まるで舞うように美しく滑り、その姿で希望を与え続けてきた、フィギュアスケーター、浅田真央さん。無邪気な天才少女は、国民的スターとなり、そして今年4月、現役引退を発表。私たちが惚れ抜いた彼女は、あれから何を考え、どこへ向かっているのか。 引退から今までの思い、そして新たな始動まで、まっさらな心で語ってもらいました!
悩みに悩み続けた1年間
日本中がテレビ画面を見つめた引退会見から約8ヵ月。人生の大きな転機を迎えている真央さんに、今何が起こっているのだろうか。
「ずっと悩み続けてきたというのが本当のところです。特に2016年12月の全日本選手権が終わって、引退を発表する4月までは本当につらかった。自分が何をしたいのかがわからなくなって、進むべき道がまったく見えなくなりました」
スケートから離れてみると時間だけは豊富にあったが、それをどう使っていいのかもわからない。
「戸惑いと不安で頭がおかしくなりそうでした。それでも『誰にでも悩む時期はある』『いつかは解決するだろう』とどこかで自分を信じていた。だから“心からやりたいこと”が湧き上がるのを待とうと決めたんです」
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これを機に、もうスケートはやめるという選択も視野に入れてきた。スケート靴を捨てると言って周囲を驚かせたこともある。
「山口百恵さんや安室奈美恵さんのように、いっさいの身を引くという生き方もありますよね。でも、決別するって何より勇気がいること。5歳から滑り始めて22年間、ずっとずっとそばにいてくれたスケートとさよならする、その勇気が私にはなかったんです。あともう少し、2、3年は捧げないといけないなって」
あと2、3年。そう、どん底まで落ちてようやく、“心からやりたいこと”が少しずつ見えてきたのだ。
現役時代とは違う世界を見て
「プロフェッショナル同士が、お互いの技を紡いで最高の作品を作り上げる、その過程が好きなんです。今日の撮影もカメラマン、スタイリスト、ヘアメイク・・・皆さんの技が重なり合って素晴らしいビジュアルが出来上がりました。自分のスケートもそうでなきゃ、と」
新たな始動となるショーについて、話が続いた。
「これから始めようと計画している新しいショーも、トレーニング、衣装、メイク、照明、音響・・・それらすべてを整えて、素晴らしいものにしたい。ライヴやバレエを観る機会も増えましたが、スポットライトが眩しければ眩しいほど、ライトが当たっていない部分や、そこに至るまでの時間を想像してしまう。そしてその過程をもう一度、自分も歩みたいんです」
こんなふうに少しずつビジョンが見えてきたのは、9月25日の誕生日が過ぎたころから。悩み続けた彼女へ、神様から極上のギフトが贈られたのかもしれない。
浅田真央は新たな女神となって、私たちに再びスペシャルなスマイルを届けようとしている。
初の本人書き下ろし本が発売中
「長い時間かけて、ずっとインタビューを重ねていたものが本になりました。引退の前後で揺れ続けた気持ち、2度のオリンピック、そして自分のルーツまで、包み隠さず話していますので、ぜひ手にとってみてくださいね」
今、再び前に進み始めた“新しい浅田真央”に出会える一冊。あとがきの直筆メッセージも見逃せない!
『浅田真央 私のスケート人生』
好評発売中
浅田真央/ワールド・フィギュアスケート編集部 著
新書館 ¥1,200(税別)
浅田真央(あさだまお)
1990年9月25日生まれ、愛知県出身。5歳から姉の浅田舞とともにフィギュアスケートを始める。2010年バンクーバーオリンピック銀メダリスト、ソチオリンピック6位。’17年4月現役引退。12月10日ホノルルマラソンに挑戦し完走、その様子が ’18年1月13日TBS系列にて放送予定。