小説から漫画までジャンルを問わず、本好きとして知られる女優 多部未華子さんの連載「多部未華子がBOOKコンシェルジュ!」。読者からの本選びの相談や質問に応えて、オススメ本をご紹介します。
vol.42 大人も楽しめる児童書から、新しいことを学びたいです
《読者からのリクエスト》
書店の児童書コーナーを通りかかり、たまたま手にとった一冊に感動して涙。子供向けのやさしい文章だからこそ、そこに込められたとても深いメッセージがストレートに伝わってきました。思わぬ気づきがあったり、心に癒しを与えてくれるような児童書をもっと読みたいです。
《多部さんのオススメは・・・》
仲のよい友達でも、考え方も人生観も違う。お互いを尊重できたら、その友情って最高
アーノルド・ローベルさんが書いた 『ふたりはともだち』は児童書の中でもとても有名ですよね? 小さい頃に表紙を図書館で見た記憶があるような気がして懐かしく思い今回手に取ってみました。
がまがえるさんとかえるさん、仲よしな二人の友情物語が五つの短編集になっていて、あっという間に読み終わってしまうのですが、頬が緩む可愛らしいお話から胸にジーンとくるお話まで、これは確かに長く愛される児童書だなと納得せずにはいられない一冊でした。
にしても、本当にマイペースながまがえるさんと楽観的で朗らかなかえるさん。二人の会話が若干噛み合っていなくて、求めている答えが返ってきていないんじゃないかしらと、思ってしまうくらいに性格が真逆。それでも二人は仲のよい友達なのだから、友達ってなんだろうなと改めて考えさせられます。
32歳にもなると、同級生にはバリバリ働いている、結婚している、お母さんになっている、妊娠している、結婚したいと思っているなど、いろんな友達がいます。それぞれと話していると、みんな同じ歳なのに話すテーマや目標が全然違っていて、面白いなと思う反面、立場が違うので全部を理解するのは難しいな、と思うことが正直あります。皆さんもそんなことありませんか? 私自身も、結婚する前の、仕事が一番楽しいと思っていた時期は、同級生の「結婚しないの? 楽しいよ?」という言葉に疑問を持ったり、結婚したらしたで「子供は? どうするの?」と言われることになんだか違和感を覚えたり。
それぞれの環境が違うし、求めているものが違うのに「こうしたほうがいいよ!」や「どうしてこうしないの?」と、相手の状況を考えずにズバズバ思ったことを言ったり聞いたりするのは、なんだかNGな気がします。意見を求められたときには正直に答えるけれど、そうでないときはなるべく会話に“押し付け”が入らないように心がけているつもりですが、たまに出てしまっているのかなと反省することも多々。
仲のよい友達とはいえ、当たり前ですが考え方も人生観も違う。お互いを尊重しあって、理解して、さらには尊敬もできて、自分の心に嘘がないように深く長く仲よく付き合えたら、その友情って最高だなと改めて思った本でした。
今回のオススメ本はこちら!
1970年にアメリカで出版後、小学校の教科書にも採用され、愛され続けてきたロングセラー。仲よしの2匹のカエル、がまくんとかえるくんを主人公にした、おかしくて少し切なくなる、ユーモラスな五編の友情物語。
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