むせる、咳き込むは要注意!のどの衰えは肺炎のリスクを上げる!?

のどの衰えは、気づかないうちにやってきます。急激に低下するのは60代からだけど、肌や血管が老化するのと同様、のども加齢とともに衰えます。のどの衰えは、肺炎のリスクを上げます。食事でむせ始めたら、要注意の証拠です。

飲み込む回数でのど年齢がわかります

水をひと口含み、口の中を湿らせて、人差し指をのど仏の少し上に当て、30秒間に何回唾液を飲みこめるかをチェックします。

回数が多いほどのど年齢が若く、10回以上の人は、のど年齢が20代です。    
加齢やのどに悪い生活習慣により、飲み込める回数が減ります。喫煙、脂肪の多い食事、アルコール、野菜嫌い、会話する頻度が少ない、いびきや無呼吸があると、のどを老けさせます。

10回以上 のど年齢20代
9回   のど年齢30代
8回   のど年齢40代
7回   のど年齢50代
6回   のど年齢60代
5回   のど年齢70代
4回以下 のど年齢80代以上

50代であれば、30秒に7回飲みこめれば年齢相応です。誤嚥性肺炎のリスクは、5回以下で高くなります。    

参考文献/『長生きしたければのどを鍛えなさい』大谷義夫著(SBクリエイティブ)

のど力の低下は誤嚥(ごえん)を引き起こす原因に

のど力の低下は、若くても起こりますが、40代から始まる人が多いと言われています。たとえば、食事でむせる、咳き込む、咳払いが増えた、声がかすれてきた・・・などは、のど力の低下が始まっている証拠です。

のど力の低下は、健康にどのような影響を与えるのでしょうか?    

のど力の低下は、気づかないうちに誤嚥(通常なら食道へと送り込まれるはずの食物や唾液などが、誤って咽頭、気管に入ってしまう状態)を起こし、誤嚥性肺炎(誤嚥によって気管に入ったものを排出することができず、結果として肺炎を起こしてしまう)のリスクが高まることが問題になっています。

誤嚥とは、本来食道に行くべき食べ物や唾液が気管に入ってしまうことで、誤嚥は食べ物よりも、むしろ自分の唾液の誤嚥のほうがはるかに多く、危険です。    

寝ている間の誤嚥は、唾液に含まれた細菌やウイルスで肺炎に

飲食物は、むせるなどの反射が起こりやすいのですが、唾液は就寝中に気管に侵入します。

特に唾液量が減少し、口が乾きやすく、唾液に雑菌が増える年齢になると、口腔内をきれいにする免疫物質が減るので、口腔内細菌を処理しづらくなります。寝ている間、気づかないうちに細菌の混じった唾液の誤嚥をくり返しているのです。   

最初は症状が軽くても、これを繰り返すうちに、細菌やウイルス感染によって重症化し、誤嚥性肺炎へとつながります。

むせるのが増えるのは、40歳ころからです。放置していると肺炎など呼吸器の病気を発症しやすくなります。    

誤嚥性肺炎を防ぐには

誤嚥性肺炎を防ぐには、肺炎球菌ワクチンの接種。あとは、口腔ケアも大事です。歯磨きやフロスで口腔内細菌を減らすことは重要です。細菌が減れば、唾液を誤嚥しても肺炎は起こりにくくなります。

そのうえで、のど力を維持するトレーニングやケアを行いましょう。

のど筋を鍛えて飲み込む力を高める!

のどの老化を食い止め、のどを鍛えて強くするには、主にこの3つがポイントです。    

①唾液量を増やしてのどをうるおす

②のどの筋肉を鍛えて飲み込む力を高める

③せき反射がスムーズに起こるようにする

風邪やインフルエンザは、のどを痛めるだけでなく、そこから肺炎を引き起こすこともあります。

のどの線毛の動きを良くするために、マスクで乾燥を防ぐことは、のどのためにも大事です。マスクは、新型コロナ予防だけでなく、のどのためにもいいのです。

予防のためには、マスクは外すときに表面を触らず、ゴムひもをもって外すことが重要です。

のどの筋力を高める体操

のどの筋力を高め、飲み込む力を高める体操があります。    

あごの下(舌下線あたり)に両手の親指をおき、あごは下に下げ、親指はアゴを押し戻すようにしながら、口を横に大きく開き、奥歯を食いしばるように力を入れ、「イィー」と10秒くらい声を出します。

また、舌だし体操で、のど筋を鍛える方法もあります。口を大きく開いて舌を出したり引っ込めたり、左右に大きく動かすなどを2~3回繰り返す体操です。

ほかに大切なのは、動脈硬化の予防です。動脈硬化の予防は、心臓病だけでなく、肺炎予防にもなります。高血圧、タバコ、糖尿病、コレステロール、無呼吸症候群などに気をつける生活習慣が大切です。

高血圧や動脈硬化があると、脳内の毛細血管が詰まる“ラクナ梗塞”が起こり、嚥下機能と咳反射が低下します。すると、誤嚥性肺炎が多くなるのです。

カプサイシンや葉酸も

誤嚥をしても、咳が出るうちは大丈夫です。怖いのは、嚥下機能も、せき反射も弱まってしまうこと。嚥下機能や咳反射を維持するためには、唐辛子に含まれるカプサイシンを摂るとよいという研究があります。カプサイシンで、嚥下機能や咳反射の改善が認められたと言われています。

また、ビタミンB群の葉酸も大事です。ドーパミンが減ると嚥下機能、咳反射が落ちますが、そのドーパミンの元が葉酸なのです。ウニやレバーに多いですが、毎日は食べられないので、緑黄色野菜で摂るのもおすすめです。

文/増田美加

増田美加/女性医療ジャーナリスト
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増田美加/女性医療ジャーナリスト
NPO法人日本医学ジャーナリスト協会会員。本誌「30歳美容委員会・女性ホルモン整え塾」でもお馴染み。エビデンスに基づいた健康情報、予防医療の視点から女性のヘルスケア、エイジングケアの執筆、講演を行う。乳がんサバイバーでもあり、さまざまながん啓発活動を展開。著書は『女性ホルモンパワー』(だいわ文庫)ほか多数。NPO法人「みんなの漢方R」理事長、NPO法人「乳がん画像診断ネットワーク(BCIN)」副理事、NPO法人「女性医療ネットワーク」理事、CNJ認定「乳がん体験者コーデイネーター」ほかを務める。
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