは、僕がすごく好きな方たちで公言しているのに、3人とも最初に「僕(私)のこと知ってるんですか?」みたいな反応だったことですね(笑)。

――そこから感じたことはありましたか?

本人に届いていないことって、意外と多いんだなと思いました。今ってポジティブな声よりも、ネガティブな声の方が目に入りやすい時代じゃないですか。作家さんたちと話していても、そういう話になることが多いんです。

昔なら出版社に届くファンレターが中心だったけど、今はSNSでハッシュタグを検索すれば、自分の作品へのいろんな感想がすぐ見えてしまう。それはクリエイターにとって結構大きな変化だと思います。だからこそ、「切ないですね」っていう話もしました。

――世界さんも表現者として、そうした声と向き合うことはありますか?

仲の良いクリエイターさんたちを近くで見ていて、そこまで気にしなくてもいいのかなと思う部分もあります。ネガティブな声に対する感情をうまくエネルギーに変えられる人が今の時代には必要なんじゃないかなと思っています。

気にしなさすぎるのも違うし、かといって全部を真に受ける必要もない。結局は結果で見せていくしかないと僕は思います。いろんな意見があることは受け止めつつ、「しょうがないか」と思いながら前に進むことの方が大事かなと思っています。

――以前から憧れていたクリエイターの方々とこうして対談し、本に参加していただくというのは、まさに“成功したオタク”。ご自身ではどんなタイプのオタクだと思っていますか?

どうなんでしょうね(笑)。自分ではあんまりそう思っていないんですけど、よく先輩方からは「ハイブリッドなオタクだよね」と言われます。自分で探した作品もありますが、周りにいるたくさんのお兄ちゃんやお姉ちゃんに勧められて見た作品が本当に多くて。よく「英才教育だね」なんて言われるんですけど、周りから見ると、いろんなジャンルを横断しているように見えるのかもしれません。

正直、僕なんか全然オタクじゃないですけどね。ただ最近は、あえて「オタクです」って言うようにしています。それを言うことで、「自分も一緒です」とか、「世界さんがそうなら自分も堂々と好きって言える」と思ってくれる方がいるかもしれないので。キャッチーというか、分かりやすい肩書きでもありますしね。

――昔と今では、“オタク”という言葉のイメージも変わりましたよね。

めちゃくちゃ変わりましたね。僕が子どもの頃は、“オタク”って今みたいな言葉じゃなかったですから。ただ、ストリートカルチャーとオタクカルチャーって、実はコミュニティの作られ方が似ていたんです。「自分たちだけが知っているやばい曲がある」とか、「このイベントが熱い」とか。そういう内輪の熱量や文化って、どちらのカルチャーにもあったような気がします。だから僕はどっちの世界にも自然に馴染めたのかもしれないです。

――今はアニメや漫画もすっかりメインカルチャーになりました。

日本の大事なコンテンツになったことは素晴らしいことなんですけど、たまに「ちょっといきすぎたな」と思う瞬間もあります。例えばアニメのアワードを見ていても、「そこはもっと監督さんやアニメーターさんが前に出てもいいんじゃないかな」と思ったり。

僕は声優の現場にも行くし、作家さんの話も聞くし、アーティストの現場も知っているので、それぞれの立場の声が少しずつ見えてしまうんですよね。表に出る華やかな部分と、現場のリアルな苦労の両方を見る機会が多いので、そのギャップに複雑な気持ちになることもあります。

――さまざまなカルチャーの現場を知っているからこその視点ですね。

だからこそ、「どうやったら作る人も、演じる人も、お客さんも楽しくいられるんだろう」みたいなことはよく考えます。今回の対談でも、そんな話が自然とできた気がします。カルチャーが大きくなることはステキなことです。でも、そのなかで新しいものを生み出そうとする人たちの熱量や自由さも、これからずっと残ってほしいなと思っています。

――ダンスパートにもさまざまな方との対談や鼎談が収録されています。

(植木)豪さん、KENZOさん(DA PUMP)、Toyotaka(Beat Buddy Boi)など、たくさんの方が出てくださってありがたいですね。「何を話すか」を細かく決めないまま始まった対談も多かったな。昔からご飯屋さんや楽屋で話していたようなことを、改めて言葉にした感覚に近かったです。KENZOさんとはラップやヒップホップカルチャーについて深く話したりもしましたが、基本的には普段交わしている会話を、ダンスや音楽に詳しくない方にも伝わるように整理しながら話していた気がします。

――長く交流を続けてきた方々との対話を通して、改めて感じたことはありましたか?

根底にあるものは、みんな昔から変わっていないなと思いました。結局みんな、ダンスや音楽が大好きなんですよ。その愛情みたいなものはずっと変わっていない。

ただ、年齢を重ねて立場が変わっていくなかで、その愛情の届け方は変化しているなと感じました。僕もそうですけど、30代後半、40代、50代になってくると、ダンスや音楽を知っている方だけじゃなく、全然違うフィールドの方たちとも仕事をするようになる。昔は出演する側だった人たちが、今は作品や番組を作る側にも回っているんです。

だから「好き」をどう伝えていくのか、「愛」をどう形にしていくのかを、それぞれが模索している。そのやり方を見つけて形にしてきた方たちが多いなと思いました。「今度こういう企画をやろうと思う」とか、「こういう作品を作りたい」とか、プレイヤーからプロデューサーへ視点が移っている方が増えている気がしました。

――ご自身もそうしたフェーズに入ってきていると感じていますか?

そうですね。もちろん自分が最前線で踊るのは大好きですし、それはたぶん一生変わらないと思います。でも、それだけではなくて、自分が立つ場所や環境そのものを育てていくことにも興味が出てきました。イベントを作るのか、番組を作るのか、何か新しい企画を立ち上げるのか。そういうことに面白さを感じるようになりましたね。

20代の頃は正直、「挑戦したい」と思っても何から始めたらいいのかわからなかったんです。予算をどうするのか、誰に相談すればいいのかもわからなかった。むしろ何も知らなかったからこその勢いもありますが(笑)。

――表現者としての考え方にも変化はありましたか?

かなり変わったと思います。声優や舞台、映像作品など、ダンス以外の表現にも真剣に向き合うようになったことで、自分のなかのレイヤーが増えた感覚があります。

――本書では「こんな番組を作りたい」「こんなイベントをやりたい」といったお話も出てきますが、こうした夢や構想を本という形で発信するのは、ファンの方にとっても新鮮かもしれませんね。そういう意味では、ひとつの“意思表明”のような一冊にもなっているんじゃないでしょうか。

コアなファンの方は知ってくださっているかもしれないですけど、多くの方にとっては初めて知る話かもしれないですね。たぶん、この本のなかにはいろんな伏線が散りばめられている気がします(笑)。後々何か実現した時に、「実はあの時こう言っていたんですよ」って回収しようかな。……まあ、後付けかもしれないですけど(笑)。

世界スペシャルブック『世界館』

¥2,530

FANTASTICSのリーダー・世界のスペシャルブック。LDH屈指の実力と言われているパフォーマーとしてのA面、そしてアニメマガジンで連載を持つほどのサブカル好きのB面、そのギャップある二面性にフォーカスした作品。購入や特典など、詳細はこちらから。

世界(せかい)
1991年2月21日生まれ、神奈川県出身。EXILEのパフォーマー、そしてFANTASTICSのリーダーを兼任。ダンスの実力は折り紙付きで、これまでにFANTASTICSの楽曲振付も多数担当。またEXPGでもワークショップをたびたび実施している。特撮やアニメ、ゲームなどのサブカルチャーに詳しく、アニメマガジン PASH!にて『少年セカイのススメエンタメ道」を連載中。また、劇場版『転生したらスライムだった件 紅蓮の絆編』で初の声優に挑戦、最近では映画『仮面ライダーガヴ お菓子の家の侵略者』や、舞台『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-JRule the Stage<MAD TRIGGER CREW & どついたれ本舗 feat. 道頓堀ダイバーズ)に出演するなど、自身の得意分野での活躍の幅を広げている。
X @sekai_official_
Instagram @exile_sekai_official

PHOTO=加古伸弥

STYLING=平松正啓

HAIR & MAKE-UP=パク・ヨンソン(Luana)

TEXT=GINGER編集部

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