大量生産・大量消費・大量廃棄の時代はもう終わり。手にしたものを長く大切にするとともに、これ以上使えなくなったら資源として返すことも考えたい――真の循環型社会実現のため、服と繊維のリサイクルについて学びましょう!
服と繊維のリサイクルの仕組みを公開!
今回お邪魔したのは、「ナカノ 横浜工場」。1934年創業以来、故繊維をリサイクルした「再生繊維原料」「ウエス」「軍手」の製造・販売を通じて日本の繊維循環を支えています。エコロジー(環境)とエコノミー(経済)が両立する「エコソフィー」を提唱するナカノ 横浜工場で、実際にリサイクルの仕組みを見せていただきました。
STEP 01/古着の回収
主に神奈川県の一般家庭から古着・古布ごみとして行政回収されたものが、横浜工場に集まります。その数、年間1万トン! 状態が良く、まだ十分に着られる服がほとんどです。撮影中にも回収車が次々と往来し、袋に入った古着が積み重ねられていきました。
STEP 02/選別作業
人の目と手により、選別されていく衣料。輸出先で古着として活用されるもの、ウエスになるもの、綿になるもの、そこからさらにフェルトになったり、軍手になったり…。すべてを合わせると約284種類に分けられます。
STEP 03/プレス&梱包
カテゴリーごとになった衣料を圧縮し、梱包。巨大な機械でプレスされた衣料はカチカチの状態で、元の4分の1くらいの大きさ、1包は約600kgの重さに! さらにリサイクルを進めるためこの状態でフィリピンへ輸出されます。
STEP 04/フィリピン工場へ
1998年に建設されたナカノの主力、フィリピン工場。26トン近く積み込んだ衣料はコンテナでフィリピン工場へ運ばれます。ここでも細かい選別が繰り返され、用途に応じて仕分け。
1. フィリピンの人たちの衣服に
全体の4割強が衣服としてそのまま東南アジアの人たちの手に。暑い国なので夏物がメインとなります。良質な日本の古着は現地のおしゃれな人々に喜ばれているそう。
2. ウエスや軍手に再生
一部の古着や繊維くずなどは、ウエスや軍手に。用途を変え「繰り返し使われる繊維」を象徴する、ナカノの代表的な製品。売り上げの一部は貧困層への支援として寄付も。
STEP 05/日本での販売
ウエスや軍手は日本の工場などで次の“ものづくり”をサポート。実は回収よりもこれらリサイクル製品を扱うマーケットが先に大きくなることが、循環を実現する大切なポイント。
「服や繊維の循環のひとつの形を、具体的に知ることができて勉強になりました。私はわりと服を長く大切に着続けるほうですが、手放した先の行方も、今後はもっと意識していきたいと思います」(香里奈)