セーフティセックスしてる?おりもの、痛み、かゆみ、臭い・・・気になる性感染症の予防策

おりもの、痛み、かゆみなどのデリケートゾーンの症状が気になって、もしや・・・と思ったことはありませんか? 
性感染症(STI=Sexually Transmitted Infections)とは、性行為によって、皮膚や粘膜を通して感染する病気の総称です。放っておくと不妊の原因や、体にダメージを与えるものもあります。ところが今、自覚症状がほとんどない性感染症が多くなってきています。日本では、クラミジア感染症やエイズなどが広がってきています。症状がない性感染症はどう対処すればいい? 性感染症の対策と予防法をお伝えします。

症状がないまま進行するSTI。不妊の心配も・・・

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性感染症には、クラミジア感染症、淋菌感染症、性器ヘルペス感染症、尖圭(せんけい)コンジローマ、梅毒、HIV感染症/エイズ(後天性免疫不全症候群)などがあります。

女性の場合、多くの性感染症は、自覚症状に乏しく、気づかないまま進行します。病気によっては治療後も、後遺症として不妊症などが心配されるものもあります。一方、男性は、女性に比べて症状が出ることも多く、比較的早い時期に気づくことができます。

性感染症は、特別な病気ではありません。性行為を行えば、誰にでも感染の可能性があります。もし、何か異常を感じたり、不安を感じる場合は、必ず検査を受けるようにしてください。そして、感染している疑いがあったら、パートナーに伝えて一緒に検査を受けることが大切です。

こんな症状に要注意! チェックしてみて

早期に自覚症状がないものが多いと言いましたが、なかにはこんな症状を感じることがあります。

□ おりものの量が増えた
□    おりものの色が変わった。臭いが強い
□    外陰部に痛みやかゆみを感じる
□    外陰部に水疱やイボができた
□    性交時や排尿時に痛みがある
□    性交後、性器から出血する

これらの症状を感じたら、なんらかの性感染症に感染している可能性があります。特に、おりものの変化を見逃さないことも大切です。
おりものは、女性性器から出るさまざまな分泌物の総称です。おもに腟壁の古い細胞や子宮頸管からの粘液、皮脂腺や汗腺からの分泌物などが混ざり合っています。
性感染症に感染した場合には、おりものの量、色、においに異常が見られることもあります。おりものの変化に気づいたときは、放っておかずに婦人科を受診しましょう。    

ピンポン感染とは?こんな感染経路もあるのです! 

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性感染症は、母親が赤ちゃんに感染させてしまうことがあります。母親の胎盤から胎児に感染させたり、生まれてくるときに産道で感染することも。これを垂直感染といい、母子感染のことを指します。

このような母子感染を予防するためにも、妊娠中だけでなく、妊娠前にも性感染症の検査を受け、感染している場合は、きちんと治療することが大切。

また、「ピンポン感染」という言葉を知っていますか?
パートナーの片方が性感染症にかかったら、性行為によって相手にも病気をうつしている可能性があります。
本人が治療して治っても、パートナーも一緒に治療しなければ、その後の性行為によって再び感染してしまいます。これをピンポン感染と言います。
ピンポンのやりとりのような繰り返し感染を防ぐため、どちらかが性感染症と診断されたら、ふたり同時に治療することが大切です。

婦人科、泌尿器科で検査、治療します 

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検査や治療は、産婦人科や泌尿器科を受診します。最近では、女性だけの女性泌尿器科もあります。男性は泌尿器科を受診します。
また、皮膚症状の強い性器ヘルペスや尖圭(せんけい)コンジローマなどは、皮膚科でも治療できます。

性感染症の種類によって、検査は若干の違いはありますが、問診をして、おりものや性器の状態を観察したり、尿検査、血液検査、腟分泌物検査などが行われます。

治療は、飲み薬や軟膏のほか、注射や腟に入れる錠剤などもあります。性感染症は、ほとんど薬で治療できますが、なかには手術が必要なものもあります。

かつて、HIV感染症/エイズ(後天性免疫不全症候群)は、死に至る病と言われていました。けれども、治療法の進歩によって、HIVウイルスに感染しても、適切な治療をすれば、通常の生活を過ごせるようになってきています。

性感染症は、自分自身の感染に気づかずに、感染を拡大させてしまうこともあります。しっかりとした予防が大事です!

予防のための“セーフティセックス”って?

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では、どうやって予防すればよいのでしょう?
妊娠を望まない人にとって、妊娠しないセックスが、安全なセックスだと思っているかもしれませんが、安全なセックス=セーフティセックスは、性感染症の予防のためにコンドームを使用するなどの配慮をしたセックスのことです。

予防のためには、セーフティセックスの知識をもつことが大事。

避妊のために、低用量ピル(OC)や子宮内に入れる器具(IUD、IUS)、避妊手術などを行っていたとしても、性感染症の予防には、コンドームが重要です。コンドームの正しい装着は、性感染症の予防として非常に有効です。

セーフティセックスのポイント1は、コンドームです。
コンドームは、性感染症予防には欠かすことができません。ただし、セックスの最初から最後まで正しく使用しなければ、確実な効果を得られません。また、破れたり、外れたりしてもダメ。正しい装着法を学びましょう。

コンドームは男性が装着するため、パートナーにもきちんと学んでもらう必要があります。セーフティセックスをパートナーと一緒に考えることも大切です。そんな話ができるパートナーを選ぶこともまた大事だと思います。

セーフティセックスのポイント2。複数のパートナーとのセックスは、感染する機会を増やします。パートナーの特定は、感染予防のためにも大切。

セーフティセックスのポイント3。セックス前後にシャワーを浴びるなど、清潔を心がけることが大切。肛門に触れた手で、腟や外陰部に触れないようにすることも感染防止につながります。

万が一、妊娠の可能性があるのに避妊しなかったり、避妊に失敗してしまったとき(コンドームが破損、脱落など)には、緊急避妊薬(ピル)があります。
現在、使われている緊急避妊薬(ピル)は、レボノルゲストレル(LNG)という黄体ホルモン剤の「ノルレボ錠」です。欧米ではすでに1999年から広く使用されてきました。従来の方法より、副作用が極めて少なく、避妊効果も優れています。

緊急避妊薬について詳しくは・・・
【一般社団法人 日本家族計画協会JFPA】  http://www.jfpa.or.jp/women/emergency.html

クラミジア、ヘルペス、淋菌、尖圭コンジローマ・・・性感染症とは?

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【クラミジア感染症】
女性では、最も頻度が高い性感染症です。女性も男性も自覚症状が少ないのが特徴。気がつかないうちに病気が進行し、子宮や卵巣に炎症が広がり、不妊の原因になることがあります。女性の場合の自覚症状は、おりものの増加、頻尿や排尿痛、性交後の性器出血など、進行すると上腹部痛をともなうことも。男性は、尿道からの膿(うみ)、排尿痛などです。

【性器ヘルペス】
感染しても、必ず発症するとは限りません。しかし、一般的に初期感染で発症したときには、歩けないほど痛むこともあります。感染すると、脊髄神経節にウイルスが潜み、ストレスや風邪などで抵抗力が落ちたときに、再発することがあります。妊娠中に発症すると、出産時に産道で子どもに感染する恐れがあります。自覚症状は、性器に生じる水疱、そけい部のリンパの腫れ、軽いかゆみなどです。

【梅毒】
 梅毒トレポネーマの感染によって起こります。感染から2~3週間後に固いしこりができ、2~3ヵ月後には体全体に発疹などの皮膚症状が現れます。早期に治療をすれば、完治します。しかし、進行すると脳の神経がおかされることも。

【淋菌感染症】
 淋菌感染症は、クラミジア感染に並んで、頻度の高い性感染症。日本では、特に男性に多く、男性は排尿時に痛みを感じるなど比較的すぐ症状が出ます。しかし、女性は自覚症状が非常に少ないため、気づきにくい性感染症のひとつ。感染を放っておいて、症状が進むと淋菌が子宮から卵管まで広がり、激しい下腹部痛と発熱が起こります。子宮外妊娠や不妊症の原因になることもあります。女性は、おりものの増加、臭いが強くなる、外陰部のかゆみ、排尿痛などの症状が。男性の場合は、尿道からの膿(うみ)、排尿痛などです。

【尖圭(せんけい)コンジローマ】
ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染で、女男とも、薄茶色や灰色のイボができます。痛みやかゆみはありません。再発しやすいので、徹底的に治すことが大切です。女性は、腟や外陰部、子宮頸部にイボができます。

【HIV感染症】
エイズは、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の感染で起こります。感染から発症までの潜伏期間が6ヵ月~10年以上と長いのが特徴。ほかの感染症に感染していると、HIVになりやすくなります。発症すると、人間に必要な免疫力が低下。健康な体ではほとんど害のない細菌やウイルスの感染、悪性疾患などによって、死に至ってしまうことも。 

文/増田美加

増田美加/女性医療ジャーナリスト
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増田美加/女性医療ジャーナリスト
NPO法人日本医学ジャーナリスト協会会員。本誌「30歳美容委員会・女性ホルモン整え塾」でもお馴染み。エビデンスに基づいた健康情報、予防医療の視点から女性のヘルスケア、エイジングケアの執筆、講演を行う。乳がんサバイバーでもあり、さまざまながん啓発活動を展開。著書は『女性ホルモンパワー』(だいわ文庫)ほか多数。NPO法人「みんなの漢方R」理事長、NPO法人「乳がん画像診断ネットワーク(BCIN)」副理事、NPO法人「女性医療ネットワーク」理事、CNJ認定「乳がん体験者コーデイネーター」ほかを務める。
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