この夏、ドラマの撮影で多忙な日々を送っていた田中みな実さん。今月は、みな実さんが酷暑でのドラマ撮影の様子、そして女優という仕事について思うこと。【連載「田中みな実のここだけ話」】
今月のテーマ:暑すぎ、ぐったり。
炎天下での屋外のシーンはさすがに堪える。じっとしていても汗が噴き出て、焼き付けるような日差しの下、何時間も撮影をしていれば、気力も体力も奪われる。早起きして入念に叩き込んだファンデは、気付けば見事に浮き上がり、丁寧にブローした前髪は一歩外に出た途端うねり出す。襟足はぐっしょり濡れて、背中も、マイクを巻きつけたお腹周りも、どこもかしこも汗で蒸れて気持ち悪いのなんのって。それでも涼しい顔をして芝居ができる俳優って…超人だと思う。
そして、私たち以上に走り回って太陽の洗礼をモロに受けるスタッフさんには心底頭が下がる。ここまで汗で濡れるなら、夏場の撮影では全員下着じゃなくて水着を中に着用した方がいいんじゃないかとか、いっそのこと登場人物全員濡れている設定にならないのかとか、蒸し暑さで朦朧とする意識の中、そんなしょうもないことを夢想する。
局アナの頃まで遡ってもこんなに過酷なことはなかった。夕方のニュース番組を担当していた頃、ちょうど今くらいの時期だったかな。毎年、取材班と共に埼玉県熊谷市の、かの有名な八木橋百貨店の巨大温度計前で「熊谷にきています! 暑いです!!」などとリポートしていたっけ。日比谷公園での街録も、新橋のサラリーマンへのインタビューも、確かに辟易するような暑さだったけど、映像を撮ったら帰社して放送に備えるから、ドラマ撮影のそれとはまるで違った。
例年を上回る異常な暑さに加えて、20代後半から紫外線を浴びないよう徹底してきたせいか、夏にめっぽう弱くなっていることに気が付いた。365日、日焼け止め(←ニベア♡)は当たり前だし、日中の外出はしない。ワンコの散歩は早朝か陽が落ちてからで、仕事の行き来は有難いことに事務所が送迎車をつけてくれるから一瞬たりとも陽にあたらない。
万が一休みの日の太陽が出ている時間に出歩くことがあれば、長袖長ズボン、帽子、日傘はマストだし。こんな風にして何年も夏をやり過ごしてきた。ここまで日焼けを恐れるからには、当然、撮影現場でもできる限りのことはしている。日焼け止めを小まめにペタペタ塗り直し、ビタミンを4時間置きに摂取、本番ギリギリまで100%UVカットの日傘やパーカーを駆使。これ以上ないというほど対策をしていても、紫外線によるダメージは防ぎきれない。
むせ返るような暑さ、止まらない汗、体や顔に無遠慮にぶつかってくる夏の虫…。何があっても「まあ、そういうものだしね」と受け容れ、芝居に集中している共演者の逞しさに感服。何年か続けるうちに顔に汗をかかなくなったり、暑さに耐性がついたり、虫なんてへっちゃらになったりするのだろうか。女優への道はあらゆる意味において険しいことを知る、36歳の夏。
今月のみな実さん
長袖パーカー&日傘で紫外線とは無縁に!?
田中みな実(たなかみなみ)
1986年11月23日生まれ。埼玉県出身。「あざとくて何が悪いの?」(テレビ朝日系)にレギュラー出演。放映中の「ばらかもん」(毎週水曜22時〜フジテレビ系)では、初のシングルマザーの看護師で主人公の良き理解者、久保田育江役を熱演中。