先日、久しぶりに海外へ訪れた神崎恵さん。仕事でありながら、その旅で改めて感じたことは、「大人の女性」の魅力だったそう。【連載「Megumi’s Mirror」】
大人の女性っていいな
長かったお籠もり期間、やっと明けた気がします。海や山、レストランやカフェのテラス席、みんな楽しそうに飲んで食べておしゃべりしている様子を見ると、日常が戻りつつあるなと実感、ほっとします。かくいう私も、3年ぶりに海外でのカンファレンスに参加してきました。
“ディオール”のスキンケアからコスメ、フレグランスまで、現地フランスでその神髄を学びながら、開発担当者や研究者のトップへのインタビューや意見交換など。2日間、朝から晩までなかなかにハードなスケジュールながら、なんとか駆け抜け、無事帰国しました。
さて、各国のエディターが集まった今回のカンファレンスですが、日本からは美容誌の編集長や女性誌の美容担当者など、私を含むほぼ同世代の女性が4名参加しました。いやはや…、“働きマン”はほんと、よく飲みます(笑)。初日、早朝出発の飛行機でしたが、まずラウンジで一杯、飛行機に乗ってもシャンパン、トランジット地点でも軽く一杯。
私は昔から飛行機が大の苦手(地に足が着いていないと怖いタイプ)で、機内ではシャンパンやワインをちびちび飲みながら映画を観て、その恐怖心をまぎらわしているわけですが、今回同行したメンバーの方々の飲みっぷりは本当に気持ちが良かったんです。
「神崎さん、南仏は空気が軽いから酔わないのよ」なんて言いながら優雅にグラスを傾ける某編集長、最高だと思いません? 曰く、同じお酒でも、日本は湿度が高いから酔いやすい、という理論らしい。
女性は特に、キャリアや出産、子育てなど、それぞれにライフイベントの時期が異なることもあって、なかなか女性同士で旅に出る(特に海外)のは難しくなってきますよね。そんななか、今回のメンバーはほぼ初対面ながら、終始笑いっぱなし、口角が上がりっぱなしの素敵な旅となりました。
まず、各自、仕事で来ていますから、日中はそれぞれの任務をビシバシと全うします。その仕事ぶりはほれぼれするほどプロフェッショナル。一方で、ランチやアペロ、ディナーなど、必ずお酒が登場する場面では、さまざまな国の人たちと、好きなお酒を片手に、日本や世界のビューティについて、これからの女性の美について、朗らかに、真剣に語らいます。こういう瞬間こそ、本音でトークできるんですよね。連日続く緊張がふっと緩むこの時間の意見交換こそ、とても貴重だということをみんな熟知していますから。
かと思えば、朝夜のフリータイムや移動中などは一転、子育てや仕事の悩みから恋バナ、健康トークまで話題は尽きず、くだらない話、たわいもない話をしては、笑い転げてばかり。カンヌ国際映画祭の初日だったこともあって、レッドカーペットを歩くジョニー・デップに遭遇したときは、同世代ゆえ、おおいに盛り上がりました。本当に楽しかったなぁ。
みんな、仕事が大好きで、クレバーで、最高にチャーミング! その裏では、仕事も家庭も子育てもバッタバタで、日々、髪の毛を振り乱しながら汗をかきかき、必死でもがいているのかもしれない。
でも、旅の最中は、そんな姿は決して見せず、きちんとメイクをして、うんとおしゃれをして、優雅に飲み、よく食べ、よくしゃべり、よく笑う。そして、よく働く。
何も言わずとも、お互いになんとなく、わかり合いながら励まし合いながら、楽しい時間を共有する。
――大人の女性っていいな。
久しぶりの海外への旅は、仕事での刺激はもちろん、そんなことをしみじみと感じた数日間でした。