タンクを背負わず、息ひとつで海に潜る“スキンダイビング”。そのシンプルさと、海と一体になるような濃密な体験から、いま静かに人気が広がっている。その魅力に取りつかれ、日本で唯一のフリーダイビングギア専門ブランド〈UMMY〉を立ち上げた夏井優樹さんに、都会で働き詰めだった彼の人生を変えた“海との出会い”、ブランド誕生の背景、そしてこれからの海の楽しみ方まで──その深い物語に迫る。
ひと呼吸で海とつながる。その体験が、人生を変えた

最近よく耳にするようになった“スキンダイビング”。けれど、まだ「どんなアクティビティなの?」という人も多いはず。
スキンダイビングとは、タンクを背負わず、自分の息ひとつで海に潜るシンプルで自由度の高いアクティビティ。必要なのは、マスクとフィン、そして自分の呼吸だけ。だからこそ、海との距離が近く、自然と一体になるような感覚が味わえると、いま静かに人気が広がっている。

そんなスキンダイビングの世界で、唯一の日本の‟フリーダイビングギア専門ブランド”として注目を集めているのが〈UMMY(ユーミー)〉。今回、ブランド創設者であり、現役のフリーダイバーでもある 夏井優樹さんに、海との出会いからブランド誕生、スキンダイビングの魅力、さらにこれからの展望までを聞いた。
海に潜った‟たった一度の体験”が、人生を変えた

「初めて海に潜ったとき、生きた心地がしたんです」
そう語る夏井さんは、もともと10年以上EC業界で働き、楽天やAmazonでのECコンサルタントを経て、アクセンチュアで大手企業の戦略立案やEC立ち上げに携わってきた‟都会のトップビジネスパーソン”だったそう。東京、大阪、札幌…全国を転勤しながら働き詰めの日々。海とは無縁の生活だったとか。
転機は6年前。奄美大島を訪れたとき、初めてスキンダイビングを体験。
「海に入った瞬間、ビビビッときたんです。‟あ、これだ”って。自分の中の何かが動き出した感覚でした」
その後、素潜りで魚を突き、自分で捌いて食べるといった当時話題になっていたテレビ番組のような体験を通して、‟自然と一体になる感覚”にどんどん惹かれていった。
学生時代はボクシング部で鍛えたアスリート気質だったためか、海を訪れるたびに「もっと深く潜りたい」という欲求が募り、やがてフリーダイビングの虜となり楽しむだけでなく、それがビジネスへとつながっていく。
潜った後の‟濃密な時間”に魅せられて

スキューバダイビングと違い、スキンダイビングはタンクを使わない。だからこそ、海の中にいられる時間は短い。キャリアによって個人差はあるものの30秒、長くても1分ほどがスタンダード。「でも、その短い時間が驚くほど濃密なんです。」と夏井さんは言う。
潜っている間は、自分の心音だけが響く。冬の沖縄では、遠くからクジラの声が聞こえることもあるという。
「海の中で、自分の呼吸と体の些細な変化に向き合う。それはヨガや瞑想に近い‟マインドフルネス”の時間なんです」
この体験をもっと多くの人に届けたい。その想いが、ブランド立ち上げの原動力になった。
日本で唯一の‟フリーダイビング専門ブランド”をつくるまで
当時、日本にはスキューバーダイビングのギアブランドはあるものの、フリーダイビング専用のギアブランドが存在しなかった。多くのダイバーはスキューバーダイビング用のフィンを代用したり、海外から取り寄せていたため、「言葉の壁」「届くまで時間がかかる」「送料が高い」「試せない」という不便を抱えていた。そこで、EC業界で培った経験があれば、これを解決できると思い、〈UMMY〉をスタート。
ブランドのコンセプトは Dive New Standard(新しい常識に飛び込め)。自分が海に潜ることで感じた‟自由になれる感覚”を、もっと多くの人に広げ、フリーダイビングのライフスタイルを新しい常識にしたいという願いが込められている。
プロダイバーの声を聞き、実際に潜り、現在もギアは改良&更新中

夏井さんは自らプレイヤーとして潜り、「もっとこうしたい」という感覚をそのまま商品に反映する。さらにエンドユーザーをはじめ、プロダイバーへヒアリングを実施し、商品のアップデート重ねている。
その結果、UMMYのカーボンのロングフィンは圧倒的な軽さと、泳いでいるときに足と一体感がすぐれていているため、キックがなめらかかつパワフルで、推進力が高く、それが業界でも話題に。
実は5月に発売になった沢尻エリカさんの写真集『DAY OFF』でも彼女が使用し、そのスピード感ある泳ぎそしてまるで人魚のようにしなやかな水中での姿をバックアップ。まさに、ギアの力を証明しているひとつの証しといえる。
またUMMYは小売店を通さず、ECで直接販売するD2Cモデル。そのため、ユーザーの声がダイレクトに届き、改善のスピードが圧倒的に速い。「‟こうしてほしい”という声をすぐに反映できるのが、他ブランドにはない強みです」と夏井さんの言葉は力強い。
スキンダイビングは‟自分と向き合うウェルネス”へ
スキンダイビングは、いま女性を中心に広がっている。参加者の約7割が女性というデータもあるほど。その理由としては、SNSでアクションカメラを使用し、海中の写真や動画をシェアする文化が急速に広がり、地上では考えられないシーンを残したいという気持ちの高まり。そして‟自分と向き合う時間”を求めるウェルネス志向がより強まっているから。
「海の中で自分の呼吸だけに集中する時間は、働く女性にこそ必要だと思うんです」と夏井さんは力説する。
今後は‟浅い海やプールでも水中を楽しめる体験”をUMMYは展開していく予定。子ども向けのマスクや、シュノーケリンググッズ、そして呼吸を整えるウェルネスプログラムなど、海の外にも広がるプランを考えているそう。
「深く潜るだけがスキンダイビングじゃない。浅瀬やプールでも、海とつながる感覚は味わえる。
もっと多くの人に、この‟新しい常識”を届けたいです」という夏井さん。これから訪れる夏の予定がたっていない人は、旅先でスキンダイブを体験し、真の意味で心身の癒やし、整えでリフレッシュしてみませんか。






