岡山弁全開の「クセがすごい」の斬新なツッコミフレーズで おなじみのお笑いコンビ・千鳥。今やテレビで彼らを見ない日はないほど、飛ぶ鳥を落とす勢いのふたり。 知るほどにクセになる、秘めた魅力をお笑い評論家のラリー遠田さんが大解剖!
"クセがすごい”千鳥がここまで愛される理由
「千鳥は今や一部のお笑いファンだけでなく、大人の女性や女子中高生など
幅広い世代から愛されています。そんな彼らも、大阪から東京に出てきたばかりのころはなかなか芽が出ずに苦労していました。彼ら自身が全国区の仕事に対して必要以上に身構えてしまったうえに、スタッフも彼らをどう扱っていいのかわからなかったというエピソードを聞いたことがあります」
「でも少しずつ個々のキャラクターが認知されてくると、彼らの面白さが伝わるようになってきました。そのきっかけになったのは、岡山県出身のふたりの"独特の言語感覚"です。ノブさんの『クセがすごい』というフレーズや『〜じゃ』というインパクトのある語尾、大悟さんの『ワシ』という一人称が強烈な印象を残しました」
「特にバラエティ番組では、先輩芸人からイジられたときに哀愁の漂うツッコミを打ち返すノブさんのセンスが光りました。苦し紛れに一時期『ノブ小池』に改名したのも今では笑い話です。そこから徐々に大悟さんの唯一無二のボケのセンスや、ノブさんや共演者をイジるときの切り口の面白さも世間に知られるようになり、ますます人気を伸ばしていったのです」
「千鳥の芸人としての最大の強みは"ぶれないこと"だと思います。デビュー当初から今も変わらず、自分たちが面白いと思うことだけを追求していくストイックな姿勢が、ようやく実を結んだのです」
文/ラリー遠田
作家・ライター、お笑い評論家。お笑いやテレビに関する評論、執筆、イベント企画などを手がける。著書『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)が発売中。