本当は興味津々なのに、決して踏み出せない――芸人 紺野ぶるまさんの自分観察。【連載「奥歯に女が詰まってる」】
第56回 出会いがないという女友達に「マッチングアプリは?」というのそろそろやめたい
「恋愛の仕方忘れた」
「好きな人ってどうしたらできるの?」
「まず出会いがない」
そう女友達に言われた時に、
「いまはマッチングアプリじゃない?」
とかつまらない返しするのをそろそろやめにしたいですよね。
そもそもマッチングアプリが今ほど普及するまえに結婚したわたしはそのコツも知らないし。経験もないのに勧めるなという話だし。そのセリフには「悪いものじゃないと思うよ」みたいなふくみがあるわけで、その時点で「理想の形ではないけど…」と言っているようなもの。
そもそも理想の出会いを聞かれて「マッチングアプリ!」と当たり前に答えるようになるのは、もう少し令和が深くなってからだと思う。
もちろん友人の多くはマッチングアプリで出会って結婚して子供も産まれてハッピーなんですが、出会いを語る時は「…アプリ」とどこか小さめに答えるし、まわりから「結婚式とかで馴れ初めなんて言ってるの?」と聞かれてるのをよく見るわけで。
マッチングアプリって他人が勧めるのは簡単だけど、勧められた本人は「“それ”以外で聞いてるんだけど」という話だと思う。
あと、「彼氏ができない」っていう女芸人に「海外行ったらモテるよ」とか「すごい年上がいいと思う」とか言う先輩をよく見るけど、これもなかなかひどい。直訳すると「日本で無理な君にも朗報です!」っていう意味なことを知らないのかな? それをさも名案みたいにいうのやめてほしい。
さてわたしはというと、旦那とナンパで出会ってるわけで、やはり周りからは「親になんて言うの?」と聞かれたし、彼がふざけてるわけじゃないのは態度でわかるけど、ふと冷静になった時に「ナンパって!」と自分にツッコミたくなること多々…多々…。
とある女性の先輩にその思いを話すと、
「じゃあ、あなたにとって理想の出会いってなに?」と聞かれ、
「なんかこう自然に出会って…いいなと思って…」
「で、そのときなんて誘うの?」
「ごはん行きませんか?って」
「一緒じゃない。彼はあなたをいいと思ったから誘ったんでしょ」
と言われて脳天しびれました。(単純すぎ?)
さらに追い打ちをかけるように、
「そういう意味では引き止めてでもごはんに行きたかったんだから、わたしナンパって瞬間最大情熱でいうと一番エグいと思うわ」
これはなーるほどTHEワールド!(古)と思いましたよ。急に「ナンパ」が「硬派」に感じたりして。
その観点でいくとマッチングアプリも「いいね!」と思うからごはんに行くデジタル版で、その思いを込めての「マッチングアプリは?」でいいはずなのに、どうも返しとして弱い、浅い。
なのでわたし考えました。
「出会いがない」という人に対する返し。
「たぶんちゃんと運命の人と出会うタイプだと思うから気にしてみて。形に囚われずに…あ、不倫って意味じゃないよ?」
これじゃないでしょうか。
ポイントは相手の肩の辺りをみていうこと。
そのあとはその辺の空(くう)を見て余韻に浸ります。
出番がございましたらお試しあれです。
最後に
マッチングアプリで出会った相手とかけまして
暑い日と解きます。
その心はどちらも既婚(着込ん)でいると困るでしょう。
今日も女たちに幸せが訪れますように。