話題作に続々出演、今ますます存在感を増している俳優・山田裕貴さん。常に情熱的に仕事に向き合い、一瞬一瞬を燃やしつくすように生きる、その過去と今、そして未来について話を聞いた。
焦燥感に駆られながら、自分を常に追い込んでいく
「僕のなかで、夢や目標って、叶えられなかったら、到達できなかったらもう終わりだ、って感覚が切実にあるんです」
俳優・山田裕貴さんは、そう声を震わせて話す。デビューから12年で出演作は100本以上、今年のNHK大河ドラマ「どうする家康」では家康の忠臣、本多忠勝という大役を射止めた。大作からインディペンデントの作品まで、今あらゆる作品から求められている俳優でありながら、山田さんには常に焦燥感のようなものがあると言う。
「地元を出るとき、僕は『俳優になる!』って宣言して来たんです。これで挫折して帰るわけにはいかない、退路を断つ意味で。だから俳優になれなかったら、もう終わりだ、そう思ってやってきました。そこから多くの作品に出て、ある程度の自信はついてきました。けれど、最初の誰も僕のことを知らなかった状態から『山田裕貴が出ている』と言ってもらえるようになってくると、これがまた、ありがたいけどキツい。露出が増えれば『山田裕貴って嫌い』って人も当然出てくるんですから、そういう人もあっと言わせないといけない。そのためには毎回100点を叩き出す必要がある。年々そのプレッシャーは高まってきていますから」
常に自分を追い込んで俳優道を進もうとするのは、10代での大きな挫折の経験があったから。
「野球選手になりたかったんです。父が野球選手なので、もし僕がなれなかったら、父には敵わないってことになってしまう。勝てない相手がいるなんて、そんなのダメだ、そう思って野球をやってきた。でも打ち砕かれて、あきらめて。そして高校3年のときに、母校が甲子園に出ました。憧れた場所に仲間たちは立っていて、僕はユニフォームさえ着ることもなく、制服でそれを見ていた。そのとき、涙が止まらなかったんです。進めたかもしれない道があったのに、もうあっちに行くことは絶対にないんだって。だから、次何かをやると決めたら絶対にやり通すってそのときに決めました。それが俳優なんです」
主人公に感じたシンパシー。山田裕貴、30代の目標は?
同じように、夢を追い続ける若者たちを描いたアニメーション映画『BLUE GIANT』では、世界一のジャズプレイヤーを目指す主人公の声を山田さんが務める。どんな逆境にも臆することなく進む主人公に、強いシンパシーを感じると言う。
「僕が演じた役は、『世界一のジャズプレイヤーになる』と言い続けています。そういえば僕も俳優になる前、エキストラをやりながら飲食店でバイトをし、ネームプレートに『俳優王に俺はなる』って書いていた。ああ、俺も同じじゃんって、この役をいただいて思いましたね。だから1シーン1シーン命をかけて、これ終わったら倒れてもいい、ってくらいに気持ちを、すべてを込めました。プロの声優さんには敵わない部分があるのはわかっているけど、僕らにできることをやり切って、瞬間瞬間に魂がこもっていればいいなと思います。今作で僕にとっての楽器は、声ですから、一音一音正確につむぎあわせたつもりです」
主人公たちは10代で、日本最高のジャズクラブ「So Blue」に立つことを目標に掲げる。同じように山田さんには30代の大きな目標があるのか尋ねると。
「30代のうちに…結婚とかしてみたいけど、無理そうだし(笑)。今の仕事の状態がありがたすぎて、あまり目標はないかもしれません。それより今だけを一生懸命に生きたい。今この瞬間全力だったら、きっと次に繋がりますからね。 過去はもうどうでもいい、未来のことはわからない。今だけ、全力で走り続けたいです」
未来に向けての to do list
1. 2023年のうちに滝行!
毎年やりたいと思ってるんです。水量はチョロチョロじゃなくて、ドバー!っていう本気のやつを。無になって、集中しろ、自分、とそこでしっかり言い聞かせたい。
2. 今に集中!
仕事って、きついとかつらいとか当たり前だから、やると決めたならやる。いちいち苦しんだりしない。無になる。仲間のため、見てくれる人のためを最優先に、自分は無でいい。
『BLUE GIANT』
2023年2月17日(金)全国公開
原作/石塚真一「BLUE GIANT」(小学館「ビッグコミック」連載)
監督/立川譲
音楽/上原ひろみ
声の出演/山田裕貴、間宮祥太朗、岡山天音ほか
山田裕貴(やまだゆうき)
1990年9月18日生まれ、愛知県出身。2011年デビュー。映画『東京リベンジャーズ』、NHK連続テレビ小説「ちむどんどん」などに出演。主演映画『夜、鳥たちが啼く』が公開中。待機作に『東京リベンジャーズ2』など。