普段はあまり人とご飯に行かないという神崎恵さん。たまにそういう機会があるときは、必ずといっていいほど選ぶのは「韓国料理」だそう。【連載「Megumi’s Mirror】
気のおけない仲間と、時に叱られながら、同じ鍋をつつくのもいいなぁ…としみじみ。
めったに人とご飯に行かない(特に晩ご飯)ことで有名な私ですが、先日、イベント終了後に、当日一緒だったヘア&メイクさんやスタイリストさん、アシスタントと「1時間だけ、サクッと何か食べて帰ろうか」という話になりました。こういうとき何が食べたいかって、満場一致で「韓国料理!」となるのが不思議。その日の会場が新宿だったこともあり、すぐ近くの新大久保へ。夕方の新大久保はまだまだ混み合う前なのもラッキーでした。
お目当ては、合鴨の塩焼き。鴨のサムギョプサルのようなもので、伺ったお店は合鴨肉専門店だけあって、こだわりの合鴨をこだわりの天日塩で焼く、シンプルな料理。さっぱりとした合鴨の旨味は絶品で、酢漬けの大根で巻いて食べると、より一層美味! するするっと、いくらでも食べられます。
何より、この店の名物はオモニ(おかあさん)。店内に入った瞬間、座る椅子からバッグを置く場所までテキパキと指示され、もちろん“焼き”はすべて、オモニが担当。気になってちょっとつつこうものなら「ダメ!」、おしゃべりに夢中になっていると、「冷めないうちに食べなさい!」と叱られる。そんなオモニの愛ある指導はどこか懐かしく、「うふふ、怒られちゃったね」と肩をすくめながら、みんなでマッコリを飲む時間の楽しいこと!
ふだんは、ひとりメシ(ひとり焼き肉、ひとりフレンチもへっちゃら)が大好きな私ですが、韓国料理だけは、みんなでワイワイと食べるのが好き。威勢のいい韓国語が飛び交うわちゃわちゃとした雰囲気、辛くてふうふう、汗をかきながら活力とエネルギーも一緒に食べるような感覚は、韓国料理ならではだと思うんです。それに、まるでハッピーターンの魔法の粉みたいに、人を虜にする何かが入っているんじゃないか?と思うくらい、韓国料理はクセになる。独特の魔力がある気がします。
ともかく、あっという間にたいらげて、水のようにマッコリを飲み、さっとお店を後にする私たち。気付けばまだ30分しか経っていない…!
「さっぱりしているから、食べた気がしないねぇ」(そんなはずはない)なんて話しながら、もう1軒行こうかと、お次は、今、大人気のタコ鍋のお店へ。
生のイイダコ(チュクミ)を、ネギやキャベツ、タマネギ、ニンニク、トッポギなどと一緒に特製の辛いソースでグツグツ煮込んだ鉄鍋料理で、それを酢漬けの大根とエゴマ葉で挟んでいただく、話題の韓国グルメです。
こちらもキレイに素早く食べ終えて(もちろんマッコリもしっかり飲んだ)、時計を見たら、またもや滞在時間はわずか30分。なんだか名残り惜しくて「最後にもう1軒だけ、行っちゃおうか」と、フライドチキン専門店へレッツゴー。
あれだけ食べて飲んだのに、揚げたてのサクサクチキンを片手に、あいかわらずおしゃべりは尽きず、でも30分後には誰が合図するでもなく、サクッと解散。働きマンの段取りの良さと食いしん坊メンタル&早食いを心地よく感じながら、合計1時間30分、3軒ハシゴの韓国料理ツアーを終えました。
好きなタイミングで、好きなものを好きなだけ食べられるひとりメシが大好きですが、気のおけない仲間と、時に叱られながら、ワイワイお酒を飲んで、しゃべって、同じ鍋をつつくのもいいなぁ…としみじみ。そういえば、ここ数年、こういう時間、本当になかったな。
見えない敵は、私たちの、こういう温かくておいしい、幸せな時間を奪い続けていたんだなと、改めて思ったのでした。