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2023.04.18

脚本家・生方美久が届ける――正しさよりもあたたかさとおもしろさ

脚本家・生方美久さんによる新連載がスタート。令和の清少納言を目指すべく、独り言のようなエッセイをお届け。生方さんが紡ぐ文章のあたたかさに酔いしれて。【脚本家・生方美久のぽかぽかひとりごと】

写真協力/Yuri Iwatsuki

第1回 春はあけぼの。言葉はあたたかさとおもしろさ。

GINGERで、エッセイを書ける、しかも連載。嬉しい。嬉しくて、畏れ多い。わたし自身がGINGERの読者世代ということで、特にこれといった連載のテーマは決めず、日々気になったことをつらつらと独り言のようにここで呟かせてもらうことになりました。なんとまぁ贅沢。ありがとうございます。

まずはわたしの仕事の話を少しだけ。脚本家をしています。昨年10月クールで放送された『silent』というドラマでデビューしました。たくさんの方に愛していただき、感謝してもしきれません。こんなに「ありがとう」と言ったり、「ありがとう」と言われたりする人生がくるとは思ってなかったです。生まれてきてよかった! 生きててよかった!

脚本の執筆以外にも、基本的にずーっと文章を書いてます。打ち合わせや取材で人と話すこともあるけど、主な仕事はひたすらパソコンに向かい、とにかくキーボードを叩く。バーッと打ち込んで、Deleteを連打、ガーッと打ち込んで、Deleteを長押し、そんな日々です。それを繰り返して、なんとかDeleteで消されずに生き残った文字たちが、ドラマや映画の脚本になったり、皆さんが今読んでいるコレになったりしてます。そんな“文章を書く”仕事をしていて、度々思うことがあって。エッセイという名の文章を連載する初回とのことで、そのことをお話しさせていただきます。

「正しい言葉遣い」とか「大人の国語力」とかとか。そういう文字列を見ると精神的に蕁麻疹が出ちゃいます。脚本家でありながら国語が苦手。語彙が少ないし、読解力も低い。ここまでこの文章を読んだ方にはおわかりの通り、文章も口語っぽい。なんなら諦めてあえてそうしてるって感じ。正しい言葉遣いを意識すると言いたいことが言えなくなっちゃう。伝えたい印象が伝えらんないというか。そう、こういう感じ。今の文章も「言いたいことが言えなくなるのです。」でいいんですよ。日本語的にさ。わかってるんだけど、でも、「言いたいことが言えなくなっちゃう。」なんです。「言えないんだよ~」の雰囲気を少しでも持ってる感覚に近い形でお届けするには、この砕けた子供っぽい言い回しがしっくりくる。うん、そういうこと。

国語の授業で習った「ラ抜き言葉はダメ」とか「文章はですます調で揃える」とか「漢字や平仮名の表記の統一」とか、もう、そういうのはさ、ちゃんとしなきゃいけないときにちゃんとできればいいと思う。会社とか国とか偉くて強そうなヤツに渡す文章は、きっとちゃんとしてなきゃいけないんだと思う。でも、お硬い文章って「活字です!」って感じがしません? 活きた文字という漢字をあてられてはいるけど、なんだかイキイキしてないというか。言語としての正しさばかりを追求した文章ほど、あたたかみとおもしろさに欠けるというか……。

ありがたいことに、ドラマの感想をいただく機会がたくさんあります。よく文章の最後に、「乱文失礼しました」とか「下手な文章でごめんなさい」とか「(お手紙のときに)汚い文字ですみません」とか、書かれてることが多くて。わたしにはそれらが乱文で下手なのかはわからないけど、気持ちはとても伝わってくる。文章の途中で「興奮して何を言っているか自分でもわからなくなってます」なんて書かれているのもあるあるで、それがあるとわたしは嬉しくてぽかぽかになります。手書きなんてもう、最強です。ボールペンのインクの擦れも、「そ」や「ゆ」みたいに人によって書き方が2種類ある感じも、修正液を使って便箋よりもその部分が真っ白になってる感じとかも、全部愛おしくてたまりません。文章や文字としての“わかりやすさ”や“正しさ”よりも確実に価値のある“あたたかさ”です。

そして、わたしが書くのは文学ではなく脚本です。届けたいのは“おもしろさ”。それ以上でも以下でもない。物語に必要なのは“正しさ”ではなく“おもしろさ”だと、それだけは誰に何を言われても譲れません。

……と、カッコつけてみたものの、これは脚本の仕事じゃない。台詞じゃない。エッセイの執筆を依頼されたのです。あのGINGERに。こんな独り言みたいな文章でいいのか、急に不安になってきた。愛読書『広辞苑』でエッセイを引いてみます。(「エッセー」のところを見ろとのことです。) (イコール「随筆」だそうです。)

【エッセー】随筆。自由な形式で書かれた、思索性をもつ散文。
【随筆】見聞・経験・感想などを気の向くままに記した文章。漫筆。随想。エッセー。

とのことです。自由な形式。気の向くままに。うん。ということは、これは立派にエッセイ。日本語の美しさや正しさがどうであれ、これもエッセイ。よかった。これはエッセイです。なんか随筆って言うと清少納言みたいでカッコイイ。今度から「エッセイ」って言う場面は積極的に「随筆」を採用していきたい。「生方さん、脚本以外にはどんなお仕事してるんですかー?」「あー、最近は随筆の執筆ばっかですね。ずっと随筆です」……うん、カッコイイ。

そんなわけで、今月から始まりました。脚本家・生方美久の随筆連載です。令和の清少納言を目指し、GINGERを令和の『枕草子』とすべく、がんばる。来月からもこんな感じで独り言みたいな文章を自由な形式で気の向くままに打ち、Deleteに打ち勝ち、皆さんにあたたかさやおもしろさのある言葉をお届けできればと思います。よろしくどうぞ!

生方美久(うぶかたみく)
1993年、群馬県出身。大学卒業後、医療機関で助産師、看護師として働きながら、2018年春ごろから独学で脚本を執筆。2022年10月期の連続ドラマ「silent」の全話脚本を担当。

TEXT=生方美久

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