思うように旅をすることができない時間が長く続いているからこそ、旅するチャンスが訪れたなら、今あらためて“旅ができること”の幸せを噛みしめたいし、“どんな旅をするか”を真剣に考えたいもの。たとえば、旅の目的である“リラックス”や“気分転換”だけでなく、そこに何かしらのテーマを持つことが、目指すべき“新しい旅”のカタチかもしれません。GINGER取材班が、そんな一歩先行く充実の旅をレポートします。
「モノよりコト」時代、旅もよりいっそう体験重視に
物欲よりも、知識や経験を得ることへの欲求が高まっている今。旅においては、素敵なホテルに泊まって非日常を味わうだけでなく、滞在するホテルを拠点にどんな体験ができるのか、どのぐらい特別な思い出がつくれるのか、ということも重要な“選びの基準”に。
そんな旅へのこだわりを叶えてくれる場所としてご紹介したいのが、沖縄県石垣島にある「ANAインターコンチネンタルホテル石垣リゾート」。石垣島を代表するグローバルラグジュアリーホテルだけあって、その魅力はすでに多くの人に知られています。
石垣島空港から車で20分。島の南端、マエサトビーチを望む9万坪の敷地を有するこのリゾートホテルは、第一印象から圧巻のスケールで感動させてくれます。
夕刻にホテルに到着すると、出迎えてくれたのは、ベイウィングのエントランスを抜けた先に広がっていたこの景色! とてつもない開放感に、一気に気分が上がります。
2020年夏に新棟のクラブインターコンチネンタル、ベイウィング2棟が完成し、オーシャンウィング、コーラルウィングを含めた5棟に発展した一大リゾート。トータル458室、4つのプール、9つものレストランがあり、何度訪れてもゲストを飽きさせることのないバリエーションが魅力です。特に専用のラウンジやプールも備えたクラブインターコンチネンタルのステイは、大人旅の理想形。
22時まで楽しめるのサンセットプール、ジャグジーやインドアプールもあり、オーシャンパーク、数々のビーチアクティビティ、ショートゴルフ、ヨガ、テニス...と選択肢はすでに十分にあるのですが、さらに旅が彩り豊かに、濃く深くなるような、新しい旅のプランが発表されました。これがまさに、“新しい旅のカタチ”として大注目の内容なのです。
石垣島、そして八重山諸島の魅力を心で感じるサステナブルな旅
1月からスタートした「石垣の自然と文化を後世につなぐ サステナビリティ島旅プラン」は、ANAインターコンチネンタルホテル石垣リゾートでのステイを満喫しながら、石垣島そして石垣島を含めた八重山諸島の大自然やカルチャーに触れて「心身ともに健康で心を豊かにするサステナブルな旅」を体験することがテーマ。
では実際に、どんな体験ができるのでしょう?
サステナブル体験1:南の島の星空ツアー
ハワイと同じ緯度に位置する石垣島では、偏西風の影響を受けないおかげで大気の揺らぎが少なく、たくさんの星をくっきりとキレイに見ることができます。日本初の「星空保護区」として認定されているくらい、星空観賞にはもってこいな場所。ホテル前のマエサトビーチで行われる星空観賞ツアーは、ビーチベッドに寝ころびながら夜空を見上げ、双眼鏡や天体望遠鏡を使って星の姿を追っていきます。
星空ガイドさんの解説には、耳にしたことのある星や星座の名前が次々と登場し、レーザービームでその位置を指し示してくれるので、簡単に目的の星を見つけることができます。
心地よい風を頬に感じ、波の音を耳にしながら、神秘的な宇宙へと想いを馳せる時間。そしてこんなふうに星が瞬く美しい夜空を守るために、私たちが成すべきことも考えるきっかけとなります。
サステナブル体験2:畑人(はるさー)体験
月桃(げっとう)という植物をご存じですか? 沖縄に自生している月桃は、地下茎が横に這い、背丈は2~3メートルに及ぶというショウガ科の植物です。
毎年のように大きな台風に襲われる石垣島では、雨に運ばれた農地の赤土が海に流れ込んでしまい、海底の珊瑚が破壊されるという被害が深刻。そこで農家の協力をあおいで、赤土の流出を抑えるために、根っこの力が強い月桃などの植物を農地に植える“グリーンベルト”づくりが進められているのです。
珊瑚を、そして海の環境を守るために、協力農家は農地を減らしてグリーンベルトをつくっているそう。農地を減らすと、そのぶん収穫物も減少してしまいます。そんな協力農家の経済的な負担を少しでもサポートしたいという意図もあり、農家から月桃の枝葉を買い取ってハーブティーや100%オーガニックのアロマオイルづくりをしているのが、島人ファーム「畑里」。
このツアーでは、「畑里」の代表を務める伊良皆高虎さんのレクチャーを受けながら、月桃ハーブティー作り、またはエッセンシャルオイル作り(追加料金別途¥1,500)を体験できます。
今回の取材では、エッセンシャルオイル作りに挑戦しました。
巨大な精油蒸留装置にカットした月桃を入れ、時間をかけて蒸留が行われます。月桃のアロマオイルは、鮮やかなイエロー。スッと清涼感のあるフレッシュな香りは、虫除けにもなるそう。この独特のハーブの香りを楽しむたびに、石垣島のこと、そして珊瑚を守るためのこの取り組みについて思い出すことができそうです。
ちなみに月桃のハーブティーは、ほのかな甘みのあるやさしい味わいでした。
サステナブル体験3:石垣の塩を使ったバスソルト作り
石垣島の伝統産業として知られる、塩作り。八重山諸島では約300年前から塩作りが行われていたそうで、まさにその発祥の地といわれる場所――ラムサール条約の国際自然保護区に指定されている名蔵湾の海沿いで、真摯に塩作りに励んでいるのが塩工房「石垣の塩」。ここでは、バスソルト“塩ばくだん”作りを体験できます。
まず海際へと案内してくださったのは、社長の東郷得秀さん。「ぜひ、海水の味を確かめてみて」という言葉に、透明度の高い海水を手ですくって舐めてみると――「あ、甘い!」。海水がしょっぱくないのです!
石垣島の塩が美味なる理由は、この海水があってこそ。そしてこの海水は、西表石垣国立公園にそびえ立つ沖縄最高峰の於茂登岳の森と、珊瑚礁の自然のエッセンスから成るもの。幾つもの特別な条件が揃い、この名蔵湾で極上の塩が採れるのです。
石垣の塩は、季節、潮汐(潮の満ち引き)や月齢、気温など自然界の幾つもの要素を考慮して、自然に寄り添いながら、成分無調整、無添加で作られています。新月の海水と、満月の海水とでは、出来上がる塩の味が違います。もちろん、季節によっても、そして同じ季節でもその年々で異なるわけです。
その年、その日、その時間でしか作り得ない味――何だかとても神秘的。島の自然環境が守られてこそ、石垣の塩が美味しくあり続けられる。そんな背景を知ることができる、貴重な体験になります。
サステナブル体験4:西表島秘境体験ECOツアー
八重山諸島へのアイランドホッピングの拠点である石垣島。島それぞれに個性があり、見どころも多種多様です。西表島、竹富島、波照間...ほか、各離島へのアクセスは石垣島離島ターミナルからフェリーを利用します。このターミナルはホテルから車でわずか10分。
「サステナビリティ島旅プラン」には、2021年7月に世界自然遺産登録された西表島でのネイチャーアクティビティとビーチなどのクリーン体験がセットになったツアーも用意されています。
島の9割以上が亜熱帯原生林に覆われ、50以上の滝があるという西表島は“東洋のガラパコス”と称されるほど、手つかずの大自然が残された聖域。イリオモテヤマネコやカンムリワシなどの動物だけでなく、植物から保護区域まで10数もの天然記念物に指定された自然財産を有しています。
ガイドさんから、島の生態系に重要な役割を果たしているマングローブのこと、そして島独自の動植物についてレクチャーを受けながらのトレッキングツアーは、驚きと発見に満ちた貴重な体験に。
さらに西表島行きのツアーには、ビーチクリーンで島の環境保護活動にちょっぴり参加できる時間も設けられているのです。
西表島には、毎年約100トンのゴミが漂着し、そのゴミの90%以上はリサイクル不可のプラスチックゴミなのだそう。実際にビーチに立って見渡すと、植物に巻き付いてしまった漁業網やロープ、ペットボトルやビーチサンダル、大きなバケツや看板...とても拾いきれないほどのゴミが散在していました。
“One Bagビーチクリーン(1袋分ゴミを拾う)”を目標にゴミ拾いをスタートしたのですが、袋はあっという間にいっぱいに。
海の向こうから絶え間なく運ばれてくる漂着ゴミ。ビーチのゴミ拾いに、終わりはありません。放置しておくと、海岸にはゴミの山ができてしまい、海の生き物や植物にもさらに悪影響が及んでしまいます。
西表島の人口はおよそ2400人。この少人数で、年間約30万人の観光客を受け入れ、対応しています。ガイドさんの「西表島の魅力を満喫していただくだけでなく、“島を守りたい”という気持ちを持ってもらえるように、ガイドを務めています」という言葉が心に残りました。
※ご紹介した体験ツアーは、ホテルの宿泊プラン【ちむどんどん】【ちむぐくる】に組み込まれています。詳細はホテルHPでチェックを。
心躍る体験を軸に、伝えたいこと
ホテルが提供できる極上のおもてなしを考えるだけでなく、石垣島の地域文化や環境の保全も含めトータルでとらえた“持続可能な観光”をミッションに生まれた、この「サステナビリティ島旅プラン」。ホテル総支配人の秋間さんは「コロナ禍でなかなか実現できなかった今回のプランを、ようやくスタートできました。念願が叶ったというかんじです。石垣島、八重山諸島独自の自然や文化を、心躍る体験で楽しく感じていただき、“後世へ残すべき貴重な財産”であることを共有していただければうれしいです」と、温め続けてきた取り組みへの想いを語ってくれました。
「豊かな自然と文化が根付いた島で、心の琴線に触れる出会いと発見に満ちた、ラグジュアリーリゾート」という、ANAインターコンチネンタル石垣リゾートのコンセプト。ホテル内にも、そのコンセプトを伝えるためのプレゼンテーションはたくさん用意されていますが、さらに「サステナビリティ島旅プラン」によってホテルの枠を超えた広がりとなりました。
ホテル全体のサステナブルな取り組みも、どんどんアップデートしています。レストランは“地産地消”を基本に、島食材を積極的に使用。滋味あふれる島の豊かな食材を、より美味しく料理してゲストにサーブし、その魅力を伝えています。
ベイウィングにある憩いのスペース「PALETTE Terrace Lounge」には、気軽に使えるデリ&カフェもあり、島の工芸品や土産ものが並んでいます。石垣島の楽しみ方を案内してくれるリゾートセンターもこちらに。
島の自然環境に配慮したエネルギーコントロール、ホテルに隣接する海と防風林に生息する動植物の保護活動など、ANAインターコンチネンタル石垣リゾートのエシカルアクションはデイリーに行われているのです。
旅先の景色を眺め、食を味わい、楽しみを享受するだけでなく、その土地の自然環境や人々の暮らしを“大切に思い”、そして“未来を考える”旅をすること。また訪れたいと願う旅先が、次に訪れたときも「そのままの素晴らしい場所」でありますように。石垣島への旅はきっと、地球への想いが深まり、楽しいを超えた大きな体験をもたらしてくれる大切な時間になるはずです。
ANAインターコンチネンタル石垣リゾート
https://www.anaintercontinental-ishigaki.jp/ja/