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2023.01.18

神崎恵は「誕生日が苦手」――それでも毎年欠かさずしていることとは?

12月13日に誕生日を迎えた美容家の神崎恵さん。毎年、年齢を重ねる日に思うことは…?【連載「Megumi’s Mirror」】

神崎恵-誕生日

私にとって誕生日は、来し方を“しみじみと噛み締める”日

誕生日が苦手です。

なんていうと、ちょっと誤解されてしまうかもしれません。正確に言うと、「自分の誕生日」を、「祝ってもらう」ことに、申し訳ない気持ちになってしまうのです。12月半ば生まれの私は、いざ年末、という師走の空気はもちろん、クリスマスやお正月という華やかなイベントが続くため、とにかく慌ただしい雰囲気のなか、誕生日を迎えます。

実際、小学生や中学生のころは、みんな冬休みを控えてソワソワ、ワクワクの最中だし、高校生になるとそれよりもクリスマスに誰とどう過ごすかで頭がいっぱいだし、20代や30代は仕事や子育てにバタバタ(周囲も私も)でした。

ですから、うっかりすると「あれ? 今日、誕生日だったっけ?」と自分の誕生日を忘れそうになることもしばしば…。

ところが今は、ありがたいことに、誕生日前後の仕事現場で、素敵なケーキや大好きなお花とともに祝っていただくようになりました。

…でもね。もうこれが、内心、申し訳なくて。というのも、会社勤めの方もそうだと思いますが、12月半ばの週って、とにかく忙しくないですか? 出版業界も、年末年始は印刷所がお休みということもあって、通常よりも早めに入稿し、校了を終える「年末進行」という怒涛のスケジュールの真っ最中なんです。あちこちで、みんながみんな、締め切りに追われるなか、私の誕生日というイベントが追加され、ケーキや花の手配をしてくださった方のお手間を考えると、どうしても「忙しいときに本当にすみません…」という、申し訳ない気持ちが先に立ってしまいます。

しかも、誕生日当日に撮影や取材というならまだしも、その前後にお仕事が入っている場合、「もうすぐ誕生日ですよね」と、祝うのはいつから、あるいはいつまでが正解? 逆に、先方は私の誕生日を知らなかったのに、何かの拍子で誕生日がバレてしまったとき、「すみません、今日、お誕生日だったんですね。おめでとうございます」と申し訳なさそうに言われたときの気まずさったら…。ともかく、1年で1番、慌ただしさを纏う日に生まれた私は、「自分を祝う」感覚が、やや薄いのかもしれません。そんな私ですが、誕生日に必ずしていることがあります。

それは、母に花を贈ること。「おっと、そうだ、私の誕生日だった!」と、かろうじて気付くのは、誕生日に母に花を贈る、と決めているから。

「私を産んでくれてありがとう。ここまで育ててくれてありがとう。お互い、今年も健康で誕生日を迎えられたね、がんばったよね。改めて感謝だよね。おめでとう」。そんな想いを込めて毎年花を贈っています。

そう考えると、私にとって誕生日は、「1年間よく駆け抜けたねぇ、がんばったね、私」と、またひとつ歳を重ねた自分を労い、来し方をしみじみと噛み締める日なのかもしれません。

だからこそ、皆さまのお手を煩わせるのも申し訳なく、ひとりで深夜、大好きな韓国料理とマッコリを片手に乾杯するくらい、静かでひっそりとしたものでいいのかもしれない。

とはいえ、もちろん、誕生日を祝ってもらうのは、いくつになってもうれしいものです。本当に、本当にありがたいのです。誕生日になったほぼその瞬間に「おめでとう」とラインをくれる長男(これで誕生日に気付くこと多し)、朝起きてから「ママ、今日誕生日だね、おめでとう〜」と駆け寄ってくる三男、スルーしがちな次男(笑)と、我が家の息子たちの反応は実にさまざまです。

そんな彼らの成長に感謝しつつ、私にとって自分の誕生日は、がんばった自分を抱きしめ、1年を噛み締める日なんだな、と改めて思うのです。

TEXT=田中美保

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