3人の子供のママとして、多忙な毎日を過ごす吉川ひなのさん。過去を乗り越えて、今が一番笑顔でいられるという、ひなのさんと家族のストーリーを伺った。
子供に対して大人の権力を振りかざしたくない
現在ハワイで11歳、5歳、2歳の3人の子育てをしている吉川ひなのさん。
「子育てをしていると、本当に毎日いろんなことがあって、泣くほど笑っています。今がこれまでの人生で一番笑っているかもしれませんね」
子供たちがのびのび育っていく様子を見てひなのさんは、自身の母親との関係性について改めて考えるようになったそう。うまく想いを伝え合うことができなかった母との日々や、過去の経験に向き合う過程を綴った自著『Dear ママ』はそうして完成した。
「ゆっくりと過去を振り返りながら、一冊を書き上げました。夫と3人の子供たちと、新しい家庭を築いている今だからこそ、自分の育った環境や子供のころ感じていた想いと対峙することができたのではないかと思っています。本作の最後に『Dear ママ』という章を入れましたが、ここで母への率直な想いを書けたことは、私の人生にとっても大きなステップとなりました」
過去と向き合い、本書を書き上げることができたことは、これからのひなのさんの人生の大きなターニングポイントになるだろう。そして、これまでの人生のなかでもひなのさんを変えたターニングポイントがあったそう。それが、第一子である長女の妊娠だった。
「生まれてくるこの子がどんなふうに育ってほしいか、自分にはどんなことができるのか、とことん考え抜いたんです」
もし子供がいたら、自分のような子供時代を過ごしてほしくない。たくさん愛して、たくさん抱きしめたい。妊娠前から、人の何十倍も子供のことを考えてきたひなのさんだから、実際に生まれてしまえば、もう育児で思い悩むこともないのだという。妊娠中に、自分のこれまでのこと、そして家族のことに向き合った時間が、今のひなのさんを作ったのだ。そのひなのさんが、育児で気をつけていることを聞くと…。
「意識しているのは、子供たちに対して大人の権力を振りかざさないこと。『ダメなものはダメ』とは言わず、『こういう理由だからやめてほしい』と説明します。自分で嫌な言い方をしてしまったと気付いたら、自己嫌悪になる前にすぐに『ママ、まだ修行中なんだ(笑)、ごめんね』と謝って、気持ちを伝えることも意識しています」
3人の育児は毎日がハプニングの連続。目が回るような忙しさだけれど、その状態をひなのさんは常に全力で楽しんでいるのが、その笑顔を見ればよくわかる。
「全裸で登場する長男とそれにくっつく次女、食事中なのに夫のヒザの上に乗っちゃう11歳の長女とか(笑)。それに近所には歳の近い子供たちのファミリーもいて、仲よくしてるんです。毎日大変だけれど、それでも大笑いしている日々。子供たちを眺めながら『いいじゃん、いいじゃん』って、幸せを感じています」
吉川ひなの(よしかわひなの)
13歳でモデルデビュー。女優、歌手としても活躍。第一子の妊娠をきっかけにハワイに移住し、オーガニックコスメブランド「hinalea」や子供服ブランド「Love the Earth blue」をプロデュース、環境アクティビストとして情報発信も行っている。