愛想笑いで受け流す日々にもうウンザリ――そんなあなたへ贈る虎の巻! 作家のアルテイシアさんにセクシュアル・ハラスメントへの対処法を聞きました。全5回の短期集中連載でお届けします。
体験談4:浴びせられるミソジニー発言
「同僚男性から『取引先の男性に気に入られて仕事が楽でしょ』と言われました」(35歳/公務員)
「仕事でリーダーを任されたとき、役員と肉体関係にあるなど根も葉もない噂を流されました」(32歳/メーカー)
「女性だからこういうの得意でしょ、と雑用を押し付けられることがよくあります」(29歳/保険)
女性の能力を不当に低く見積もり、裏でなにかやっているはずだと勘繰る。女性というだけで、勝手に気配りや優しさを期待する。これらはすべてミソジニー(女性蔑視、女性嫌悪)の表れと言えます。
こういうことを言う男性に限って、「えっ、俺は女好きだよ?」と言ったりするから困りもの。
〈初級編〉相手の言ったことを復唱する
ここでも、一番大切なのは笑顔を封印すること。「ナメると痛い目に遭うぞ」と殺気を出していきましょう。それが難しければ、第1回でもご紹介した“ハシビコロウ顔”をキメて。
「そのうえで、相手が言ったことを復唱して差し上げるだけでも効果があると思います。『女性だから…ですか』『◯◯とおっしゃいましたね』。察しのいい人なら、自分の発言が偏っていたことに気づくはずです」
また、第2回で紹介した“bot返し”も役立ちます。「あなたはそういう考えなんですね」を繰り返すことで、私は同意しない、という意志を伝えましょう。
〈上級編〉なぜ?なぜ?“エジソン返し”で相手を追い詰めよう
もう一歩踏み込んで言い返せそうなときは「なぜそう思うんですか?」「なぜ私がこれを得意だと思ったんですか?」と興味深げに聞いてみて。
幼少期のエジソンは、なんにでも興味を抱いて「なぜ?」「なぜ?」と質問していたので「なぜなぜ坊や」と呼ばれていた――というエピソードにちなみ、アルテイシアさんはこれを“エジソン返し”と名付けています。
「普通に疑問なんですけど、みたいな感じで『なぜ』を重ねて、淡々と相手を追い詰めるのです。相手は答えに窮して狼狽するはず。『たしかに、なぜだろう』と思わせることができればしめたもの」
ごちゃごちゃ言い訳をしてきたら、
「そういうこと言う男性、本当多いですよね…」
とため息混じりにつぶやけばOK。
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それでは復習です。ミソジニー発言を浴びせられたときは、
・相手の発言を復唱
・“エジソン返し”
この2つの武器で応戦しましょう。
でもたしかにそうかも?と思ってしまったら…
ジェンダーギャップ是正のため、女性の登用に積極的な企業も増えている昨今。読者アンケートでは、「女ってラッキーだよな」などと言われると「たしかに私は、女性だから登用されただけなの…?」と思ってしまう、という声も寄せられました。
でも「真に受けなくていい」とアルテイシアさんはキッパリ。
「そもそも現実が偏っている、という前提を忘れないでいたいですね。女性がラッキーなのではなく、これまで不当な扱いを受けていた状況が改善されつつあるだけ、なのです。ラッキーで昇進・昇格できていたのはむしろこれまでの男性。あなたはあなたの実力で評価されているのだと、自信を持ってほしいです」
アルテイシア
作家。神戸生まれ。近著に『モヤる言葉、ヤバイ人~自尊心を削る人から心を守る「言葉の護身術」』(大和書房)、『フェミニズムに出会って長生きしたくなった。』(幻冬舎文庫) など。フェミニズムにまつわる軽快な語り口のエッセイが人気で、「モヤモヤがすっきりした」「ハラスメントにNOを言えるようになった」など救われる人が続出!
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