『GINGER』の連載「KARINA’S GARDEN」のアーカイブを順番に振り返りながら、“あのころ”と“今”、ときには“これから”を語る「香里奈のひとりごと」。写真好きの香里奈が、連載用に撮り下ろしてきた思い出のショットも紹介します。
みんなからの歓声に頑張る気持ちをもらってきた
年2回開催される「東京ガールズコレクション」。先日(3月31日)の横浜アリーナで行われたのが第26回で、その歴史はもう12年を越えているそう。ちなみに私は2007年からいろいろな形で毎回出演させていただいてます。
GINGER本誌の連載では、TGCで名古屋へ行ったときのことを紹介した回も。
私にとっては、思い入れたっぷりの名古屋ドーム。中学生のときに、安室さんのライブを初めて観たのもここだったから。
その場所に自分が立つという感慨深さと喜びもありつつ、お客さんにしっかり楽しんでもらわなくては・・・という、ある種の責任感も芽生えたり。
初めてTGCのステージに出た(2007年)ときのことは、今でも鮮明な記憶。
通常のファッションショーとは規模が違って、TGCの名物ともいえるのが、とにかく長い長いランウェイ。そこを上手くウォーキングできるのだろうかという緊張や気負いは実は不思議と感じてなくて、私がステージに出たときにお客さんの反応が無かったらどうしよう、という不安のほうが大きかった。
雑誌の世界では、支持してくれるファンの方の存在を知っていたけれど、雑誌を見てくれている以外のお客さんも集まるこういうステージで、みんなが私のことを知ってくれているのか否か、まったく未知の世界だったから。
だからステージに出た瞬間に、想像以上に皆さんがワーッと言ってくれて、その歓声の大きさにびっくり。それは、こんなにたくさんの人が私のことを知ってくれているんだ、という嬉しい驚きだったのです。
連載の本文でも、その気持ちを綴っていて――
生の大歓声を聞きながら長いランウェイを歩く
高揚感、楽しさ、モデルとしての喜びは
頑張ってきたからこそ、感じられるものだと思う。
私に手を振ってくれるお客さんひとりずつに
本当にありがとう!って伝えたくなる。
ステージで味わえるこの気持ちに、いつも支えられてきた気がする。
ステージでのパフォーマンスは、いつもステージに出てから考えるというか、アドリブ的。ライブだからこそ、実際に歩きだして、お客さんの反応とか、他のモデルの動きとか、本番だからこその音楽やライティングの感じをつかみつつ、予定通りのこと、小さなハプニングも、いろいろな状況をみながら、ポージングも間の取り方も、瞬時に判断していく。
いつだったか、パファーマーの方とからんでパントマイム的なことをするという演出があって、私の動きはすべてアドリブでした(笑)。あのときは、バレエを習っていたことがより役に立ったな、と思った。
私はいわゆるファッションショーに出演するにはあまり身長が高い方ではないので、このTGCのステージで歩くこと自体がとてもいい経験だし、“今”のモデルたちが一堂に集まるので、それを知るのも勉強になる。ティーン誌やカジュアル誌のモデルたちとは、特に普段会う機会がほとんどないから新鮮でもある。
華やかなステージの裏側にあるもの
スタッフの方たちはそれこそ1年がかりで準備をしていて、その頑張って作り上げてきた様子とか、当日は当日で、バックステージのフィッティングルームではフィッターさんが手際よく次々とモデルを着替えさせていたりとか、進行の方たちもモデルの手配や取材のアテンドに大忙しだったりとか、とにかく大勢の人が関わっていて、これをまとめ上げていくって本当にすごいことだなと思う。
モデルはある意味、ステージを歩くだけで、それがTGCのメインではあるけれど、表には出ないスタッフの方々の頑張りを見るたびに、私も参加している一員として、何としても成功させなくてはと気が引き締まる。
続けていくことって大変で、そのままをキープするだけでは続かなくて、上に向かっていかないと失速してしまう。TGCがこれだけ長く続いているのは、上を目指して動き続けているからなのだと、ますます拡大していくそのパワーに毎年刺激をもらっている。
私自身のTGCへの関わり方も少しずつ変化してきて、今回はオープニングで国連PRステージにスペシャルゲストとして出演させてもらいました。
TGCに出演してランウェイを歩かなかったことは私にとって初めての経験だったから、なんだか不思議な気分だった(笑)。
TGCのプロデューサーさんと、また名古屋ドームで開催したいね~って話をしました。いつか実現できたら、うれしいけど!