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MYSELFウェルネス

2022.12.15

落ち込んでいたら…風邪をひく!?冬こそ整えたい、心身の不思議な関係

街がいきいきと輝くにつれ、なんだか落ち込む? そんなあなたは早めのケアを。放っておくと、メンタルだけでなく体調まで崩れることも。その仕組みと対策をチェック。

イルミネーションの光

あるある!「街が輝くにつれ、落ち込む」現象

冬はメンタル不調が増えると言われている季節。GINGERのSNSでもリサーチしてみたところ、「わかる!」という声が多数寄せられた。

「夕方の暗さと寒さで、無性にさみしい気持ちになります」

「気分が落ちて、布団から出られない」

「な〜んにもやる気がしない、ずっと寝ていたい、そんな自分が嫌になる」

「一人でいるとさみしい気持ちに押しつぶされそうになります」

そこで今回は、働く人の健康管理をサポートしている、ヘルスケアマネジメント協会代表理事の振本恵子さんにインタビュー。冬のメンタル不調の仕組みと対策を教えていただいた。

冬のメンタル不調の原因は?

夕日を眺める女性
冬のメンタル不調を理解するうえでカギとなるのが「セロトニン」。セロトニンは脳内で分泌される物質のひとつで、人が生きる上で必要な体温や呼吸、内臓の動きなどを司る全身の「自律神経」を活性化してくれている。

「自律神経は、心身を活発にする“交感神経”と、リラックスさせる“副交感神経”のバランスにより成り立っています。セロトニンはそのバランスを整えることで、心と体を安定させてくれるため、“幸せホルモン”とも呼ばれているんです」

その「セロトニン」、実は冬になると不足しがちに!

「セロトニンは光を浴びることによって増えていくので、日照時間が短い冬には、分泌量が減ってしまうのです」

加えて、年末年始は仕事もプライベートもスケジュールが過密になりやすい時季。

「ずっと緊張状態にあることで交感神経優位な状態が続き、自律神経のバランスが乱れ、メンタル不調が起こりやすくなってしまいます」

冬のメンタル不調には、女性ならではの理由も!

オフィスで働く女性
しかも女性は、男性に比べてセロトニンが少ないというデータも(※1)。20歳を過ぎると、女性ホルモンの減少にともない、セロトニンの分泌量が下がっていく。そのため実は、10万人あたりのうつ病の患者数を比べると、女性は男性の2倍も多い(※2)のだ。

また、働く女性に日頃から多く接している振本さんは、女性ならではのストレスの存在も実感しているという。

「日本社会にはまだまだ、女性はキャリアビジョンが描きづらいという現状があります。ライフステージの変化に伴い、キャリアを断念したり遠回りしたりするケースも多く、働く女性は常に先が見えない不安を抱えている。将来、結婚や子育てをしたいと考えている女性は、年齢を意識して焦ることもありますよね」

そういったストレスは減らしていくのが理想的だが、完全になくすことは難しいもの。「心身のバランスを上手にコントロールして、乗り切っていきましょう」と振本さん。

「メンタル不調の前には、まず身体症状が出ることが多いです。脳がストレスをキャッチすると、全身の自律神経に働きかけて、ストレスに抵抗しようとします。自律神経は胃腸に多く集まっているため、胃が痛くなったり下痢をしたり……不眠や動悸などが起こる場合も。こういったサインに早めに気づいて、ケアすることが大切です」

メンタルが不調だと免疫機能も低下!?

軽やかに走る女性
実は、セロトニンの分泌が不足し、自律神経が乱れると、影響を受けるのはメンタルだけではない。たとえば、健康を保つために欠かせない免疫機能がうまく働かなくなってしまうことも。

「実は交感神経が優位なときには、ウイルスを処理する免疫細胞の働きが低下します。それ自体は自然なことですが、交感神経優位な状態がずっと続いてしまうと、免疫機能が本来の力を発揮できないということになるのです」

実際に、ストレスがかかっている人ほど、ウイルスに感染した細胞を攻撃するNK(ナチュラルキラー)細胞の働きが弱いというデータもある(※3)。新型コロナウイルスやインフルエンザも気になるこれからの時季、免疫力の低下は避けたいところ。

「人間の体には、本来、さまざまな機能がバランスよく備わっています。バランスが乱れてしまったら、できる限り本来の状態に戻してあげることが、心身を健康に保つための近道です」

「セロトニン」の働きを維持するには?

心と体の健康のカギを握る「セロトニン」。実は、日常のちょっとした心がけで、その働きを安定させることができるという。意識したいことは次の3つ。

朝一番にカーテンを開ける

朝の部屋
セロトニンは、光を浴びることによって分泌される。朝起きたらカーテンを開け、日の光をしっかり浴びて。

「朝、2500ルクス以上の光を浴びるとよいとされています。蛍光灯の光だけでは500ルクスくらいですが、太陽の光は雨やくもりの日でも5000ルクス以上あるので、10分、15分でも屋外に出るだけで全然違います」

必須アミノ酸が含まれる食品を摂る

朝食
セロトニンは必須アミノ酸からつくられる。つまり、必須アミノ酸が含まれる良質なたんぱく質を摂ることが不可欠! 一番大切なのは継続すること。手軽に食べられる大豆製品や乳製品がおすすめ。

「食べるもので本当に心身の調子が変わるので、いろいろ試してみて、自分に合った続け方を見つけられるとよいですね。ちなみに私の定番は、R-1乳酸菌の入ったヨーグルト。R-1乳酸菌は免疫機能の維持や、感染症の予防に役立つというデータもあり(※4)、飲み始めて私には合っているなと感じたので、毎朝飲むことにしています」

“一定のリズム”のある運動をする

ランニングする人の足元
運動のなかでも特に、一定のリズムのある運動がセロトニンの分泌を促す。つまり、さまざまあるワークアウトのなかでも、ウォーキングやランニングが◎。

「20分程度のリズム運動で十分、セロトニンを分泌できると言われています。通勤時間などを利用して、太陽の光を浴びながら歩けると一石二鳥ですね」

伸びをする女性
ほかにも、寝る2時間前からはスマホを見ない、お風呂にゆっくり浸かって温まるなど、リラックスする時間を大切にすることが、自律神経を整えセロトニンの働きを維持することにつながる。

目には見えないけれど、私たちの心と体の健康を左右する「セロトニン」。冬のメンタル不調を感じている人は、まずはできることから、セロトニンを意識した生活を始めてみて。朝日を浴びながらリズムよく歩けば、気持ちが晴れてくることを実感できるはず!

振本恵子(ふりもとけいこ)
ヘルスケアマネジメント協会代表理事。看護師、心理カウンセラーなどを経て健康教育コンサルタントとして独立。現在、企業看護師として約8,000名の働く人の健康管理に従事するほか、コンサルティングや講演などを通じて企業の健康経営をサポートしている。

※1 Proc Natl Acad Sci U S A. 1997 May 13;94(10):5308-13.
※2 厚労省「令和2年患者調査」、ほか
※3 Sci. Total Environ. 2001, 270, 3-11.
※4 Br J Nutr. 2010 Oct;104(7):998-1006.

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