美術を面白おかしく、わかりやすく解説する“アートテラー”として活躍するとに~さんによる連載。読者の皆さまからの質問も随時受け付けています! 今回は、アートなTシャツコーデについて。
こんばんは。アートテラーのとに~です。3年ぶりの行動制限なしのGW、皆さまはどのようにお過ごしになりましたか? 僕はというと、東京ドームシティ Gallery AaMoで4月28日より開幕した『ゴールデンカムイ展』を取材した際に、すっかり原作にハマってしまい、数日かけて最終回まで読み終えました。ほぼ外出することなく。ゴールデンといえば、ゴールデンなウィークでした。
とそれはさておきまして。季節はすっかり初夏。というよりも、ほぼ夏。Tシャツが活躍する季節となりました。かつては美術館で売っているTシャツの大半がお土産モノの域を出ず、外出用というよりはパジャマ用と化していましたが、ここ近年はおしゃれなミュージアムTシャツが急増中。普段のファッションに取り入れられるものも多くあります。実際、自分も50着近く持っていますが、僕のコーディネートを紹介したところで、GINGER読者の皆様には何の役に立たないでしょうから、ここからはPodcast番組『そろそろ美術の話を...』で共演している「ARTalk(アートーク)」代表の新井まるさんにバトンタッチ。普段使いしているミュージアムTシャツと、そのコーディネートを紹介してもらいたいと思います(僕は遅めのGW休暇を取ります)。
アーティストのスタイルをイメージして
ルノワールやモネといった印象派のコレクションで知られる箱根のポーラ美術館で、今年3月まで、開館してから初となる現代アート展が開催されていました。『ロニ・ホーン:水の中にあなたを見るとき、あなたの中に水を感じる?』。アメリカの現代美術を代表する女性アーティスト、ロニ・ホーンさんの展覧会です。展覧会自体ももちろん人気でしたが、BEAMS DESIGNがプロデュースしたオリジナルグッズも大人気に。私が着ているのは、その公式Tシャツです。
65歳を超えた今も定期的にアイルランドに通っているロニ・ホーンさん。テーマの深いところに自然や自然との共存がある彼女のシンプルでポエティック、静謐な作品が大好きです。それだけに、コーディネートもシンプルに黒でまとめてみました。
美術館に合わせたコーディネート
今年の秋には東京国立近代美術館での大規模な個展も控える現代美術界のカリスマ、大竹伸朗さん。もしも、彼の名前は知らずとも、大竹さんが手掛けた「ニューシャネル」の文字が印象的なTシャツを、たまに街で見かけたことがありませんか? そんな大竹さんのアートTシャツは何種類かありますが、こちらは2019年に水戸芸術館の現代美術ギャラリーで開催された『大竹伸朗 ビル景 1978-2019』という展覧会限定のTシャツ。前面には「BLDG」の文字が、背面にはビルの写真がコラージュされています。
そんな建物をモチーフにしたTシャツを着て訪れたのは、白金台にある東京都庭園美術館。アールデコ様式の名建築として知られるこの建物は、もともと朝香宮鳩彦王の住まいとして1933年に建てられたもの。都内にいるのを忘れてしまうくらいの異国な雰囲気にあわせて、モノトーン×グリーンでまとめました。
今もっとも話題のアーティスト集団のTシャツ
今年で結成17年を迎えた6人組アーティスト・コレクティブ、Chim↑Pom(チンポム)。その初期の作品から最新作まで、約150点を一挙に紹介する初の本格的回顧展が森美術館で開催されています。現代社会の問題を常に取り上げてきた彼らの作品は刺激的で面白く、あまりに良かったので、すでに2回訪れています。こちらはその2回目の訪問時にゲットしたカラフルなタイダイTシャツです。
このTシャツを購入した後、つい先日4月27日にChim↑Pomは「Chim↑Pom from Smappa!Group」に改名しました(改名の経緯は検索してみるとおもしろいですよ)。そういう意味では、Chim↑Pom時代のこのTシャツは、そのうちレア物になるかも?!
ネオンピンクのフリンジ付きの靴下もポイントです♪
展覧会グッズ定番のポストカードを買うのもいいですが、Tシャツだと着るたびに展覧会の想い出やそのアーティストの作品がよみがえるので、噛めば噛むほど味がするスルメのような感じで気に入って集めています。
Tシャツを着るところからアートに興味を持っていただけたらうれしいです。
新井まる(あらいまる)
話したくなるアートマガジン「ARTalk(アートーク)」代表、株式会社maru styling office CEO。イラストレーターの両親のもと幼いころからアートに触れて育つ。大学では文化人類学、経営経済学を学ぶ。在学中からバックパッカーで世界約50ヵ国を巡る旅好き。広告代理店勤務の後、人の心が豊かになることがしたいという想いから独立。2013年にアートをカジュアルに楽しめるwebマガジン「girlsArtalk」を立ち上げる。現在は「ARTalk(アートーク)」と改称し、ジェンダーニュートラルなメディアとして運営。メディア運営に加え、アートコンサルティング、企画・PR、教育プログラム開発などを通じて、豊かな社会をめざして活動中。
Instagram @marumaruc
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