タレント・芸人として活躍するいとうあさこさんが日々のあれこれ、想いを綴るエッセイ。【連載「あぁ、だから一人はいやなんだ。】
ご縁
昔は年長の方が何かとすぐ“ご縁”という言葉を使うなぁ、なんて思っていたのですが、いやはやねぇ。今や、沁みます、すごく。結果、“ご縁”ってめっちゃ使うようになったし、しみじみ「大切だわ」と思うようになりました。
例えば。3月にドラマ『おコメの女-国税局資料調査課・雑国室-』にちょっこしだけ出していただきまして。役どころとしましては高橋克実さんの奥様。口は悪いけれど、旦那のことをちゃんと愛していて、心から応援している。迷っている旦那を叱咤激励して奮い立たせて。旦那が「愛してる!」と抱きしめると「私もだよ!役立たず!」なんて悪態つきながらも強く抱きしめかえす。そんな素敵なシーンに出させていただきました。克実さんにいろいろお芝居のアイディアを頂戴しながら、撮影は本当に楽しく。我々夫婦は似た感じのボーダーのロンTの衣装をご用意いただいていたのですが、“自前”でやってきた子ども役の男の子2人も、どちらもまさかのボーダーのTシャツ。「ボーダーで、って指定されたんですか?」と聞くとまったくもってそんなことはなく、単なる偶然だと。奇しくも“ボーダー家族”が出来上がった。すごい。これもある意味“ご縁”だ。そして前から私の単独ライブや山田ジャパン公演にも駆けつけてくださっている長濱ねるちゃんがこのドラマのメインキャストで。この日は撮影なかったのに、わざわざ差し入れを持って現場に顔を出してくださりまして。ねるちゃんが現場にいるだけで明るくなるし、何だか皆さんも嬉しそう。ありがたし、だ。さてさて、ここでの“ご縁”のお話。ドラマ撮影後、だいぶ経ってから、森三中・ムーさんに「あちゃこさあ、ドラマ出てたじゃない? その時の監督さん、覚えてる?」と聞かれた。どうやら、ムーさんの娘ちゃんの親友のお父さんがドラマの演出をしている方で。このドラマにも入っていらっしゃっているの聞いて、もしかしたら私と会っているのではないか?と。答え合わせをしたところ、ビンゴ。まさにその方でした。同じドラマでも監督さんは複数いるのに、ジャストその方。しかもそれが、ムーさんの娘ちゃんの“同級生”のお父さん、じゃなくて、“何度もお互いの家を行き来するくらい一番仲のいいお友達”のお父さんなわけで。これには大興奮。現場でそのお話が出来なかったのだけが残念無念でしたが、とにかく嬉しい“ご縁”でした。
山田ジャパンにもなかなかの“ご縁”ございます。劇団初期メンの女子3人。私と羽鳥由記と横内亜弓。まあそもそも3人出会えたのが“ご縁”、ってことは今回は置いておいて。実は由記ちゃんのご親戚と私のいとこが元同僚?友達?とにかく仲間、で。しかもそのいとこが会社をやっているのですが、その会社で亜弓ちゃんの飲み仲間が働いている、という。まあ結局うちのいとこ、なんなんだ、ですが。そんな3人がこないだの公演の時、同じ日に観にいらっしゃいまして。謎の集合写真、みんなで撮りました。ああ、不思議。
その山田ジャパンで申しますと、先日の『あさこ・佳代子の大人なラジオ女子会』に私と大久保さんのモノマネをしてくださっている、大納言光子ちゃんとベルサイユさんがゲストでいらして。その時に光子ちゃんがお土産に乾麺のラーメンを持って来てくださったんです。彼女はラーメン好きで、ラジオ収録前に好きなラーメン屋さんに寄って、そこで麺を買ってきてくださったのですが、そのラーメン屋さんのご主人。山田ジャパンでずっとお世話になりまくっている衣裳さんの旦那さん、ということが判明。なんかすごくないですか? だって私のモノマネをしている人が、私と会う日にたまたま選んだラーメン屋さんのご主人が、私がそのちょっと前までやっていた公演でもお世話になった、大好きな衣装さんのご主人、なんて。近いようで遠いようで、近い? その具合はわからないけど、なんか、すごいよ。
あと、森三中・大島ちゃん。大島ちゃんの故郷が栃木県、ということはもちろん知っていたのですが、栃木県のどこかは聞いておりませんで。ある日、それは突然つながりました。なんと看護師さんだった大島ちゃんのお母さまに、うちの伯母がお世話になったのです。実は大島ちゃんの故郷は栃木県旧黒羽町。ここは以前書いたのですが、2018年に亡くなった伯母が住んでいたところで。ちっちゃい頃から何度も遊びに行っていた場所なのです。そんな町の病院に伯母が通っていた時、詳細はわかりませんが、その病院の看護師さんである大島ちゃんのお母さまとウチの伯母が話したようで。お母さまが「実はウチの娘、芸人なんですよ」と。そこで伯母も「え?ウチの姪も芸人ですよ?」答え合わせをすると、それが大島ちゃんと私。これ、本当にすごいと思う。これがそんなに親しくない女芸人だったとしてもすごいけど、めーっちゃ仲間の大島ちゃんなんですもの。びっくりしたし、すごく嬉しかったし。大島ちゃんのこと、もう親戚かのように見ちゃうわよ。あ、今回の朝ドラ『風、薫る』の2人いるヒロインのうちの1人のモデルになった方が、日本で初めて“近代教育を受講した看護婦の資格を取得”した大関和さんで、彼女が黒羽出身。親戚一同「黒羽が舞台だ!」と始まる前から大興奮しましたし、最初の方で大島ちゃんがうなぎ屋さんの女将さんで出てきた時には更に大騒ぎ。結局ヒロインが東京に出てきてしまうので、黒羽シーンは最初だけでしたが。とにもかくにも大島ちゃんも黒羽も心から大事だし、“ご縁”の塊なのでございます。
でも本当に書き出したらいろいろあるもので、同級生のお子さんがテレビ局で技術チームに入ってご一緒したり。マンションの一室でやっていらっしゃる整体の先生と同じマンションに友達が住んでいたり。大竹まことさんが若い頃、祐天寺に住んでいらした、と聞けば、時期がまったくかぶってなくても、私も6年住んでいたから「地元、一緒」くらい思っちゃうし。もうこじつけでもホンモノでも“ご縁”、大切。今、これを書いているファミレスで、なすのミートソースを運んできてくれたおねえさんも、“ご縁”ってことで。
【本日の乾杯】タケノコって、なんであんなに食感が最高なのでしょう?穂先の柔らかいところもたまりませんし、自分の歯を信じていく固い部分もいい。若い頃、初めて自分でタケノコを煮た時、どこまでが皮でどこからが実かよくわからず、全部ひんむいたこと、あります。