6月5日(金)より公開される映画『Never After Dark/ネバーアフターダーク』は、ホラーでありながらジャンルに収まらない独自の世界観を持つ作品。主演の穂志もえかさん、そしてプロデューサーを務め出演もしている賀来賢人さんは、この“見たことのない映画”をどのように作り上げたのか。キャラクター構築から現場づくり、デイヴ・ボイル監督との対話、そして現場で起きた“想像を超える瞬間”について語ります。
ホラー×ウェスタン×日本映画が誕生

――完成した映画をご覧になっての感想を教えてください。
賀来賢人さん(以下、敬称略) ラッシュ段階から何度も観ているんですが、段階を経るごとにどんどんエンターテインメントになっていった印象です。説明的なセリフを入れずとも、観客がちゃんと追いつける映画にしたいというのが監督のデイヴ(・ボイル)と僕の共通認識でした。
編集が進むにつれ、幅広い世代が楽しめるエンタメ性が強くなっていって、“予想以上にエンタメしてるな”と嬉しい誤算でした。さすがデイヴの手腕だなと感じています。
穂志もえかさん(以下、敬称略) エンタメ色が強いというのはもちろんですが、何より“見たことのないテイストの映画”だと感じました。ジャンル分けできないような不思議な感覚があって。
デイヴやカメラマンのパトリックが持ち込んだウェスタンの文化と、日本のキャスト・スタッフの感性が、押し付け合うのではなく良いコラボレーションになっている。どちらにも染まっていないバランスが珍しくて、観客としても“初めてのアトラクションに乗っている”ような感覚でした。

――全国をまわって怪現象を解決する霊媒師・愛里というキャラクターについて伺います。穂志さんはどのように役作りを? また賀来さんは監督とどんな話をされたのでしょうか。
穂志 作品の世界観が独特で、愛里は人にはない能力を持っている。“何か”が見えるとか、死後の魂と交流できるとか。そういう世界で“ちゃんと生きていられる”ためには細かい設定を知る必要があると思ってデイヴに聞きました。愛里には何が見えているのか、どんなバックグラウンドや生い立ちなのか、とにかく質問しました。デイヴは、細かく答えを持っていたので、すごく助かりました。
賀来 脚本はデイヴのアイデアをもとに構築されていて、愛里は“想像しにくいバックグラウンド”を持つキャラクター。普通の人が経験しないような人生を歩んでいるので、僕たちも“決め切らない”ようにしていました。決めたくなかったというか。
穂志さんをキャスティングした理由のひとつは、芝居に記号性がないこと。作品を拝見していて、“狙って作れるものじゃない自然さ”を持っている方だと思っていて、それが愛里にぴったりだったんです。
撮影前には座学のように話し合いを重ねて、穂志さんの思う愛里像と、デイヴや僕らの思う愛里像をすり合わせていきました。現場でも穂志さんのリアクションが僕たちの想像と真逆で、「愛里ってそういうことなんだ」と気づかされることが多かった。掴みづらいキャラクターでしたが、むしろ穂志さんに教えていただいた感覚です。

――ミステリアスな洋館にクラシックカーやレコード、アンティークのインテリアなどをちりばめつつ、ゾートロープ、鏡、ろうそくを駆使した儀式。随所にビジュアル面のこだわりが光っています。
賀来 これは賀来調べですが(笑)、日本映画はビジュアル面に割く予算が低い傾向があるので、今回はそこにしっかり振りました。僕自身、洋画を観て育ったので、視覚的な役割をすごく大切にしたいと思っていたんです。今回、衣装もすべて1から作っていただきましたし、LAのカメラマンを迎えて“まずルックから挑戦する”という課題を掲げていました。サウス・バイ・サウスウエスト(SXSW)2026でもルックへのコメントを多くいただけて、自信になりました。
穂志 本当に美術やセットが素晴らしくて、そこに立つだけで世界観に入れる感覚がありました。衣装もセットと完全にマッチしていて、細部までこだわって作られているのを感じました。衣装を1から作っていただくのは私自身初めてだったんですけど、そのディテールの一つ一つが役作りの糧になりました。比較的コンパクトな組で、各部署の“手作り感”が感じられたのも楽しかったです。
賀来 儀式に使われる回転鏡も手作りです。海外のプレスから「あれはなんだ?! 本当に日本にあるのか?」って聞かれて(笑)、そういう説得力を持たせられたのは本当にありがたいです。
――今年3月に行われたサウス・バイ・サウスウエスト(SXSW)2026での観客の反応はいかがでしたか。
賀来 いちばんシリアスなシーンで、「おいおいおい、マジかよ〜」みたいな笑いが起こっていて(笑)。ホラーは向こうでは“笑えるもの”でもあるらしく、日本とは逆の反応が面白かったです。
穂志 そこが一番印象的でしたね。「そこで笑うんだ?!」という(笑)。確かに、今思えばデイヴも現場でずっとニヤニヤしてましたね(笑)。

――現場づくりについて、賀来さんが“お茶場をコンビニのように充実させた”と伺いました。
賀来 本当にコンビニみたいにしました。“なんであそこにあんなにお金使ったんだろう”と思うくらい(笑)。減りの早いもの・遅いものの傾向を見て、次の補充を考える…みたいなプランも立ててました。
穂志 ないものはなかったです! 本当に大事なんです、ああいう場所。みんなが駆け込んでリフレッシュにもなるし、エネルギーチャージもできるし、ありがたかったですね。
――現場の雰囲気づくりで、他に意識されたことは?
賀来 なるべくいろんな方とコミュニケーションを取ること。そして穂志さんが提案してくれたんですが、毎朝、朝礼をしていました。「おはようございます」「今日もよろしくお願いします」で始まるルーティンなんですが、これで現場の信頼感が一気に生まれたように感じています。これは今後も絶対取り入れたいと思っています。
穂志 なんでそれを提案できたかというと、賀来さんが“手探りです”と正直に言ってくれたスタンスなんです。ありのままでいてくださって、開示してくれる。「困ったら言ってください」と心から言ってくれているのが伝わったので、私も提案しやすかったんです。
朝礼に関して言えば、知り合いの俳優さんに“「SHOGUN 将軍」(24)の現場で毎日やってたよ”と聞いて思い出し、ドキドキしながら提案したら、すんなり受け入れてくれました。

――本作を通してホラー映画との向き合い方に変化はありましたか。
賀来 ホラーは低予算でもクリエイティブが発揮できる“希望のジャンル”だと思っています。今回、怖さやスリルだけでなく、キャラクターとストーリーを突き詰めることが大事だと改めて感じました。海外のリアクションも含めて、作ってみてすごく楽しかったですし、観てくださる方に良い読後感を残せるんじゃないかと思っています。
穂志 私もホラー作品の出演は初めてだったんですが、この作品はお化け的な怖さより、現実に起こっていることの怖さが描かれていて、物語性の大切さを感じました。複合的な要素が絡み合って“怖さ”が生まれているので、より印象的な作品ができたと思います。
賀来 「みんなで怖がりに行こう!」という感じで、劇場に足を運んでくれたらそれ以上に嬉しいことはないですね!
――最後に、この作品ならではの学びや気づきがあれば教えてください。
賀来 多国籍チームでも“映画作り”という共通言語があれば言語の壁は関係ないと気づきました。最初は不安で、乖離が起こると思っていたんですが、そんな心配はいりませんでした。特に日本のスタッフは本当に優秀で、瞬発力もチームプレーも世界に誇れる。結果的に皆さんにすごく助けられました。
穂志 “独裁者”がいない現場でした(笑)。監督の顔色を伺う必要がなく、各部署が尊重されていた。デイヴや賀来さんの人柄が健全な空気を作っていたと思います。また、デイヴや賀来さんの信頼関係を近くで見られたことも嬉しかったです。とってもいいパートナーをお互いが見つけたんだと、一緒にいるだけで感じられて、今後のおふたりが何をされるのか、すごく楽しみにしています。
【6月5日(金)公開】『Never After Dark/ネバーアフターダーク』

出演/穂志もえか 稲垣来泉 賀来賢人 吉岡睦雄 正名僕蔵/木村多江
脚本・監督/デイヴ・ボイル
プロデューサー/賀来賢人
企画・製作/SIGNAL181
配給/TOHO NEXT
neverafterdark.toho-movie.jp
X @N_after_D_film
Instagram @n_after_d_film
TikTok @n_after_d_film
賀来賢人(かくけんと)
1989年7月3日生まれ、東京都出身。2007年に『神童』で俳優デビューし、映画・ドラマ・舞台で活躍する。Netflix作品「忍びの家 House of Ninjas」(24)で主演とプロデュースを務め、この作品をきっかけに監督のデイヴ・ボイルとパー トナーシップを結び、共同の製作会社「SIGNAL181」を設立。近年の主な出演作に『今日から俺は!!劇場版』(20)、ドラマ「半沢直樹」(20)、ドラマ「TOKYO MER~走る緊急救命室~」(21)、ドラマ「マイファミリー」(22)、Netflixシリーズ「忍びの家 House of Ninjas」(24)、Prime Video「龍が如く〜Beyond the Game〜」(24)、映画『劇場版 TOKYO MER〜走る緊急救命室〜南海ミッション』(25)、Netflix シリーズ「今際の国のアリス シーズン3」(25)など。
X @kentkaku
Instagram @kento_kaku
穂志もえか(ほしもえか)
千葉県出身。講談社主催「ミス iD2016」でグランプリを獲得。2018年公開の『少女邂逅』で映画初主演を果たす。「SHOGUN 将軍」(24)では宇佐見藤を演じ、第30回クリティクス・チョイス・アワードドラマシリーズ助演女優賞を受賞。また2026年1月より放送された「京都人の密かな愉しみ Rouge継承」(NHKBS)ではドラマ初主演を務めた。近年の主な映画出演作に、『街の上で』(21)、『窓辺にて』(22)、『生きててごめんなさい』(23)、『誰よりもつよく抱きしめて』(25)などがある。26年の待機作に映画『メモリィズ』(6月12日公開)がある。
X @moehamegenai
Instagram @moekappa823
SHOP LIST
フィズ 03-5306-6552
リーバイ・ストラウス ジャパン 0120-099-501

