美術を面白おかしく、わかりやすく解説する“アートテラー”として活躍するとに~さんによる連載。読者の皆さまからの質問も随時受け付けています! 今回は、さまざまな芸術家の名言をご紹介。
こんばんは。アートテラーのとに~です。
事後報告となりましたが、ラジオ番組のレギュラーが決まりました。これまで単発や不定期でのゲスト出演は何度もありましたが、レギュラーとなるのは人生初! ちなみにその番組とは、TBSラジオのお昼の人気番組『赤江珠緒のたまむすび』。毎月第3水曜の15時からの新コーナー『展覧会のエ~ッ!』を担当させていただくこととなりました。おかげさまで初回(10月20日)の反応は上々でしたので、次回からはもっと気楽にお話しできそうです。リアルタイムで聴き逃しても、radikoで一週間は聴けますので、お耳に合いましたら。
さて、話は変わりまして。1986年の流行語大賞の新語録を受賞した「芸術は爆発だ!」(by岡本太郎)や、予言のようなキラーフレーズ「将来、誰でも15分は世界的な有名人になれるだろう」(byアンディ・ウォーホル)を筆頭に、芸術家は芸術作品だけでなく、さまざまな名言も残しています。本日は、心に響く…かもしれない芸術家の名言の数々をご紹介いたしましょう。
人生に関する名言
明治28年生まれの日本画家・小倉遊亀(ゆき)。まさに亀のごとく、105歳まで長生きし、その晩年までひたむきに絵を描き続けた人物です。102歳のときに「まだまだ…若造ですから」と自らを称していたのだとか。100歳でも若造なら、世の中にはほぼ若造しか生きていないことになりますね。
そんな謙虚を絵に描いたような彼女が残した言葉のなかに、「何も持たぬと言う人でも、天地の恵みは頂いている」というものがあります。なるほど。こういうマインドであれば、長生きできるのかもしれないですね。
長生きといえば、「六十、七十は鼻たれ小僧、男ざかりは百から百から、わしもこれからこれから」という言葉を残した彫刻家・平櫛田中も。彼は108歳の長寿で大往生しました。そんな平櫛田中はこんな言葉も残しています。「やってやれないことはない。やらずにできるわけがない。今やらずしていつできる。わしがやらねばだれがやる」。口にするだけで、ポジティブになれる言葉です。
天才に関する言葉
誰もが認める美術界の天才パブロ・ピカソ。彼がまだ20代半ばの若手だったときに、アメリカの女流作家で美術コレクターでもあったガートルード・スタインをモデルに絵を描きました。この肖像画のために、スタインは何十回とモデルを務めたそう。そんな苦心の末に出来上がった肖像画の彼女は、まるでアフリカの仮面のような顔をしていました。その出来栄えに、周囲の人間が「全然似てないじゃん」と感想を述べると、ピカソはこう答えたそうです。「そのうち彼女のほうがこの絵に似てくるよ」。まるで一休さんのとんちのような発言。天才にしか許されない言葉です。
ちなみに天才について、20世紀のスイスを代表する画家パウル・クレーは、こう述べています。「天才とは、システムのエラーである」と。あぁ、天才じゃなくてよかった、とホッとできる名言です(←?)。
女性に関する名言
《接吻》で知られるオーストリア、ウィーンを代表する画家グスタフ・クリムト。生涯独身ながら、数多くのモデルと浮名を流し、少なくとも14人の婚外子がいたと伝えられている美術界きってのプレイボーイです。そんな彼が残した言葉の一つが、「自分のことには興味がない。女性にしか興味がない」。ここまでハッキリと言い切られると逆にすがすがしさすら感じるのは僕だけでしょうか。
クリムトもたくさんの女性像を描きましたが、同じくらい女性像を描いたのが、印象派を代表するルノワール。彼も女性を多く描くことに関して、言葉を残しています。「女性のお尻と胸がなかったら、私は画家にはならなかっただろう」。
……このルノワールの発言に関しては、僕はノーコメントで。
皆さまからの質問大募集!
「デートにピッタリの美術館は?」「カフェがオススメの美術館って?」という具体的な質問から、「現代アートって、何が面白いの?」「何であんなに美術品って高いの?」「ピカソってすごいの?」という誰にも聞けなかった質問まで。
GINGERの問い合わせフォームから何でもお寄せくださいませ。わかりやすく、お答えします。
アートテラー・とに〜の【水曜夜はアートの話を】をもっと読む。