今年で3回目を迎える「神戸建築祭」。開港以来、国際都市として発展した神戸には緻密な美を纏った建築が多数存在。普段は非公開建築がこの時ばかりは多数公開される。洗練さを秘めた街の魅力を建築祭で深掘りしたい。(ライター/和多亜希)

北野の知られざる名スポット「神戸ムスリムモスク」
異人館街で知られる北野は、外国人の住居となった洋館ばかりでなく、多様な宗教施設も現存する。キリスト教の教会をはじめ、イスラム教のモスク、ユダヤ教のシナゴーグ、ロシア正教の教会、インドのジャイナ教寺院、中国系の寺院など、建築を通して世界的な宗教を知ることができる魅力的なスポット。建築祭でも数多くの施設の見学が可能になる。
1935年に神戸在住のインド人貿易商らの出資で建てられた日本最古のモスク。第二次世界大戦、阪神大震災でも奇跡的に難を逃れ、建築当時の趣を今に伝えている。インドのイスラム様式といわれる建築で、モスクの中央上部にはドームが乗り、それを取り囲むように4本の塔が立つ。内部の礼拝場はモスク専用のトルコ絨毯が敷き詰められ、細やかな装飾が見事なシャンデリア、室内を黄金色に染める黄色いガラス窓、ミフラープと呼ばれる壁面のアーチ形の窪みを囲う幾何学模様など、その耽美的ともいえる美しさは見逃せない。建築祭では1階のみが見学できる。
台湾茶やお菓子のもてなしも嬉しい「中華民國留日神戸華僑総会」
ドイツ人の邸宅として1909年に竣工したコロニアル様式の木造建築。通常は非公開のこの異人館が建築祭にのみ公開される。室内には石造りの暖炉や、内部に収納できる重厚な扉、使用人の畳敷きの小部屋など、竣工当時のままの面影が残り、見ごたえ十分。さらに、日差しや雨を遮るベランダにガラス窓を嵌めたサンルームは神戸ならではという。ドイツの民家の雰囲気も残るシンプルで実用的なインテリアもじっくり見学したい。
映画「火垂るの墓」の舞台としても有名な「神戸市立御影公会堂」
日本最大の酒処でもある灘五郷。なかでも酒の瓶詰で財を成した白鶴酒造7代目の出資により、1933年に建設。港町神戸らしく船のイメージでデザインされ、曲線を使ったアールデコスタイルは機能性と装飾性を兼ね備え、建物に優美さと洗練さをもたらしている。地下1階の食堂は建築当初からの面影を残し、創業時から味を受け継いでいる「ハヤシライス」で建築巡りの合間にお腹を満たしたい。
国内屈指の進学校が初公開!「灘中学校・灘高等学校本館」
地元の酒造会社3社の篤志によって旧制灘中学校として創立。大阪を拠点に活躍した宗兵蔵氏が設計し、1928年に鉄筋コンクリート建ての校舎として竣工。本館のみ創業当時のまま残り、2001年に登録有形文化財に指定された。校舎の外観は曲線が使われずモダンな造りなのに対して、校内は廊下にアーチ状の柱が連なり、丸窓のようなデザインが付いた階段や手すりに曲線が使われ、柔らかい印象なのが特徴的。外観、内観共に装飾はないものの造形的な美しさに心惹かれること、間違いない。
明治の匠の技術×レトロなレンガ造りのシナジー「湊川隧道」
度重なる洪水や街を分断した交通被害、神戸港への土砂堆積をなくすために、1901年に誕生した日本初の河川トンネル「湊川隧道(みなとがわずいどう)」。側面は煉瓦、底は石積みで組まれたとはいえコンクリート並みの強度を保ち、2000年に新湊川トンネルが完成するまで約100年間使用された。現在は約350mが保存され、2019年には有形文化財に登録。トンネル内は夏でもひんやりと涼しく、建物とはまた異なったレンガ造りの重厚な雰囲気を堪能でき、他に類を見ない満足感を得られるに違いない。


























