週末の過ごし方で、来週の気分はきっと変わる。だからこそ、観る映画にはちょっとこだわりたい。気分転換にも、インスピレーションにもなる一本をピックアップ。今回は、9月18日(金)公開の映画『さとこはいつも』をお届け!
“自分の物語”を書き始めるとき

映画『南極料理人』『横道世之介』『さかなのこ』などで知られる沖田修一監督は、これまでも社会の中心ではない場所で生きる人々や、少し不器用だけれど愛おしい人々を温かなまなざしで描いてきた。最新作『さとこはいつも』は、15歳、35歳、55歳という異なる世代の女性たちに焦点を当て、“自分の物語を書くこと”をテーマに、人生の再スタートを軽やかに描き出している。

主人公は、3人の“さとこ”。初恋に心をかき乱される中学生の聡子(役/姫野花春さん)、不倫関係にも仕事にも行き詰まりを感じる沙都子(役/有村架純さん)、子育てを終え再び夢と向き合おうとする里子(役/石田ひかりさん)。それぞれまるで違う人生を歩んでいるはずなのに、彼女たちは「自分の物語を書き始める」という共通の衝動によって、ゆるやかにつながっていく。
本作の魅力は、年齢も環境も異なる3人をとおして、「何かを始めたい」という誰もが抱く感情をすくい上げていること。初恋の妄想が暴走する15歳も、不完全な恋に揺れる35歳も、人生の後半で新しい夢に出会う55歳も、どこか自分自身のように感じられるのが不思議なところ。

誰にだって、自分だけの物語がある。それはなんとも個人的で些細な物語。そして、止まっていた時間——書きかけのままになっているページもあるはず。文字どおり、小説を書く話であると同時に、自分自身の人生をどう物語るかという問いもやさしく投げかけられる。
【全国公開中】映画『さとこはいつも』

出演/有村架純 石田ひかり 姫野花春 ほか
監督・脚本/沖田修一
配給/ハピネットファントム・スタジオ
happinet-phantom.com/satoko

