GINGER本誌の人気連載「MONEY事情」でおなじみのファイナンシャルプランナー花輪陽子先生が、最新のマネートピックスを解説! 知っているようで知らないキーワードや、複雑でも私たちの暮らしに直結しているニュースなどを、サクッと整理して学びましょう。
今回のテーマは、お金の防災。いざというときに冷静に対処するために、日頃から知っておくと安心な情報をお伝えします。
お金の心配よりまずは安全確保を優先してOK
先日の台風10号で被災をされた方も多いと思います。7月の一連の大雨でも、長野、福岡、熊本、鹿児島の4県で災害救助法を適用した地域がたくさんありました。
災害救助法が適用された地域では、家屋等の流失・焼失等により損害保険会社との保険契約に関する手掛かりを失った人に対しても契約照会に応じる「自然災害等損保契約照会制度」という制度があります。お金のことは後から何とかなる場合が多いため、くれぐれも安全が確保されていない状態で通帳などを取りに戻らないようにご注意ください。
事前の備え:保険の保証内容を把握
自然災害は、火災保険でカバーできることが多いです。火災保険というと「火事への備え」というイメージがありますが、火災保険に入っていれば、水災や落雷、ガス漏れによる破裂や爆発、風災・ひょう災・雪災、盗難などのケースでも補償が受けられる場合があります(補償内容は商品によって異なるります)。
例えば、補償内容に“水災”が入っていれば、
●河川が決壊して建物が流されてしまった場合
●集中豪雨から土砂崩れが起きて建物が全損した場合
●集中豪雨で自宅が床上浸水し、建物の床などが損傷したり、電化製品などの家財が壊れてしまった場合
などにおいて保険金がもらえる可能性が非常に高いです。しっかりと火災保険に入っておきましょう。
一方、地震や津波・噴火などによる災害については火災保険では補償の対象外となっており、別途地震保険への加入が必要となります。地震保険の保険料は、所在地、建物の構造、補償金額などによって異なります。保険会社のサイトなどで試算可能なので、マイホームを持っている人や、賃貸でも家財への保障が欲しい人は、加入を検討してみるとよいでしょう(賃貸物件の場合、家屋の損傷は家主負担、家財の損傷については入居者負担となるのが一般的です)。地震保険は高額になりがちなので加入を迷う場合もあるかもしれませんが、地震保険料控除を受けることもできます。
こんなときどうする?:保険金を受け取りたい
万が一、被災をしてしまった場合はどうすればよいのでしょうか。災害救助法が適用された地域で、加入保険会社が分からない場合は、日本損害保険協会の「自然災害損保契約照会センター」で確認をすることができます。生活が落ち着き、余裕ができたら確認してみるのもよいでしょう。
自然災害等損保契約照会センター
TEL(フリーダイヤル):0120-501331
受付時間:9:15~17:00(土曜・日曜日、祝日、12月30日~1月4日を除く)
保険金を受け取るためには、被害の状況を保険会社に伝え、「損害調査」と呼ばれる審査を受けます。災害の規模やケースによって、時間がかかる場合があります。災害に遭った場合、可能な限り被害の証拠を残しておくと損害額の査定がスムーズになることがあります。ただ、片付けや修復をしなければ危険であったり、防犯上の問題があったりする場合は、片付けても問題がないそうです。その際も可能な限り証拠写真を取ったり、修復のための見積もりや領収書などを残しておくようにしましょう。
写真を撮るときには、「被害を受けた建物や家財の全体(建物の場合は建物の全景写真)」や「損傷箇所が確認できるところ」といった全体像とポイント写真両方があると効果的です。写真は必須条件ではないために、できれば撮る、ということで大丈夫です。
こんなときどうする?:通帳や印鑑を紛失した!
災害により通帳や証書、印鑑をなくしてしまった、紙幣や貨幣が損傷したという場合は、銀行に連絡をして相談をすることができます。
また、災害により資金が必要となった、住宅ローンの返済に不安がある、事業の継続や承継に不安がある場合なども相談可能です。自然災害による被災者で一定の要件に当てはまる場合、銀行に住宅ローンなどの免除・減額を申し出ることができます。手続きへの支援を無料で受けることができる制度もあります。
このように、万が一自然災害の被害を受けてしまった場合、さまざまな金銭的支援を受けることができる場合が多いです。お金のことは落ち着いてから、手続きをすることができるのです。