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TIMELESSPERSON

2021.04.07

待たれても、ツッコミ役はやめよ【岸本鮎佳のサヨウナラ術】

“大人のフリ”して放置(我慢したり、見て見ぬふりしたり)せず、煩わしい人間関係をぶった斬り、好きな人たちとだけ生きていく――。そんな“自分基準”を掲げて、人生を楽しく、生きやすくしていきませんか? 脚本家 岸本鮎佳さんの連載「私、幸せになるんで。はい、サヨウナラ」。あなたの人間関係やモノ付き合いの整理整頓&取捨選択に際し、ぜひご参考に!

vol.15「私って、〇〇なんですよぉ~」ツッコミ待ちの女

岸本鮎佳

(c)yumeyume6/Shutterstock.com

あなたの周りにこんな発言をする女はいないだろうか?

「私って、雨の日でも傘ささないの~」
「私って、地下鉄乗れないの~」
「私って、ショートにしたことないの~」
「私って、カタツムリ無理なの~」
「私って、家では何も着ないの~」

私って〇〇なんですよぉ~と、自分の情報を伝えた上で、こちらの「何で?」のツッコミを待ってる女。

こういう女の特徴は基本的に「いい奴」であるということ。
なので、注意しないと気付かない。

というより、気にならない人もいるかもしれない。

でも、自分の調子が悪いとき、こういう女は鼻につく。

もう長い付き合いになる彼女とは、ある共通の趣味のコミュニティで知り合った。

おしゃべり好きな彼女は、明るくて、一緒にいて楽しい気持ちにさせてくれる。

礼儀もしっかりしていて、どこに連れて行っても、間違いなく好印象を与えられる貴重な存在だ。

ワンシーズンに一回くらい会う普通の友人。

会うと、必ずお互いの恋愛話になる。

会う度に、新しいネタを提供してくれる彼女は、いつも本気で恋愛をしているが、上手くいかない。

そのときも、彼女の恋愛話を真剣に聞いた結果、「あぁ、彼女は遊ばれてるな...」と思った。

本気の男は初めてのデートでキスはしない。(と、私は思ってる)

本気の恋をしたいと口では言いながら、何故かいつも都合の良い女になり、悲しむというループを繰り返す彼女。

でも、その喋り口は軽快でどこか、自慢気だ。

私も幸せになってほしいと思っていながらも、いつも同じような男に本気になり、失恋する彼女の話をどこか他人事に楽しんで聞いていた。

つまり、「そっか~!」「へぇ~!」「それは、ひどいね!」というように、常に受け身状態で、自分の意見は何となく伝える程度だった。

彼女は多分聞いてほしいと思ってるのだろうし、私が意見したところで彼女に響かないような気がしたからだ。

でも、その日私は彼女の言葉に引っかかった。

またしても、お酒の勢いに任せて、初対面の男とキスをしたという彼女に対して、

「初対面の男とキスすると、都合のいい女になっちゃうから、それは付き合ってからのお楽しみにすれば?」とこれまで何万人が言ったであろうセリフをやんわりと伝えた。

すると、あからさまに顔をしかめ、でも彼女なりの精一杯の笑顔で、

彼女「大丈夫、私、本気じゃない人とはキスしないんで」

と自信満々に私に言い放ったのだ。

私「...え? いや、いつもそれで後悔してない?」

彼女「そのときはいっつも本気で好きな訳だし、私キスってノリですることもあるのね」

何言ってんだ?
いやいや、いっつも泣きながら私に愚痴ってんだろ!!!

私が今まで面白がってたからいいけど、もういい加減学ぼうか!?

「私本気じゃない人とはキスしないんで」
「私キスってノリですることもあるのね」

彼女は自分で矛盾していることに気付いていない。

岸本鮎佳

(c)Black Salmon/Shutterstock.com

その瞬間、この子はこの矛盾に一生気付かないのだと思った。

何故なら、「私〇〇なんだよね」という自分中心のルールのなかでしか生きられないから。

本当は自信がないくせに。

思えば、私はこれまでも受け身でいたのではなく、気を遣ってたのかもしれない。

気が強く、プライドの高い彼女を傷つけまいと、彼女の「私〇〇なんだよね」発言に対し、「何で?」とちゃんと突っ込んでいた。

「私って、雨の日でも傘ささないの~」
「何で?」
「え、だって、なんかイギリスに留学してたときのこと思い出すから」 ←自慢

「私って、地下鉄乗れないの~」
「何で?」
「え~だって、くさくない? 私潔癖症だから無理なんだよね」 ←じゃ、一生乗るな

とまぁこんな感じで、結局こういう女は自分が一番大好き。
そんな自分をさりげなく周りに自慢して、共感されることで、心が満たされる。

否定的な意見は受け入れない。

彼女に突っ込むことを突然やめたら、私のなかのもやもやした気持ちはどこかにいってしまった。

意外と多くいる「ツッコミ待ちの自分大好き女」は、こちらが疲れているとき、毒のように全身に倦怠感を与える。

ツッコミ待ちの女には、「突っ込まない!」。

これが一番だ。

すると、途端に話がつまんなくなってくる。

これまで突っ込んだことによって、なんとなく場が盛り上がってるふうだったが、実際はただ自分大好き女の話を聞かされ、盛り上げているだけだった。

皆さんの身近にも、こういう女は必ずいる。

ただ、こちらが甘やかしてはどんどん調子に乗っていく。

本当の友達なら、本音を言ってあげたほうがいい。

まぁ、私の場合はしばらく距離を置くことにした。

サヨウナラ。

ツッコミ待ちの女…。

私はもう、突っ込まない。

岸本鮎佳の【私、幸せになるんで。はい、サヨウナラ】をもっと読む。

TEXT=岸本鮎佳

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