こんな大変な世の中で、誰かと幸せになる方法

ドッグラバーはそれこそ世界中にいて、かけがえのないパートナーとして愛犬と仲睦まじく暮らしています。パリの街にもそんな幸せそうな、飼い主&犬のカップルやファミリーがたくさん。その素敵な関係を、ちょこっと覗き見。  


今回は日本生まれ、パリ在住の柴犬のお話です。


撮影/MANABU MATSUNAGA  

和顔ですけど、フランス育ちです

はじめまして。柴犬のモミジです。柴犬って、日本の天然記念物なのよ、ご存じ?
もう10歳なので、人間でいうと50代半ばぐらいかしら。生まれたのは京都なんですよ、記憶はほとんどないけど。  

小さいときにこちらに引っ越してきて、それからはもうずっとフランスで暮らしているの。ヨーロッパでは「SHIBA INU」って、けっこう人気者みたい。

ここは私の飼い主さんたちのパリのアパルトマン。パリではここと、アトリエと、それからフォンテーヌブローにある別荘を行き来してます。どの場所も、ぜんぶ好き。それぞれの良さがありますからね。

フォンテーヌブローでは、森のお散歩が楽しいの。もう大人ですから、あまりはしゃいだりはしないのよ。ゆっくり歩いて、立ち止まって。いろんな香りを嗅いだり、木の枝が揺れる音に耳を澄ましたり、枯れ葉が落ちてくるのを眺めていたり。そんなふうにして、自然のなかにいるととっても落ち着くわ。

どこに行っても、やっぱり、のんびりするのが大好き。好きなところで、うたた寝するのが最高!

ZZZ・・・・・・(寝息)

んんん?
何か、カサカサと物音が?


あ~、今日子さん! なになに? 何なのそれ、食べ物?


今日子さん「もう(笑)、目ざといわね! はい、どうぞ」


ワタシの飼い主の今日子さんです。

10年前にね、京都で初めて会ったときは、娘のイマちゃんを妊娠中だったのよ。ワタシと娘さんが仲良くなったらいいな、と思ったんですって。
もちろん、イマちゃんとはずっと仲良しですけど。 気が付けば、イマちゃんはまだ10歳の子供だけど、ワタシはすっかり大人になってしまったわね(笑)。イヌって歳を取るのが早すぎるんだもの、何だか不公平ね。

あ、ワタシのもう一人の飼い主さんもご紹介するわ。

とってもおしゃれで素敵なマダムよ。


順子さん、ワタシ、お腹がすいちゃって・・・(おやつをおねだり)。

順子さんは、JUNKO SHIMADAというブランドのデザイナーさんです。きっと皆さんも、ご存じですよね。今日子さんは、順子さんの娘で、ブランドのクリエイティブディレクターをしています。だから2人とも、いつも忙しそう。

順子さんはワタシのことを“モミちゃん”と呼びます。

順子さんも今日子さんも、動物が好き。乗馬も得意で、馬も飼っているのよ。今日子さんは子供のころからずっとイヌを飼い続けていて、ピーター、テキーラ、マグナム、バンブーって、歴代のイヌたちの名前は、今も会話に出てくるの。

バンブーとはね、私も仲良くしていたし、たくさん想い出がある。去年の5月に天国に旅立ってしまったから、もう会えないけど。あのときは、家族全員が悲しみに暮れていました。今も、まだ悲しい。本当の悲しみは、あとからあとからわいてくるのよね。ふとした瞬間に、もういないんだなって思い出して、何回もつらい気持ちになるわ。

ワタシが悲しそうにしていたから、首輪に“BAMBOO(バンブー)”の名前が刻まれたチャームを付けてくれたの。お気に入りです。


今日子さんは、お仕事で日本に行くことも多いのよ。そういうときは、私はお留守番。フォンテーヌブローの隣のおうちのお世話になってます。
でね、お隣さんもSHIBA INUが気に入ってくれたみたいで、ロミーって名前の柴犬を飼い始めたのよ。ロミーなんだけど、今ではロミジって呼ばれてる(笑)。ロミジはまだ子犬だから、ワタシが面倒みてあげてます。


ここのところ、日本にいる時間が多い今日子さんは「モミジのいない日本は寂しい」といって、今ね、ワタシのパスポートを申請してくれてるの。故郷に行ける日も近いかも!?
 飛行機に乗るのはドキドキだけど、楽しみにしています。皆さんにも、偶然お会いできたりするかしら?


あ~、順子さん! なになに? 何を作っているの?


う~ん、美味しそうな香りだわ。

順子さんがキッチンで料理しているときは、こうやって足元で待機しているの。そうするとね、ときどきだけど、ちょっとツマミ食いさせてくれるから(笑)。でね、「あなたは私に似て、食いしん坊ね」って言われちゃう。


ワタシね、「モミジは優しいね」ってみんなが言ってくれるんだけど、みんながワタシに優しいから、ワタシも優しい気持ちでいられるんじゃないかなって思うのよ。
優しくしてもらったら、優しくしてあげたいでしょう? ワタシのごはんを横取りするイヌがいて、そんな意地悪をされると、優しい気持ちになりづらいけど。でも、そこをグッと抑えて、こちらから優しくしてみるの。そうすると、そのうちに相手もちょっと優しくなったりするものよ。

今、人と人があまり近づいたらいけない世の中になっているんでしょう。挨拶でハグしたり、キスしたりを控えないといけないなら、何だか気持ちが近づきにくくなるわよね。でも、優しさを忘れなければ、きっと問題は起こらないと思ってる。ね、みんなで仲良く暮らしていきましょう。

MANABU MATSUNAGA/フォトグラファー
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MANABU MATSUNAGA/フォトグラファー
北海道生まれ。幼少の頃から父の影響で写真を始める。ポートレイト、ルポルタージュなど幅広く活躍中。パリ在住。
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