“大人のフリ”して放置(我慢したり、見て見ぬふりしたり)せず、煩わしい人間関係をぶった斬り、好きな人たちとだけ生きていく——。そんな“自分基準”を掲げて、人生を楽しく、生きやすくしていきませんか?
脚本家 岸本鮎佳さんの連載「私、幸せになるんで。はい、サヨウナラ」。あなたの人間関係やモノ付き合いの整理整頓&取捨選択に際し、ぜひご参考に!(編集部)
vol.09「ファッションモンスターにならないで」
先日、お洒落が好きすぎる男子に会いました。
お洒落すぎる人無理~とかいう人いるけど、私は別にそんなことなくて、わりとお洒落な人が、好き。
というより、センスある人が大好き。
だからこそ、男性にも知らず知らずの間にセンスを求めてしまってるところがある。(←嫌な女)
でも、必ずしも、お洒落すること=センスが良い。ということではないのが、難しいところ。
マルジェラを着てても、
「その服(全然似合ってないけど)どこのですか~?」
「マルジェラだよ」
「え!?(本当に)マルジェラ!?(嘘だろ?)」
となる人もいれば、
「その服どこのですか?」
「マルジェラ」
「やっぱり!? 〇〇さんセンスいいから、そうだと思った!」
そういう人は、たとえユニクロを着てたとしても、
「すごい! もっと高いブランドモノだと思った~」
・・・となるのである。
何が言いたいのかというと、本物のセンス持ってる人は、その人自体の佇まいにセンスが滲み出ちゃってるんで、何を着てても何を持ってても、無条件に、何か信用出来るのだ。
先日出会ったメンズファッションモンスターは、デニムのセットアップ、ハンチング帽子、クラッチバッグという姿で私の前に降り立った。
職業はやはりファッション関係。
デニムのセットアップが悪いわけでも、ハンチングやクラッチバッグが悪いわけでもない。
ただ、それらが一堂に会したとき、その人のビジュアルを含め、なんか微妙な気持ちになったのだ。
彼は、ジブリ作品が好きだと言う。
「好きなジブリ作品は?」
と聞いたら、
「宮崎駿監督作品は、だいたい好きかな」
と言った。
え、ゴメンな? 作品名聞いてるのな? こっちは。
以後、何を質問してもまったくしっくりこない。というか、何か、鼻につく。
そして、好きな女の子のファッションの話になり、
「女の子にはメゾンキツネ着てて欲しいかな」
着てて欲しい?
何様ですか?
一着何万もするブランドを着てて欲しい?
お洒落な人は好き、こだわりを持ってる男も嫌いじゃない。メゾンキツネは何も悪くない。
ただ、私が一番嫌なのは、自分のファッションに対して、あーだこーだ口を出してくる男性。
自分が着るものは、自分で決めたい。
誰の指示も受けたくない。
私はあなたのファッションの一部じゃないから。
それがたとえ、洋服じゃなくても、自分が大事にしているものだとしたら、それは絶対に捨ててはいけない。
「合わせる」ことは、尽くすことではない。
そこは、「合わせる」ことはしなくていい。
センスは、磨くもの。
誰かのために、変えるものではない。
彼にもいつか、センスのバッチリ合う女性が現れますように。
悲しきファッションモンスターさん。
はい、サヨウナラ。
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