冬から春への季節の変わり目に伴い、肌のゆらぎを感じる人が急増中とか! その原因は乾燥や花粉、摩擦などの外的刺激だけでなく、ホルモンバランスも大いに関係することが判明。そんな今知っておきたい、ゆらぎ肌の原因と対策を、銀座スキンクリニック院長の坪内利江子先生によるスキンケアセミナーよりご紹介します。
なぜ季節の変わり目になると、肌はゆらぐの?
朝晩の気温差が激しく、花粉の飛散や高まる紫外線も気になる今日この頃。冬から春への移ろいと共に、「いつも使っている化粧水がヒリヒリしみる」「顔がムズムズかゆい」など、肌の違和感を覚えたことはありませんか? 実はそれ、ゆらぎ肌のサイン! バリア機能の低下が原因かもしれません。
バリア機能とは、皮膚の一番上にある組織「表皮」の、最上層である「角層」が持っている機能のこと。角層では天然保湿因子(NMF)を含んだ角層細胞と細胞間脂質がきれいに整列することで、水分蒸発を防いで肌のうるおいをキープするとともに、ホコリや大気汚染などの異物の侵入を防いだり、紫外線など外界の刺激から日々ガードして、肌を健康で美しい状態に保っています。
しかし、気温や湿度の低下、加齢、ストレスや睡眠不足などの影響でこのバランスが崩れると、角層から水分が失われて肌が乾燥状態に。すると、角層細胞と細胞間脂質でつくられていた構造に隙間が生じてうるおいバリア機能が低下。普段なら何でもない外からの刺激に、より敏感に反応しやすくなってしまうのだとか。
また、寒く乾燥した冬を過ごしてきた肌は、水分が失われてバリア機能が低下ぎみになっています。そんな状態の肌に、春とともに増加する花粉や大気汚染物質、紫外線などの刺激が加わることにより、肌の調子が不安定な状態に。普段、敏感肌でない人も季節の変わり目は皮膚の防御力が下がり、ゆらぎ肌に陥りやすいので、いつも以上に注意が必要です。
日常生活に隠れた、バリア機能を壊すワナとは?
バリア機能が低下する要因は、実は日常生活のなかにも潜んでいます。乾燥や紫外線などの刺激はもちろんですが、実は肌を傷めるスキンケアなどもバリア機能を低下させてしまいます。
なかでも、美容好きの人が陥りやすいのが、洗顔による「摩擦」。キレイに洗浄したいがゆえの過度な洗顔やクレンジングは、薄くデリケートな角層を傷つけ逆効果! ゴシゴシこすったり、熱いお湯で洗うなどしていると、角層から水分が失われてうるおいバリア機能がさらに低下する可能性も。また、化粧水やクリームを塗るときなどにも、こすらないよう気をつけることが大切です。
丁寧にスキンケアしているつもりが、かえってゆらぎ肌を自ら招いてるなんてことも! 間違ったスキンケアを続けると、かゆみや炎症などの肌トラブルに発展してしまうこともあるので注意して。
意外と知らない、ホルモンバランスとバリア機能の関係性
さらに、バリア機能の低下を防ぐうえで、注目したいのが“ホルモンバランス”。みなさんも、生理中にニキビや赤みなどの肌トラブルが出た、肌が敏感になるなどの経験がありませんか? 特に生理前後においてこれらの悩みが多いことから、女性ホルモンがバリア機能に影響することがわかっています。
例えば、生理前は女性ホルモンのうち「黄体ホルモン(プロゲステロン)」の分泌量が増えることで皮脂分泌が盛んになり、ニキビや吹き出物などができやすくなります。また、いわゆるPMSと呼ばれる、心身共に不調が目立つ期間であり、溜まった疲労やストレスが、肌バリア機能をより悪化させる要因に。
そして、生理になると黄体ホルモンの分泌も、皮脂の分泌を抑える「卵胞ホルモン(エストロゲン)」も少なくなることで、肌の乾燥が進んで敏感になることで肌荒れが発生します。また、生理中は自律神経が乱れやすくなることでむくみが生じやすく、その結果、水分や栄養素の循環が滞ることも原因のひとつと考えられます。
逆に、生理後に肌の好調を感じる人が多いのは、女性ホルモンのバランスが安定することで水分量やコラーゲン生成が増え、バリア機能が高まる傾向にあるためなのだとか。
先生のクリニックでは、生理前後の肌揺らぎで受診する患者さんも多いそう。ホルモンバランスを整えることも意識しつつ、バリア機能を高めるスキンケアを行うことが、ゆらがない肌への近道です!
皮膚科医に聞く!ゆらぎ肌のためのスキンケアのススメ
肌ゆらぎを改善するためには、バリア機能の強化が必要不可欠! 栄養バランスの良い食事や十分な睡眠と運動、花粉や紫外線などの外的刺激から守る対策はもちろんのこと、角層のキメを整え、弱ったバリア機能を立て直すスキンケアが重要です。
肌状態が良くないからといって、次々に新しい化粧品を試すことや、あれもこれもといったステップの多いケアは、かえって肌の負担となりトラブルを悪化させる原因にも。低刺激処方のアイテムで、保湿を最優先にしたスキンケアを心掛けて。敏感肌の人はもとより、普段肌トラブルが少ない人でも季節の変わり目はゆらぎやすい傾向にあるので、この時季は敏感肌向けの化粧品を使うなど、肌コンディションで使い分けするのがおすすめです。
また、ホルモンバランスが大きく変動し、肌が揺らぎやすい生理前後も、刺激を与えないシンプルなスキンケアが効果的。特に皮脂量が多くなる生理前は、皮膚を清潔に保ち、油分を与えすぎないことがポイントです。朝晩の優しい洗顔と十分な保湿を意識することが大切です。
乾燥が加速する生理中も、保湿が要。刺激を受けやすい時季でもあるため、新しい化粧品やピーリングなど肌の刺激になることは控えることが重要です。加えて、日々の「洗顔方法」も見直しを。低刺激の洗顔料でまろやかな泡を作り、皮脂量が多いTゾーンから洗うのがコツ。すすぎは32℃ほどのぬるま湯で洗い流すことを心掛けて。
坪内利江子(つぼうちりえこ)
銀座スキンクリニック院長。医学博士。日本皮膚科学会専門医。日本レーザー医学会認定医。日本抗加齢医学会認定専門医。一般の方々に美容医療の正しい知識と理解を深め、もっと身近に感じてほしいという思いから、日々の診療に加えて学会での講演・論文発表・臨床研究・美容関連記事の監修などを行う。
ゆらぎ肌におすすめ!敏感肌向けスキンケア
肌がゆらいだ時にいつでも頼れる、敏感肌向けのスキンケアは常備しておくと安心です。編集部おすすめの低刺激処方のアイテムをご紹介します。
密着型ヒアルロン酸が肌表面をベールのように包みこみ、古い角質や皮脂、毛穴汚れを一掃。洗いあがりのうるおいが持続するから、まるで落としながら与えるケアを実現。ホイップのような弾力泡が、日々頑張る肌をいたわります。
たっぷりの美容成分とナノサイズのオイルが角層のすみずみまでいきわたり、肌のバリア機能をやさしくサポートする低刺激処方のローション。乾燥ダメージをやわらげながら肌荒れを防ぎます。高保湿なのにベタつかず、まろやかに肌になじんでしっとりと潤います。
併せて使いたいのが、肌のバリア機能や保湿機能をサポートして、肌荒れなどのトラブルを繰り返さない美肌を育む美容乳液。乳液のエモリエント効果で肌内にうるおいを閉じ込めてキープすることで、ふっくら柔らかな肌に整えます。高機能美容成分配合のナノエマルジョンが角層のすみずみまで届いて、うるおい不足を根本ケア。オイルリッチでありながら、ベタつかない使い心地も◎。
iniks(イニクス)
https://www.iniks.jp/
季節の変わり目の肌のゆらぎは、誰しもが経験し得ること。ホルモンバランスの変化が原因であることも視野に入れ、守りと攻めのケアをスイッチするフレキシブルなスキンケアをすることが大切です。ダメージに屈しない肌を育み、新たな季節の訪れを楽しみましょう!