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TIMELESSPERSON

2023.05.25

高橋一生×飯豊まりえ「一生忘れられない時間」について語る

生涯忘れられないであろう“永久保存”な経験を、映画を通してしたという高橋一生さん、飯豊まりえさん。その体と心に刻まれた幸福な、そして不思議な記憶をたどる。

高橋一生&飯豊まりえ

〈高橋さん〉シャツ¥46,200/08サーカス(08ブック) その他/スタイリスト私物 〈飯豊さん〉すべてスタイリスト私物

目に焼き付けておきたい幸福なクランクアップの風景

高橋一生さん、飯豊まりえさんがパリで撮影を終えた映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』。その撮影の日々は、これからの役者人生においても、永久に記憶に残る日々だったそう。

飯豊 最後のカットがかかって、撮影がすべて終わった瞬間、涙が止まらなくなったんです。達成感と安堵で胸がいっぱいになって。気が付いたら周りのスタッフの方たちも泣いていました。一生忘れられない光景です。

高橋 幸せな時間でした。けれど僕は、嗚咽するスタッフを見て笑ってしまって…。人の心がないのかと自分でも心配になりました。

飯豊 あまりにみんなが泣きすぎて、泣けなくなっちゃったんですよね(笑)?

高橋 そうかもしれません。このような現場に出合えることはそうそうないので、目に焼き付けておこうと眺めていたら、なんだか微笑ましくなったんです。

高橋一生&飯豊まりえ

2020年に初めて放送されたドラマ「岸辺露伴は動かない」。高橋さん演じる、特殊能力を持つ漫画家・岸辺露伴と、飯豊さん演じる、露伴の担当編集・泉京香のコンビはすぐに話題となり、そこから3年連続で冬に新作を発表。毎年時期が来ると「露伴の季節だ」とふたりは自然と準備をするようになったという。

高橋 ほかの役のために変えていた体型を、露伴のそれに戻す作業を勝手に始めたりしていました。

飯豊 私も同じです。私が演じている泉という編集者の役は、オートクチュールの服を着ているのですが、いつも私が泉の体に合わせていく作業が必要で。オファーがあってからでは間に合わないので、勝手に準備していました。

高橋 もし撮影がなかったら拍子抜けなんですけれどね。今回は、ドラマから映画へいたるまでの流れがとても自然だったので、映画化だ!という感じではなく、とても落ち着いて入れました。

飯豊 でも、私は映画に入る前に、監督に「今回の映画では、フランス語が話せないと連れて行かないから」と言われまして、もうオーディションのつもりで必死に練習しました(笑)。

高橋 無事、連れて行ってもらえて良かったです(笑)。

映画をつくる人は世界中で同じ言語を持っているのかも

高橋一生&飯豊まりえ

パリのルーヴル美術館を貸し切って行われた撮影では、歴史的な美術品に囲まれて独特な雰囲気を体験した。

高橋 作品だけではなく、建物から作品を収める額縁にいたるまで、すべてが歴史的。その重みを感じながら演じることはとても貴重でした。

飯豊 でも不思議と、撮影が始まってしまえば、「モナ・リザ」の前でも緊張せずお芝居できました!

高橋 現地のスタッフの方々も含めて、周りの皆さんがサポートしてくれていたからでしょう。パリのスタッフの方々は、「あれ? 3年間一緒のチームにいたっけ?」と思うくらい自然でした。

飯豊 照明部に同い年のパリの女の子がいて、休憩中に一緒にご飯を食べたりしました。ずっと一緒に仕事をしていたような気がしましたね。どこの国でも、映画をつくる人って、変わらないんだ、共通の言語があるんだと感じました。

高橋 時間があるときは、コーディネーターの方や、今回の映画の共演者でフランスに拠点のある美波さんに案内してもらって、キャストやスタッフの皆さんとごはんを食べたり教会を見て回ったり。良い経験でした。

飯豊 高橋さんが歴史に詳しいので、みんな解説を聞こうと、教会の中ではぞろぞろ高橋さんについて行ってましたね。ガイドさんみたいでした(笑)。

本作は「黒」をテーマにストーリーが展開していく。これからも忘れられないであろう撮影の日々が終わった今、ふたりは何色の気分?と聞いてみると…。

高橋 ネイビーでしょうか。岸辺露伴を象徴する「黒」から今、少しずつ自分が戻ってきている感じ。けれど役が抜けるという感覚ではないんです。露伴を強く意識すればまた露伴になるし、意識しなければ自分になっていく。そうやって3年間やってきました。

飯豊 私は、白です。白が一番好きな色ですし、この映画を経験した今、何色にでもなれる!って感じがするんです。


映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』
原作/荒木飛呂彦
監督/渡辺一貴
出演/高橋一生、飯豊まりえ、木村文乃ほか
https://kishiberohan-movie.asmik-ace.co.jp/
※5月26日ロードショー

高橋一生(たかはしいっせい)
1980年12月9日生まれ、東京都出身。数々の映画・ドラマ・舞台で活躍。6月17日より舞台 NODA・MAP第26回公演『兎、波を走る』が東京芸術劇場プレイハウスほかで上演。

飯豊まりえ(いいとよまりえ)
1998年1月5日生まれ、千葉県出身。2012年の女優デビュー後、数多くのドラマ・映画に出演。雑誌『Oggi』専属モデル、『MORE』レギュラーモデルとしても活躍中。

PHOTO=大靏円(昭和基地¥50)

STYLING=[高橋さん]秋山貴紀(A Inc.)、[飯豊さん]高木千智

HAIR & MAKE-UP=[高橋さん]田中真維(MARVEE)、[飯豊さん]AYA(TRIVAL)

TEXT=安井桃子

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