もうすぐやってくる春。新しい季節、私たちにワクワクする高揚感を与えてくれる話題のエンタメ作品が目白押し! 杉野遥亮さんに、出演映画『やがて海へと届く』について伺いました。
迷いながら演じた恋人・遠野
映画『やがて海へと届く』は、彩瀬まるによる小説を詩人としても活躍する中川龍太郎監督の手によって映画化した作品。突然、消息を絶った親友・すみれの不在を受け入れられずにいる主人公・真奈は前に踏み出そうと、彼女が最後に旅した地へと向かうことで、親友の秘密を知る…喪失から再生へと向かうストーリー。この映画で、杉野さんはすみれの恋人・遠野を演じた。
「脚本を読んだときスーッと流れるような感覚でした。すごく透き通った青のイメージ。それがとても心地よくて。僕のなかでは、すみれと遠野の関係を掴めない部分も多く…。すみれはこっち(遠野)を向いている気がずっとしなかった。それが愛なのか…というと、まだわからなくて。迷ったり、わからない部分を試行錯誤しながら演じたことが、結果として“遠野”の輪郭を作った気がします」
心を知ることで、初めて自分と向き合える
「すみれと遠野の関係性を考えると、彼はせつなくないかな?と思ってしまいます。彼女が遠野に向いている感じはしないけれども、遠野はやっぱりすみれを好きだったはず。そして、すみれが彼に何か希望を託す部分もあると思うから…ふたりの関係はすごく人間らしい。ちょっと“せつない”ところが、この映画のサイドストーリーなのだと思います。すみれを失ったあと、遠野は前に進もうと決意する。僕自身もそこは彼と同じで、悲しいことがあったら心から信頼できる人に聞いてもらい、気持ちを切り替えるようにしています。ずっと悲しんでいるとその感情に呑み込まれてしまうので。自分の感情を深く分析し、心の状態に気付くことも大切」
人生とは“楽しい”修行。楽しいを軸に進化
コロナ禍で訪れた約2ヵ月の時間。日常がストップしたとき、自分自身を見直す良い機会になったと語る。
「感謝すべきことや人に対して、当たり前という感覚になってはいけません。当たり前がパッと目の前から消えたとき、そのありがたみが身に沁みる。コロナ禍でガラリと変わったことがひとつあるんです。それは考え方で、自分が純粋に何を求めているのか…を追求するようになった。この仕事を始めて7年目。いろいろな方と出会い、たくさんの経験をさせていただくことによって、自分自身がどんどん成長しています。人生って、楽しい修行だと思うんです。だから心から楽しいと思える仕事に出会えたことに感謝し、その気持ちを軸に進化していきたい」
映画『やがて海へと届く』
彩瀬まるの小説を岸井ゆきの主演、浜辺美波の共演で映画化。引っ込み思案で自分をうまく出せない真奈(岸井ゆきの)は、自由奔放でミステリアスなすみれ(浜辺美波)と出会い親友になる。しかし、すみれはひとり旅に出たまま突然姿を消してしまう。あれから5年――真奈はすみれの不在をいまだに受け入れられず、彼女を亡き者として扱う周囲に反発を感じていた。ある日、真奈はすみれの恋人・遠野(杉野遥亮)から彼女が大切にしていたビデオカメラを受け取る。そこには、真奈とすみれが過ごした思い出と、知らなかった彼女の秘密が残されていた。親友を探す旅の先で見つけたものとは――。4月1日(金)全国ロードショー。
杉野遥亮(すぎのようすけ)
1995年9月18日生まれ、千葉県出身。2015年、第12回FINEBOYS専属モデルオーディションでグランプリを獲得。’17年公開の映画『キセキ―あの日のソビト―』で俳優デビュー。主な主演・出演作にドラマ「直ちゃんは小学三年生」「東京怪奇酒」( ともに’ 21 年TX )、「恋です!〜ヤンキー君と白杖ガール~」(’21年NTV)、映画『東京リベンジャーズ』(’21年)など。