女性医療ジャーナリストの増田美加さんによる連載。人生の基礎になる“健やかな体”を手に入れるための最新知識をお届けします。
和温療法®とは、心身を和ませる温熱療法。医療用乾式サウナを用い、時間をかけてゆっくりと全身を温めていきます。難治性心不全や慢性の病気などに医学的治療効果がある治療法として話題ですが、GINGER世代の冷え症や不妊、月経痛の強い人にも、幅広い効果が期待されています。和温療法®を診療に取り入れている桜医院の柴田美奈子院長先生を訪ね、その治療法と効果を女性医療ジャーナリストの増田美加が詳しく取材しました。
和温療法®は、医療用サウナでゆっくりと深部体温を上げ、発汗を促す治療
「20代、30代の女性なら、慢性的な冷え症、冷えによる不妊症、月経痛の強い人にもぜひおすすめしたいです。月経前の数日だけ続けて行っていただくだけでも効果は期待できます」と和温療法®を診療に取り入れている柴田美奈子先生。
そもそも和温療法®は、鹿児島大学循環器呼吸器代謝内科元教授の鄭忠和医師が1989年から研究開発に取り組み、確立された治療法。
現在、慢性心不全、閉塞性動脈硬化症、下肢切断を迫られるような難治性潰瘍の方など、これらの疾患には、医学的な治療効果が確立されています。そのほか、慢性疲労症候群、微小血管狭心症、線維筋痛症など、幅広い疾患に効果が期待されています。
心臓や関節に障害があって、運動や入浴ができない方でも、それらと同じ血流改善効果が期待できる治療法です。
その手順はと言えば…
手順1:血圧、脈拍、体重の測定
専用ウエアに着替え、体を温める前・後にこれらの測定を行います。体重測定は汗で失われる水分量を見るためです。
手順2:15分間、医療用乾式サウナに
60℃に設定した低温乾式遠赤外線サウナ室に15分間入ります。すると、深部体温が0.8 ℃ ~1.2 ℃ (平均1 ℃)上昇します。この約1 ℃の深部体温の上昇が、安全で副作用なく、治療効果を発揮するポイントです。
手順3:保温して30分間安静に
サウナから出た後、タオルや保温シートで保温して30分間ベッドで安静に休みます。
手順4:発汗で失われた水分を補給
前後の体重測定で、発汗で失われた水分を測り、同量以上の水分を補います。
最初は週4~5回、その後は週2~3回程度、継続できると効果が高いと言われています。
女性専用の内科クリニックだからこそ
柴田先生、なぜ体温を1℃だけ上げることが治療につながるのでしょうか?
「全身をゆっくり温めることで、血管を拡張させ、血流を改善します。心臓には負担をかけることなく、全身の血流が促進され、各臓器はもちろんのこと、身体の末端まで必要な栄養(酸素)が行き渡り、その結果、免疫力が高まり、さまざまな病気の改善や予防に役立つのです」
桜医院は女性専用の内科。そのため、更年期の不調や月経にまつわる悩みを持つ人も多く受診されるとか。月経痛や、冷え性で不妊に悩む人、更年期の自律神経機能障害の人にも幅広くこの治療法を取り入れています。
「和温療法®だけでなく、漢方やピルの処方もしています。それから運動の指導も。患者さんによっては、これらをいくつか組み合わせて治療したほうが良いのはもちろんですが、できるだけ薬は使いたくないという方なら、なおいっそう、和温療法が受け入れやすいのではないでしょうか?」
と柴田先生。
和温療法®は、気持ちのいい爽快感のある発汗を促し、気分、食欲、睡眠、便通を改善する作用があります。痛みや苦痛・副作用がないため、多くの人が取り入れやすいのも良さのひとつです。
和温療法®は1回¥4,500。2回目以降は、タオルやパジャマ、靴下を持参されれば¥4,000。
血流改善のために運動療法も取り入れています
和温療法とともに、運動療法にも力を入れており、運動不足で肩こりの人、足腰が弱りがちな人、肥満や生活習慣病で減量(ダイエット)の必要な人などに、積極的に運動指導をする専用ルームが用意されています。
月経痛の人には、筋膜リリース、尿漏れの人には骨盤底筋体操、と個々の悩みに合わせた、オーダーメイドのメニューで丁寧に指導することがモットー。
女性ならではの不調や病気をサポート
お話を伺った柴田美奈子先生(桜医院院長)。
柴田先生は、大学病院の内分泌代謝内科、および公立病院で女性専用外来の診療に長年従事。女性ホルモンにまつわる疾患を中心に、女性ならではの健康問題や病気に対して、幅広くサポート。
特に、生活習慣病における運動療法や、内臓や関節に負担をかけずに運動と同じような血流改善効果を期待できる和温療法®に力を入れています。
桜医院
東京都墨田区太平3丁目10-5 淡海ビル4階
03-3625-0396
http://www.sakura-iin.com/
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