風邪予防やウイルス対策に!新注目の“クロモジ”って何?

クロモジとは、日本の山地に自生するクスノキ科の落葉低木です。リラックス作用があると期待されるリナロールを主成分とする香りがあり、昔から楊枝や香木、枝葉はお茶にとして使われていました。
このクロモジを配合した飴をなめることで、インフルエンザの発症率が下がったという研究結果が発表。その詳細を紹介します。

クロモジポリフェノールがインフルエンザ発症率を下げた!

名前の由来は、成長すると枝に黒い斑点模様が出て、まるで枝に黒い文字が浮き出たように見えることから、クロモジと呼ばれるようになったそうです。

このクロモジに含まれるクロモジポリフェノールは、リラックス作用があるなどと言われてきました。さらに、研究によって、ウイルスを抑える、抗ウイルス作用が発見されたのです。

クロモジエキスに含まれるポリフェノールの一種、“プロアントシアニジン”には、ウイルスの不活化作用と感染後の増殖を抑える作用があります。

鼻腔や咽頭の粘膜からウイルスが侵入するから

ポイントは、飴でのクロモジの摂取です。

インフルエンザウイルスは、おもに上気道(鼻腔や咽頭)の粘膜細胞の表面に付着して感染します。ウイルスは粘膜細胞に侵入し、活性酸素を増やして細胞外にウイルスを放出します。それによって、新たな感染細胞を増やすのです。

免疫力が下がっていたり、ウイルスが強力だったりすると、人はインフルエンザにかかりやすくなりますが、注目すべきは、ウイルスの吸着や増殖のほとんどが上気道で起きていることです。

飴をなめる数分間、クロモジエキスの成分が上気道の咽頭部に留まることができたことからではないか、と考えられています。
インフルエンザの予防策のひとつとして、今後のクロモジエキスの活用が期待されています。

インフルエンザのウイルスを叩く!と研究で確認

クロモジエキスによる抗ウイルス作用が、今回、次のようなヒトによる試験で明らかになりました。

愛媛大学医学部附属病院の看護師、男女134名(全員インフルエンザワクチンを接種)を2グループに分け、クロモジエキス67㎎を配合した飴と、無配合のプラセボ飴をそれぞれ、1日3回12週間、毎日なめました。

するとその結果、クロモジエキス配合の飴をなめたグループのほうが、インフルエンザウイルスへの感染が統計学的に有意に少ないことがわかったのです。    

*『薬理と治療』(2018年46巻8号、2018年8月30日発刊)

うがいなどの上気道のケアは、ウイルス予防に役立つ!?

厚生労働省が推奨するインフルエンザの予防法は、「手洗い、適度な湿度、栄養補給、ワクチン接種、マスク」などが挙げられています。
しかし、うがいは、適切な予防法から外され、うがいの効果は、限定的とされています。

鼻や口の粘膜についたウイルスは、ごく短時間で感染してしまいます。日常的にできるうがいの回数は限られるため、効果も限られます。水やお茶を頻回に飲むだけでは、ウイルスの付着部分をすべてカバーすることは難しく、やはり限界があるのです。

しかし、一方で、水うがいをしないグループ(群)より、水うがいをしたグループ(群)のほうが、風邪の発症率が下がるという研究もあります。

さらに、緑茶(茶カテキン)うがいは、水うがいより、インフルエンザ発症率が低いという研究も出てきています。

やはり、うがいなど上気道のケアは、風邪やインフルエンザ感染予防に役立つ部分もあるのでは・・・と考えられつつある中で、クロモジ飴がインフルエンザ発症率を下げたとの報告が出たのです。

感染予防にこまめな手洗いは、非常に大事

手を介しての感染が多いと言われています。ウイルスが付着したドアノブ、手すり、つり革などを手や指で触れ、その手指で鼻や口、目を触ることで感染します。ですから、こまめな「手洗い」が非常に大事です。アルコール性の手指衛生剤での洗浄も有効です。

効果が高い、手洗いのタイミングとは?

手洗いの有効性は“明らか”とされていますが、水道があるところや洗えるタイミングも限られています。外出中、頻回に手洗いを繰り返すことはできません。

そのため、優先すべき手洗いのタイミングを考えましょう。人の多く集まる場所、周囲の環境に頻回に触れたあと、マスクを取るときなどが、手洗い効果が高いタイミングです。

医療現場や食品衛生で行われているのは、石鹸を使い、水で30秒以上かけて、手の隅々まで洗うことです。これを日常生活で繰り返すことはとても大変。
口や手に触れる指先、手のひら、手の甲、手首も丁寧に洗います。また、水道がないところでは、市販されているアルコール製の手指衛生剤も有効と言われています。

寝不足、体調不良なら人ごみは避けて!

加湿には、乾燥した環境のほうがウイルスの感染性が高まるので、それを避ける目的で効果があります。    

もうひとつ、目、鼻、口腔内、気道の粘膜の乾燥を防ぐ目的もあります。これらの粘膜が乾燥すると、局所的な免疫が低下する可能性があると言われています。

また、体の抵抗力を高めるため、十分な休養とバランスのとれた栄養が大事ともされています。

そして、インフルエンザが流行していたら、高齢者や子ども、妊婦さんだけでなく、体調の悪い人、睡眠不足の人は、人ごみや繁華街への外出を控えましょう。やむを得ず、人混みに出るときに必要なのが、マスクです。

正しい知識を得て、正しい対策を行いましょう。

文/増田美加

増田美加/女性医療ジャーナリスト
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増田美加/女性医療ジャーナリスト
NPO法人日本医学ジャーナリスト協会会員。本誌「30歳美容委員会・女性ホルモン整え塾」でもお馴染み。エビデンスに基づいた健康情報、予防医療の視点から女性のヘルスケア、エイジングケアの執筆、講演を行う。乳がんサバイバーでもあり、さまざまながん啓発活動を展開。著書は『女性ホルモンパワー』(だいわ文庫)ほか多数。NPO法人「みんなの漢方R」理事長、NPO法人「乳がん画像診断ネットワーク(BCIN)」副理事、NPO法人「女性医療ネットワーク」理事、CNJ認定「乳がん体験者コーデイネーター」ほかを務める。
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