生き抜く力 by ジョバンナ洋子

普通の日常に潜むお悩みをポジティブに解決するコラム「ま、一杯飲んでベッラ ヴィータよ」。舞台は南麻布の架空のバー「Bar D’Amore(バール ディアモーレ)」。殺伐とした世の中に、ジョバンナ洋子ママの愛あるトークがささやかな安心感をもたらす。第24夜はコロナ疲れの子羊が静かにご来店。さて、今宵はどんなトークが繰り広げられることやら。

【第二十四夜】制限されて知る、必要なものって?

ボンジョルノ。皆さん、いかがお過ごしかしら? いかがも何もないわよね。今年のお正月はもちろん、まだ2月でさえ、まさか世界中がここまでの事態になることは予想もできなかったわ。某秘密結社のカードは予言してたとか言われてるけど、占い師だって、誰もこんな2020年を予測することはできなかったんだから。東京オリンピック、パラリンピックも延期。今が映画じゃなくて現実だと認識することが難しいわ。

「こんばんは。やってますか?」    

あ、いらっしゃい。短縮営業だから、早め閉店だけどいいかしら?    

「はい、もちろん。さすがに一杯飲みたくて。今は友達を誘うのも難しいし、ママの店が開いていてよかったです。なにかイタリアの白ワインはありますか?」

もちろんよ。そうね、クエルチャベッラの「バタール」なんてどうかしら。ちょっと厚みのある白なんだけど。

「ぜひ。そのワイナリーのキャンティ・クラシコをいただいたことがあります」    

時間はたっぷりあるのに、忙しいときよりもなんだか飲んでも酔えなくない? もちろん日本も、今の時点ではなんとか持ちこたえているという予断を許さない状況ではあるわけだけれど、私は心の故郷、イタリアの状況が本当に心配なの。


「TVやインターネットの情報でも、特に北イタリアは大変そうですよね」    

そうなの。イタリアが誇るスパークリングワイン、フランチャコルタの産地は北のほうの感染者の多いブレシア近辺で、家族経営のワイナリーのオーナーだったお父様を亡くしたお嬢さんの「最後に手を握ることもできなくてごめんね」という投稿を読んで、本当に切なかったわ。#fotzaitaliaと、この苦境を乗り切れるように応援するくらいしかできないんだけれど。    

フェイクな情報におどらされないために    

「ママはどんなふうに過ごしています?」

仕事で言えば、本業はまあ、今のところ大きな影響というほどではないけれど。撮影のために洋服やアクセサリーを借りる会社が時短になっていたりで、少しやりくりが大変という程度。ここのお店はいつまで開けてられるかしらね・・・・・・。    

「そうなんですね。ウチの会社は、基本テレワークなんで、家で仕事してます。でもすでに一ヵ月くらい経ってるので、正直気が滅入ってきちゃって」 

そうよね、私も少し前に気分転換したくて、友達とご飯食べに行ったわ。でも帰り際、彼女の友達からがLINEがあって『明日緊急事態宣言が出て、ロックダウンだって』なんていうから、その足で慌ててスーパーに行って、根菜とか保存できる食品をカゴいっぱいに買い込んだのよ。それなのに、別になんにもなかったっていう・・・・・・。

「取り越し苦労でよかったですね」    

みんなが不安だから、そういう不確かな情報でもつい断定調で流布しちゃうんだけど、あの一件で自分自身も気をつけようと思ったのよ。親切心からだったんだけど、私もあのとき仲のいい友達に「ロックダウンだって」って伝えてしまって後悔したわ。    

「わかります。情報通を気取ってる知り合いが、そういうガセネタ、よく流してきます。さっきも政治家からの情報っていう触れ込みで伝わってきました」

もちろん情報はこまめに入手しておかないといざという時に困ることになるかもしれないけれど、何を信じて、キャッチするか、これもまた自分をしっかりもって、右往左往しないよう嗅覚を鍛えるしかないわね。    

おうち時間の過ごし方    

「こういうときにじっくり本でも読もうかと思うんですけど、それはそれで集中できないんですよね」

そうね、教養というより現実逃避の娯楽だけど、私はAmazon PrimeとNetflixとかVODを楽しんでるわ


「おすすめの作品知りたいです!」

Amazon Originalのドラマ『Modern Love』は観て欲しいわ。ニューヨークタイムスのコラムを脚色したショートショートで、ありそうな日常を描いているんだけど、人間らしさが伝わってきてどの話もジワっと染みるの。一話が30分くらいで観やすいし。

「NYっぽいストーリー、私も好きです。早速観ます。あと笑えるものとかもあります?」

映画『翔んで埼玉』も配信が始まっていて、埼玉県人と千葉県人の戦いがかなり笑えるわよ。

「私・・・・・・実は埼玉生まれなんです」

あら(笑)なら余計に絶対観て。テレビばっかり見ていると、ずっとコロナ関連ばかりだから気が滅入ってきちゃうでしょ。あとはゆっくり音楽を楽しむのもリラックスできるわ。French Kiwi Juiceもメロウで最近気にいっているの。    

「ありがとうございます! おうち時間、楽しむようにします」

芸術や文化こそ生きる糧になる


これまで何不自由なく過ごしてきた現代人が、こういう制限状況になって改めて気づくことがたくさんあるわね。使い捨てを考え直すこと。マスクは買わなくても手作りすれば、市販のものよりぐっとおしゃれにできるのよね。直接顔に触れる内側にナチュラルな素材を使いたくて、今更ながらさらし布の存在を知ったわ。お料理のときにも使ったり、布巾にもできるの。

そしてアート、映画、音楽、ファッション、ワイン・・・・・・生きるための必要性としての優先順位は高くないかもしれないけれど、そういう文化がいかに人間の心に潤いを与えているかということを、何より痛感しているわ。皆さん、知恵を絞って乗り切りましょ♡

【今宵の一杯】
クエルチェベッラ バタール

今回ご紹介するのは、日当たりのいい土壌で土着品種と外来品種のぶどうを栽培、最先端の技術を有するワイナリーで作られる白ワイン、クエルチェベッラ社の「バタール」。

トスカーナ出身の創業者は、別事業でメキシコに渡り成功を収め、1974年に夢だったキャンティ・クラシコの中心部にぶどう畑を購入し、クエルチェベッラ社が誕生。ぶどうの品種はシャルドネとピノビアンコで、発酵と12ヶ月の熟成は品種別にフランス産のバリックで行われています。

黄金色がかった濃い麦わら色でビターアーモンド、レーズン、熟れたメロンを思わせる香りとリッチなミネラル感に、レモンのような爽やかな酸味のある厚みのあるボディ。タンニンに近い質感で、凝縮感がありパワフルな味わいは“偉大な白ワイン”とも称されます。

●QUERCIABELLA Batàr Toscana IGT
トスカーナ州
シャルドネ50% ピノビアンコ50%
750ml ¥12,000(参考小売価格)

お問い合わせ先

フードライナー
TEL:078・858・2043

文/ジョバンナ洋子
イラスト/ユリコフ・カワヒロ

ジョバンナ洋子
ナビゲーター
ジョバンナ洋子
移ろいゆく世の中を見守る、元お叱りバー(架空)のママ。本業はファッションエディター。 GINGER Webでの連載も3年目に突入しリニューアル。各地で遭遇する日常の事件をきっかけに感じる新しい価値観を、ユニークに伝えていく。
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