漢方では同じお悩みを抱えている方にでも違う処方をすることがあります。漢方医学においてはその方が持つ「体質」が大切にされているからです。体質とはどのように判断されるのか、体質ごとの特徴を元にセルフチェックしてみましょう。(漢方専門家/わたし漢方 さっち先生)
気・血・水とは?
漢方医学の基本のひとつとして、「気(き)・血(けつ)・水(すい)」の3要素が体の状態をつくるという考え方があります。
「気」は身体のエネルギーで、生命活動を支えるパワーのようなもの。
「血」は血液や臓器を潤し、栄養を行き渡らせる役割があります。
「水」は血液以外の水分を指し、代謝や免疫力に影響を与えます。
この3要素が体内をバランスよく、正常に巡っている状態が健康。反対に、どれかひとつでも欠けた状態は身体の力が弱まって不調が出やすい状態です。
どれが足りていないのか・循環していないのかは、人によって違います。この違いをさまざまな目線から判断した身体の傾向が、「体質」です。
漢方でよく聞く体質改善とは、つまり、足りていない・循環していない要素を補い、巡らせ、不調が出やすい状態から健康へと導いていくこと。そのためには、自分の身体がどのような体質なのかをきちんと把握する必要があります。
わたし漢方ではこの体質を5つのタイプに分けて考えています。それぞれに出やすい症状や特徴があるので、自分はどのタイプに近いのかチェックしてみましょう!
体質タイプ1「気虚」(ききょ)
生命活動の支えとなる「気」が不足した状態です。パワー・エネルギーが足りていないので、身体に元気がなくなってしまいます。
当てはまる症状はありますか?
・倦怠感
・体力や気力がない
・風邪をひきやすい
・花粉症のようなアレルギーが出やすい
・朝起きられない、寝ても疲れがとれない
・集中力が低下する
・顔色が悪い、肌のたるみが気になる
・食欲不振、胃腸が弱い
・冷え性
・少し動いただけで汗が出る
●気虚体質さんへのアドバイス
・過労の蓄積や睡眠不足は気の回復を妨げるので、しっかりと身体を休める環境を整えて疲れを溜め込まないようにしましょう。
・身体全体が弱っている方が多いので、冷たいもの・辛いものはなるべく避け、栄養バランスの整った消化の良い食事を心がけましょう。
体質タイプ2「気滞」(きたい)
身体のエネルギーである「気」の巡りが悪く、滞った状態です。「気」には元気や気力だけではなく気持ちの意味も含まれます。身体的な不調に加え、精神的な不調を抱えやすいのが特徴です。
当てはまる症状はありますか?
・イライラや憂鬱などの精神的な不調
・喉に異物が詰まったような違和感
・首や肩のこり
・肌トラブル(にきび、肌荒れなど)
・腹部の張り、げっぷやおならがよく出る
・便秘と下痢を繰り返す
・生理周期の乱れ
・PMSが辛い
・冷えのぼせ
・不眠
●気滞体質さんへのアドバイス
・人間関係や仕事のプレッシャーだけでなく、気温、湿度、騒音など日常生活の環境がストレスになる方も。ゆったりと深呼吸をし、忙しい中でも趣味や好きなことをして心に余裕を作りましょう。
・柑橘類やハーブなどの香味食材は気の巡りを良くする効果があるので、リラックスの時間とともに積極的に取り入れていきましょう。
体質タイプ3「血虚」(けっきょ)
身体に潤いと栄養を与える「血」が不足した状態です。月経がある女性は男性よりも血虚になりやすいとされ、血を作り出すエネルギー(気)が同時に足りていないケースも多く見られます。
当てはまる症状はありますか?
・貧血、めまい、立ちくらみ
・目がかすむ、疲れ目
・手足が冷えやすい
・だるい、疲れやすい
・集中力の低下、物忘れが目立つ
・不安感
・顔色が悪くくすんでいる
・肌や髪がパサつく
・抜け毛が多い
・爪が割れる
●血虚体質さんへのアドバイス
・無理なダイエットは栄養不足の身体に追い打ちをかけてしまい、体質悪化の原因になります。栄養バランスの整った食事を心がけましょう。
・睡眠の時間が毎日違って夜ふかしや寝坊が多かったり、食生活が偏っていたり、生活リズムの乱れがある方は注意。血が足りないと血を作る力もなくなり、悪循環に陥ります。
・月経の量が多かったり、不正出血が続くことも血虚の原因に。月経トラブルが続いているという方は、婦人科への受診も検討してくださいね。
体質タイプ4「瘀血」(おけつ)
血液やホルモンを含めた「血」の巡りが悪く、滞った状態です。栄養が必要な場所まで届かず、体内の不要な汚れもたまってしまいます。気虚、気滞、血虚など他の体質が進行した場合にも瘀血に繋がりやすいとされています。
当てはまる症状はありますか?
・にきび、いぼ、吹き出物がよくできる
・シミ、そばかす、くま、くすみが多い
・皮膚や歯茎が黒ずんでいる
・体の痛み(頭痛、腰痛、関節痛)
・肩こり
・手足のしびれ
・寒い季節の冷え、冷えのぼせ
・アザや傷跡が治りにくい
・月経痛が重い
・経血にレバー状の塊が混ざる
●瘀血体質さんへのアドバイス
・血行が悪いので腰を中心に身体を冷やさないように心がけ、血の巡りを良くしていきましょう。普段シャワーだけで済ますことが多かったり、運動をする習慣がないという方は血行をよくするための生活習慣も見直していけるとGOOD。
・デスクワークや長時間同じ姿勢でいる作業が多い方は要注意。定期的に立ち上がったり、ストレッチをするなど、意識して姿勢を変えるのがおすすめ。
体質タイプ5「水滞」(すいたい)
水分代謝が悪く、体内に濁った「水」が過剰に溜まった状態です。余分な水分が排出されずに体内に停滞しているので、梅雨や湿度の高い日に体調を崩しやすいというのも特徴です。
当てはまる症状はありますか?
・梅雨の時期など湿気が多い日に体調を崩す
・むくみ
・めまい
・耳鳴り
・頭や体の重だるさ
・お腹がちゃぽちゃぽする
・吐き気
・皮膚トラブル(湿疹、水疱など)
・軟便、下痢気味
・下半身太りが気になる
●水滞体質さんへのアドバイス
・「水を毎日2リットル飲む」ダイエット法を耳にしたことのある方も多いかもしれませんが、余分な水分が溜まって流せないでいる状態の水滞体質はNG。一度にたくさん飲むことは避け、こまめに少量ずつ飲むようにしましょう。
・余分な水分を排出するために、汗をかく習慣をつけましょう。現代に生きる私たちは汗をかきにくくなっているといわれているので、意識して運動や入浴を取り入れたいですね。
体質はひとつとは限らない!
それぞれ挙げた特徴に当てはまるものはありましたか? いくつかの体質にまたがっているように感じる方も多いのではないでしょうか。実は、上記の体質ひとつだけを抱えているという方はまれで、不調に悩む多くの方が複数の体質を抱えています。
ご自身の体質について、もっと詳しく知りたいという方は、わたし漢方の無料LINE相談をぜひ利用してくださいね。
執筆者/漢方専門家 さっち先生
LINEでいつでも相談・処方検討できる漢方薬専門店「わたし漢方」の漢方アドバイザー。「不調とともに生きる女性の毎日を快適にし、やりたいことに全力投球できる手助けがしたい」という想いをもとに、東洋医学に基づいた体質改善の秘訣や健康食の紹介、漢方を取り入れた養生法などを発信している。
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