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TIMELESSPERSON

2020.07.08

初めて待ち合わせした彼は、アソコが二倍だった

“大人のフリ”して放置(我慢したり、見て見ぬふりしたり)せず、煩わしい人間関係をぶった斬り、好きな人たちとだけ生きていく——。そんな“自分基準”を掲げて、人生を楽しく、生きやすくしていきませんか?

脚本家 岸本鮎佳さんの連載「私、幸せになるんで。はい、サヨウナラ」。あなたの人間関係やモノ付き合いの整理整頓&取捨選択に際し、ぜひご参考に!(編集部)

vol.06「顔が二倍の男」

岸本鮎佳

(c)StunningArt/Shutterstock.com

何じゃ、そりゃと思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、今回はマッチングアプリの話です。

とは言っても、今、こういった世の中であまり安心して人と会うことができないなか、マッチングアプリでマッチングしても、なかなか会えないですよね。

でも、婚活は自粛したくない。ということで、最近は「リモート婚活」なるものが流行っていると聞きました。

独り身な私も、家で一人でいると、ふとした瞬間に叫び出したいくらい、不安な気持ちに陥ることもしばしば。

ちょっとスーパーに食料を調達しに行けば、カップルがソーシャルディスタンスをガン無視して、部屋着みたいな生活感丸出しの格好で、手をつないで買い物している。

「HEY!!! ソーーーーーーシャルディスタァーーーーンンス!!!!!!」

と叫んでやりたくなるのを、必死に堪えてる。

・・・ええ、嫉妬ですよ。

認めます。

とまぁ、死ぬほど羨ましい訳ですが、このしんどい生活が終わったら、思いっきり会いたい人に会って、ときめくような楽しいことがあると、妄想して、辛抱しましょうね。

大丈夫。私たち、女はそんなにヤワじゃないからね。

そこで、私が生まれて初めてマッチングアプリに手を出し、マッチングし、男性とお会いしたお話を。

顔が良くないと登録できないという某マッチングアプリ。
ちょうどその時書いていた脚本の取材も兼ねて(言い訳)、登録してみた。

基本的にメールやSNSをマメに出来ない私は、複雑なシステムに早速、イライラしたが、何とか自分の一番可愛い角度で、超自然に盛れた清純派女優的な写真を武器に、戦に乗り出したのだ。

清純派女優のビジュアルが功を奏して、早速マッチングした20代後半の男性。

当時の私はすでに30代になっていたので、私の方が年上だった。

顔は、清潔感があって決してイケメンとはいえないが、全然嫌いな顔じゃなかったし、そんな高望みはしないと決めていたので、丁度良かった。

彼とはアプリ内で何度かメールのやり取りをして、いざ会いましょう。ということになった。

*****

男性「何か苦手な食べ物はありますか?」

私「何でも大丈夫です」

男性「では、お店適当に予約しておきますね」

おうおう、いい感じじゃないの。

待ち合わせは恵比寿駅。

何これ、めっちゃ緊張するんですけど。と、自意識過剰な私は、先に相手から見つからないように、物陰に隠れていた。(何しにきてんの)

だが、探しても探しても見つからない・・・。

え? もう時間よ? まさか、遅刻かしら?

それは、あかんよ。初めてのデートで遅刻はマイナスポイントじゃないの?

とか、若干イラつき始めた私の背後から、声が・・・・。

男の声「こんばんは! あのー・・・」

振り返った私は、ちょっとした度肝を抜かれた。

で・・・・・・!

でかい・・・!!!!!

顔が・・・でかい!!!!

すごく失礼なのは、わかってる。

わかってるけど・・・

でかい!!!!!!!!!!!

サイズ!!!  顔のサイズが想定外だった・・・!!!  想定の二倍はある・・・(気がする)!

顔にそんな期待してなかったのに、意表を突かれた!

驚いたけど、彼は何も悪くない。

むしろ、勝手に顔のサイズを想定していた自分が悪い。

期待してはいけないと心に決めていたにも関わらず、どこかで想定内の大きさであることを期待していた。

ネット上の写真とメールでしか、交流してない相手と実際に会うと、思いも寄らない事態が起こる。

それはどちらも、悪くない。

マッチングアプリに登録している人の多くは、お互いに真剣に将来の相手を探しているはずで、貴重な時間をそこに割いている訳だから。

ただ、少しでも期待をすると、会ったあとの会話が何一つ入ってこなくなるから、気をつけてほしい。とだけ言っておく。

私がたまに審査員として参加しているオーディションなどでも、宣材写真と実際の雰囲気が全然違う人は、多くいる。

顔は写真でわかっても、全体のバランスや雰囲気までは、なかなか伝わらないものだ。

その後、彼に恵比寿で美味しいと有名な和食に連れて行ってもらった。

とても、気を使ってくれて、優しい方だった。

高かっただろうに、ちゃんとご馳走してくださった。

にも関わらず、やはり顔の大きさがずっと気になってしまって、会話が入ってこなかった。私の馬鹿野郎!!!

何で・・・何でこんなに、良い人なのに・・・顔にしか目がいかないんだ! 馬鹿野郎!!!

それは、もう認めるしかない。

自分が生理的に受け付けない相手というのは、この世に少なからず存在するのだから。

それはどんなに中身が良くても、縁がなかったと割り切ることにするしかないのだ。

その後、彼から何度か連絡が来たが、大切な時間を無駄にしては申し訳ないので、丁寧にお断りした。

どちらも悪くない。

でも、サヨウナラ・・・

顔が二倍の男の子・・・

どうか、幸せになってください。

ごめんなさい。でも、仕方ない。

TEXT=岸本鮎佳

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