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LIVING

2022.09.17

セックスが変わればファッションも変わる。【スタイリスト小泉茜 連載】

ワードローブを更新するように、価値観のアップデートを! スタイリスト 小泉茜さんによる連載エッセイ「わたしを着替える」。

小泉茜

Vol.6 “ネタ”ではないセックスのはなし

ファッションモンスターならついつい集めてしまう“偏愛アイテム”というものがあるだろう。わたしの偏愛アイテムは“セカンドスキン”と呼ばれる、裸に見間違えるくらいに自分の肌に近い色のトップスだ。

マネキンのようなアンドロイドのような、なんだか無機質な印象になれて、スタイルがモードみを帯びる。裸に見えた、と驚かれる逸脱性もちょっとたのしい。ただ、お察しの通り、エロに受け取られることも少なくない。人の感じ方はそれぞれなので仕方ないのだが、なんでもかんでも簡単にエロに分類されてしまうと純粋にファッションを楽しんでいるファッションモンスターは悲しい。

わざわざこんな裸に見える服を着なくても、日本女性は本人の意志と関係なくイージーに性的消費される。セクハラや痴漢、レイプなどの性犯罪に遭った女性に対して「そんな服装をしていた女性も悪い」というセカンドレイプの声もよく聞く。実際に私の知人が痴漢に遭った際、対応してくれた女性警察官に服装を注意されたそうだ。店先に商品が並んでいたとしても万引きが許されないのと同じで、わたしたちがどんなファッションを楽しんでいたとしても性犯罪されていい理由には絶対にならない。

わたしたちはセックスに主体性を持っているか?

以前、「彼にセックスを誘われても気分ではないときは断っている」と言ったら女友達に怒られた、という話を友人から聞いたことがある。その女友達は「男性は性欲を抑えられないのだから断るなんて可哀想だ、それで浮気されても文句言えない」という持論を展開していたらしい。

男性はみんな猿かなにかだと思っているのか?(もはや猿に失礼!)という疑問はさておき、男女関係なく意志は尊重されるべきだし、ましてや“女性は男性の性処理を担って当然”という考えは古いを超えてもはや野蛮すぎる。その友人は「それで浮気するような彼氏ならいらない」と答え、その場でスタンディングオベーションが起きたとか起きなかったとか。

そもそも女性でもこんな考えをもってしまう原因のひとつに、エロコンテンツの影響があると思っている。以前読んだ『ケーキの切れない非行少年たち』という本に、性犯罪を繰り返す非行少年の多くがAVのセックスを主流と思い込み、本当はレイプや痴漢を女性が喜んでいると信じていたといったことが書かれていた。…や、そりゃそーだろ!! 仮に「これはフィクションです」と書いてあったとしても、性教育が十分でない日本で、経験の乏しい少年少女たちがAVを観たら、あのセックスが一般的だと勘違いするのも不思議な話ではない。人生で初めて触れるセックスの情報が女性の尊厳を軽視したAVになるのは本当に本当に危険だ。

男性のために創作されたAVのセックスを主流と思っていると、女性はセックスに主体性を持てない気がしてならない。

女性がセックスに主体性を持てたら、ファッションも変わるはず

欧米を旅行するといつも感心することがある。セルフプレジャートイが“美容グッズ“として堂々とドラッグストアに並んでいることだ。女性も性欲があるのは当然で、かつ主体性を持つと綺麗になれるらしい…!!

また、ラフォーレ原宿にはフェムテックグッズを置いているラブピースクラブというショップがあり、吸水ショーツなどとともにプレジャートイがたくさん並んでいる。そこでは「セルフプレジャーは知ってるけどわたしには関係ない」という白々しい態度はナンセンスだ。「わたしもこれ持ってるんですけどすごくおすすめです!」といったセルフプレジャー前提の接客は本当に居心地が良い。

男性の性欲は仕方のないことなのに女性の性欲は無いことにされたり、それすらエロ消費されると「これからもその価値観でやっていくつもり?」とうんざりする。

私は、女性がもっとセックスに主体性を持って参加できるようになれば、日常生活でも自己肯定感が上がり、“男性に選ばれる”という感覚が薄まって、ファッションもメイクも自分軸で楽しめるようになるのでは?と本気で思っている。年齢や体型を気にせず、自分が好きな服を選び、トレンドを過度に気にすることもなくなるかもしれない。他人のファッションやメイクをイタイなどど揶揄する人もいなくなるはずだ。なんて優しくて居心地のいい世界なんだろう。

わたしが裸に見えるセカンドスキンのトップスを着ていても、意図せずに性的消費されることもなく、みんなの目にはただファッションを楽しむ野生のファッションモンスターとして映るだけだ。

そもそも、今回のようなテーマを呼ぶ適した言葉が見つからないのも不思議だ。この真面目なセックスのはなしも“下ネタ”になるのだろうか。これからのわたしたちは“ネタ”ではないセックスの話をしよう。

小泉茜の【わたしを着替える】をもっと読む。

TEXT=小泉茜

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