『GINGER』の連載「KARINA’S GARDEN」のアーカイブを順番に振り返りながら、“あのころ”と“今”、ときには“これから”を語る「香里奈のひとりごと」。写真好きの香里奈が、連載用に撮り下ろしてきた思い出のショットも紹介します。
30代になってからの仕事感
懐かしい! この回(2009年10月号)は、映画(2010年公開の『パレード』)の撮影中だったから、東映の撮影所を散策したんだよね。映画の撮影所はテレビ局とはまったく違って、独特の空気が流れている。
このときの文章には――
私のなかでは「モデル」と「女優」の関係性と同じく、
「映画」と「テレビ」はぜんぜん異なるもので、
そのどちらも楽しいものなんだ。
という、当時の気持ちが書いてある。
かつては、モデルと女優の両立は大変そうですね、とよく言われることがあったけれど、今はモデル、女優、タレント、アイドル、歌手・・・の境界線があまりなくなってきた気がする。いろいろできることが求められるし、そういう時代になったんだなと思う。
女優の仕事も、テレビ、映画、舞台のほかに、最近はネットドラマなども増えたから、そのときどきで面白いもの、興味のわくものを選んで挑戦すればいいし、選択肢は広がっているんだよね。その一方で、30代になると求められる役柄も変わってくるし、演技するうえでの課題も増えるから難しいなと思うこともあるけど。
20代は切れ目なく、ひたすら走り続けていた感じだったけど、今はひとつの作品をじっくりと丁寧にやりたいなという気持ちがあるから、焦らずに一歩ずつ進んでいきたい。ひとつずつ、流されずにやりたいし、それができる年齢と環境になったと思ってる。
モデルの仕事に関しては、20代のころは、撮影した写真を自分でもほとんどCheckさせてもらっていたんだけど、人任せにできないというか、自分でやらなきゃというか、それも含めてモデルの仕事だと思っていたんだよね。できる限り関わらないと、なんだかすごく不安だったわけ。
そのころ(20代)は、いい意味でぶつかり合って解決する、というやり方だったけど、今は、じゃあココはやりますね、ココはお願いしますって進めることで、自分のパートに注力するというか。シンプルに“自分の持ち場”に戻って、人に委ねることは委ねる。それができるようになった。
それは、いい意味で仕事に執着しなくなったからなのかも知れない。
以前は“仕事のために生きていた”けど、今は“生きるために仕事をする”というスタンスになって。もちろん、この仕事が楽しいからやっているわけだけど、以前は“それ(仕事)だけ”で生活がまわっていたから、あのペースを一生続けていくことは無理だなと気付いた。“生きるために仕事をする”っていうのは、生きていくためには仕事をしなきゃという意味だけではなくて、“どんなふうに生きていくか”を自分の中心に据えて、その“生き方を実現するために仕事をするんだ”ということ。自分らしいテンポを見つけて、未来へ進んでいくことが大事になんだと実感してる。
プライベートで観る映画は、英語の勉強もできるし、洋画がほとんど。最近観たもので好きな作品は『ワンダフルライフ』とか(犬がテーマの作品はやっぱり観てしまう 笑)。あと、面白いなーと思う作品にはよく、モーガン・フリーマンが出演している(笑)。
ジャンルではヒューマン系やサスペンス映画が多いかな。恋愛映画は、その世界になかなか入り込めなくて(笑)。子供のころから、人形で遊ぶよりも、ボードゲームとか顕微鏡とかミニカーに興味がある男の子っぽい志向だったんだよね。実際に、幼稚園のころは、男の子と遊ぶことのほうが多かったし、三輪車とか自転車とか一輪車を乗りまわしている女の子だった。
恋愛マンガも読んではいたけど、はいはい、現実はこんなに甘くないですよ、って思いながらみてた。どんな小学生なんだか(笑)。中学生になってもドラマのなかの恋愛を素敵だな、と思うことはあっても、それと現実をつなげて考えたりしなかったというか。
ということで、今年はもう少し女性らしさを増量していけたらいいなと思います。