多部未華子「これは私にしかできない特権」オーディブルで『ツバキ文具店』配信スタート！

多部未華子さんがナレーターを務める『ツバキ文具店』がAmazonオーディブルにて配信スタート。心がほっこりあたたかくなる名作が、多部さんの声によってさらに深みと奥行きを宿して登場する。これからの季節にぜひ聴いてほしい本作について、多部さんにインタビュー！

小説『ツバキ文具店』の朗読に挑戦！

声によって情景が広がる。登場人物のイメージがより鮮明になってまぶたの裏に浮かぶ――。利用者が急増中のAmazonオーディブルは、プロの声優や俳優が朗読する本やポッドキャストが楽しめる音声コンテンツ制作・配信サービス。

オーディブルへの参加が2度目となる多部未華子さんが今回朗読する作品は、心温まるストーリーで読者の心を浄化してくれる『ツバキ文具店』（小川糸／幻冬舎）。1度目の短編小説『カンガルー日和』（村上春樹／講談社文庫）に比べると、長編小説の今作は苦戦したところもあったそうで。

「『カンガルー日和』は1話ずつ切り替えができたので“短期集中”出来たのですが、『ツバキ文具店』はブースに入ってから『そうだ！　本を読むって難しいんだった！』って思い出して、長編の大変さを感じました（笑）。数日間かけて収録したのですが、毎回同じトーンやテンションを保たなきゃいけないというプレッシャーを感じていました。実はこの取材の前にリテイクしていたんですが、少し期間が空いたこともあって、自分が思っているより出ている声が低くてちょっと混乱してしまいました（笑）」

以前GINGERで連載「多部未華子がBOOKコンシェルジュ！」を担当していた多部さんに、“あの時”のように『ツバキ文具店』をおすすめしてもらうと。

「主人公の鳩子は、（わけがあって）祖母に反発したり、過去から目を背けて生きてきたけれど、代書屋という仕事を通していろんな人と出会って、相手の人生を背負ったりもする女性。依頼に来る人に影響されて、自分の過去を見つめ直し、過去の自分を肯定したりちょっと悔やんだりして、人生を歩んでいく、成長していくお話です。きっと聴いてくださる方も、鎌倉の街で生きてきた鳩子を通して、『自分ってこれでいいんだな』『自分の過去ってどうなんだろう』って重ね合わせることができると思うんです。どのエピソードもステキなので、家事が終わったちょっとした休憩時間に、紅茶やコーヒーを飲みながらゆっくり聴いてもらえたら嬉しいですね」

多部さんは2017年に実写ドラマ『ツバキ文具店～鎌倉代書屋物語～』（NHK）にて主人公の鳩子役を演じたことも。その数年後に今度は“朗読”として関わることになったことについてどう感じているのだろうか。

「『ツバキ文具店』って私のなかでとても思い入れのある作品なので、オファーを頂いたときは嬉しかったですし、『他の人には読んでほしくない！』『私が読みたい！』という思いでした。朗読をする前に勉強の意味も含めて読み返したのですが、ドラマのときの光景がブワっと蘇ってきて。だから声を吹き込みながら、撮影現場の鎌倉の景色やバーバラ夫人を演じてくださった江波（杏子）さんを想っていました。当時の情景や一緒に演じてくれたステキな役者さんのことを思い出しながら読めたので、それはきっと私にしかできないことで、特権だったんじゃないかなと思います」

最近では俳優のみならず、アニメーションの声優や番組ナレーターとしても活躍する多部さん。その違いを聞いてみると「演じるって意味では同じかもしれませんが、声だけっていうのは本当に難しいです」と言う。

「表現の幅を声だけで広げるっていうのは、映像や舞台の役者とジャンルが違うものだと思っていて。私は声のお仕事のプロではないので、自分自身だけで考え込まず、求められているものに応えたいという気持ちで向き合っています。ディレクターさんにいろんな意見をいただいて、自分の引き出しを見つけてもらうような感覚です。私の技量が聞き手の方にどこまで届くか分からないですが、キャラクターとともにステキなエピソードが耳に入ってくると感じていただけたらいいなと思います」

最後に“代書屋”がテーマの物語にちなんで、手紙を書くことがあるかと聞くと、すぐにでもマネしたいメソッドが！

「最近書くことが増えました！　手紙っていうよりかは付箋にメッセージを書く程度ですが（笑）。一言添えたほうが気持ちが伝わるなと思うようになったんです。友達にオススメのものを紹介するときに『ここが好き！』って書いて贈ったりしますよ」

ホッとあたたかくなる物語を多部さんの優しく包み込むような声で味わえる本作。これからグッと冷え込む季節に、温かい飲み物とともにじっくり聴き込みたい作品がついに配信をスタートする。鎌倉を舞台に主人公・鳩子を取り巻くキャラクターたち、そして美しい季節の移ろい、多部さんの朗読によってより鮮やかになった『ツバキ文具店』を堪能して。