なんだか調子が悪い…それはもしかしたら、日々のストレスで体のバランスが崩れているせいかも。そこで役に立つのが、心と体を内側から整える「漢方」。セルフメディケーションとしての漢方の取り入れ方を「わたし漢方」の水沼未雅さんがナビゲート。
暑い毎日が続く夏に欠かせない冷房。前回の記事では、「冷房病」とは何かについて解説しました。
今回は人それぞれの体質における「冷房病」の特徴や、出やすい症状ごとのおすすめアプローチについて、漢方医学の目線から解説していきたいと思います。
あなたはどの「夏冷え」タイプ?
室内外の気温差によって自律神経が乱れると、必要以上の冷えを招き、さまざまな不調を抱え込むようになってしまいます。
「冷えが悪い」と言っても、体質によって冷え方はさまざまです。考えられる原因も、冷えやすい箇所も、対策の仕方もかなり異なります。
これらを知るために、まず漢方における「体質」とは何かを把握しておきましょう。
漢方には、「気・血・水」の考えに沿った「体質」というものがあります。
簡単に言うと、「気・血・水」というのは身体を構成する大切な三要素です。この三つの要素が体内をバランスよく、正常に巡っている状態が“健康”であると考えてください。
反対に身体に不調が出るのは、どこかが欠けてしまっているということです。
どれが足りていないのか、循環していないのかは、人によって違います。この違いから分かる身体の傾向のことを私たちは「体質」と呼んでいます。
では、冷えやすい箇所ごとの体質の傾向と漢方でのアプローチ例を解説していきます。
●お腹冷えタイプさん
【特徴】
・気が不足した「気虚」体質
・胃腸の不調(食欲低下や下痢など)が起こりやすい
暑い夏は汗を沢山かくため、水分や老廃物と一緒に身体のエネルギーである「気」を消耗しやすくなります。気が不足していると熱を作り出す力が弱くなり、内臓が冷えるので、胃腸関連のトラブルが多くなります。食欲不振・消化不良・下痢などが起こりやすくなります。
【おすすめの漢方薬】
気を補う生薬や胃腸を元気にするための生薬、お腹を温める生薬などが配合された漢方薬がおすすめです。
●手足冷えタイプさん
【特徴】
・血が不足した「血虚」体質
・栄養不足で血行が悪い
身体の養分である「血」が不足している方は、全身に十分な栄養が行き渡りづらいため、特に末端が冷えやすい傾向にあります。
頭痛や腰痛、女性の場合は月経痛などにも繋がりやすく、夏の季節だけでなく年中悩んでいるという方が多いのも特徴といえます。
【おすすめの漢方薬】
血を補って血行を良くしていく生薬、温める生薬などが配合された漢方薬がおすすめです。
●冷え&のぼせタイプさん
【特徴】
・気や血が滞った「気滞」「瘀血」体質
・巡りが悪く「冷えのぼせ」が起こりやすい
「気」や「血」などの身体全体の巡りが悪い方は、慢性的な頭痛や精神的な悩みを抱えているケースが多く見られ、下半⾝は冷えるが上半⾝はほてる「冷えのぼせ」が起こりやすくなります。
更年期障害やストレスなどの精神的な負担から巡りが悪くなっている方も多く、鬱滞を複合的に取り除いていく必要があります。
【おすすめの漢方薬】
巡りを良くしていく生薬などが配合された漢方薬がおすすめです。
●水溜まり冷えタイプさん
【特徴】
・水が滞った「水滞」体質
・余分な水分が体内に溜まっている
日本の夏は高温かつ湿度も高いことから、体の中に余分な水分が溜まりやすいといえます。梅雨の時期からの不調を引きずっている人も多く、むくみや重だるさ、頭痛などの症状を抱えやすい傾向にあります。
【おすすめの漢方薬】
余計な水分は冷えの原因となるため、水はけを良くする生薬や体を温める生薬などが配合された漢方薬がおすすめです。
いかかでしたか?
このように、一口に「冷房病」と言っても、体質によって出やすい症状やおすすめのアプローチはかなり異なります。
次回の記事では、どんな方にもおすすめしたい「冷房病に有効な生活習慣の改善」について解説していきます。ぜひお読みいただき、参考にしていただければ幸いです。
>>その不調の原因はエアコンかも!?夏こそ気をつけたい「冷房病」とは
水沼未雅(みずぬまみか)
わたし漢方創業者・薬剤師。京都大学薬学部卒業後、東京大学大学院薬学系研究科で博士号(薬学)を取得。アストラゼネカで新薬の上市プロジェクトにかかわった後、マッキンゼー・アンド・カンパニーでヘルスケア関連プロジェクトを担当。漢方で自身の不調が改善した経験から、「もっと漢方の良さを広めたい!」という想いで2017年に『わたし漢方』創業。
わたし漢方
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